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村上 徹

土地の適正価格に見る中国バブル

バブルの頃、とんでもない水準にまで土地の値段は高騰しました。いくら、価格は「需要と供給」の関係で決まるとは言っても、適正な価格というものがあるはずです。4月13日のブログ「日本株は間違っている!?」の回で、土地にも適正価格があるといいました。経済学では、ファンダメンタル価格といいます。それはどのようなものでしょう。簡単に言うと、土地の近辺にある賃貸マンションの家賃が目安となります。どういうことかご説明しましょう。今、ある土地を高い値段で手に入れた人が、賃貸マンションを建てて一般に貸し出そうとしています。その際、家賃をいくらに設定するかが問題です。土地の値段が高かったからといって、バカ高い家賃を…

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日銀のミッション

以前お話したように、円安と株価上昇を通じて日本の景気をよくするのは実にカンタンなことです。緩やかなインフレを目指せばいいだけです。だから世界中の中央銀行は2~3%のインフレ率にコミットしているのです。日銀が1%のインフレ率にコミットして、量的緩和を宣言したとたん日経平均とドル円レートは劇的に回復したのです。ただひとつだけ、注意しておくべきことがあります。それは、この劇的な回復はあくまで短期的なものだということです。5年先、10年先の日本の景気がどうなっているかは、5年先、10年先の成長分野が何で、そしてそこに目覚ましい技術革新があるかどうかにかかっています。これを見すえて様々な政策を打ったり支…

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専門家を信じていいの?

専門家といえども、簡単に信じてはいけないなと感じたのは、震災のときの原子力安全・保安院の対応でした。テレビを見ていたら、原子力安全・保安院の責任ある立場の人が「私は事務方で、原子力の専門的なことは分からないので、高い知見を持っている他のメンバーに任せて家に帰りました」と発言していました。原子力に関する知見を持っているかどうかということも問題ですが、それよりも気になったのは、この人たちに「何としても国民を守る」という決意があるかどうかです。ただ、このような決意を日銀の政策委員に求めるのは酷です。なぜなら、日銀のミッションは、物価の安定=インフレ抑制だけだからです。そもそも、日銀の委員が本当に専門…

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洪水を恐れ火事を放置する?

リーマンショック後に、日銀は重大なミスを犯しました。世界中の中央銀行が、未曾有の危機を前にしてまずやったことはデフレを防ぐためにマネーサプライ(通貨供給量)を増やすことでした。ちょっと専門的な話になりますが、各国の中央銀行はマネタリーベースの供給をそれまでの2~3倍へと大幅に増やしました。(マネタリーベースとマネーサプライの関係については、後でじっくりご説明します。なにせ大学院レベルの話ですので)しかし、日銀はわずか10%しか増やしませんでした。理解に苦しむ行動ですが、急激に円高が進んだ原因はこれです。今一度整理しましょう。ドルのマネーサプライが大幅に増えれば、必ずドル安/円高になります。その…

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円売り介入は効果がない?

過去にも、円高局面で日銀は何回か円売り介入をしました。ではそれは効果があったのでしょうか。日銀は、円売りの市場介入をしても効果は限定的だと主張しています。確かにその通りです。瞬間的に円高をストップすることはできても、持続することは困難でした。円売り介入は効果がないのでしょうか。たしかに、日銀が円売り介入しただけでは効果は限られます。為替市場に、新たな市場参加者がひとり増えただけですから。問題はその後です。マーケットに溢れた円を、そのまま放置するかどうかです。放置されれば、マーケットに円がジャブジャブの状態になります。当然、円の希少価値は薄れ、円安が進みます。これが大切なのです。中央銀行が、マー…

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劇的な効果

2012年2月に日銀が、1%のインフレ率をメドとすることと、国債の買い入れを10兆円から19兆円に一気に拡大すると発表した途端に、劇的な効果が現れました。低迷していた株価は、一気に急上昇に転じました。そして為替レートも一気に円安に向かったのです。リーマンショック以降、どうやっても歯止めのかからなかった株価の下落と円高がいとも簡単にいく止められただけでなく、劇的に反転したのです。株価の上昇と円安というのは、すべて岩田氏の予想どおりです。別に岩田氏が予言者だったわけではありません。経済学者にとっては、この説はきわめて常識的な理論です。今回の事態についても、日銀のこれまでの対応を「不作為」と批判する…

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デフレと円高はカンタンに修正できる

今回は、岩田規久男氏の説を紹介しましょう。彼は、インフレターゲット論の代表的存在でもあります。彼の説は、マネーサプライを増やすだけでは効果がなく、中央銀行が「インフレにすることに積極的にコミットする」ことが必要だというものです。しかし、日銀は反応しませんでした。先進国の中央銀行でインフレ率にコミットしないのは、わずか5カ国しかありません。日本の他は、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアです。アメリカは、インフレターゲット論の教祖的存在であるバーナンキがFRBの議長をしていたので、改めてインフレ率にコミットする必要もなかったわけです。しかし、2012年になって風向きは変わります。アメリカが、目標…

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お金が回転しない

M(マネーサプライ)を増やしたのに、インフレにならなかった理由は何なのか?6年前に、私はあるエコノミストに、その理由を説明する仮説を提示し、意見を求めました。それは、「MV=PT」の左辺のV(貨幣速度)が下がってしまったことが理由ではないかと。その時はエコノミストに否定されてしまいましたが、後に吉川洋氏や若田部昌澄氏などの著書でも同様の検証がなされていて、私は大変うれしく思ったことを覚えています。V(貨幣速度)が下がるとはどういうことか、わかりやすく説明しましょう。今日ATMからおろした1万円がなくなるのは、何日後ですか?バブルの頃は、お金に羽が生えているのかと思うくらい、あっという間になくな…

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素朴な貨幣数量説の敗北

今回はちょっとアカデミックな話になりますので、数学が嫌いな人は適当に読み飛ばしてください。今までお話した通り、景気をよくするためにはインフレを起こせばいいのですが、では具体的にどうすればインフレを起こせるのでしょう?今から6年ほど前に、私は「MV=PT」という「素朴な貨幣数量説」を基にこのブログでそのアイデアを説明しました。この式は、実物経済規模と貨幣経済規模は等しいことを表しています。右辺から説明しましょう。Pは物価です。Tは取引総数です。つまり、その年に取引された商品やサービスの価格をすべて調べ上げ、それがいくつ売れたかを掛け合わせれば、その国の実物経済の取引規模が分かります。次に左辺を見…

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デフレは決してあってはならないこと

前回、チョー円高は、デフレを放置したことが原因だとお話ししました。今回は、デフレの悪影響についてお話ししましょう。まずは、インフレとデフレの違いから説明しますね。インフレとは物価が上がることです。一方デフレとは、逆に物価が下がることです。お互いよく似た現象のように思えますが、経済に与える影響は天と地ほども違います。インフレは、世の中の物価が上がることです。一般にインフレは景気のいい時に起こります。もしあなたが社長だとして、インフレの時に自分の会社の製品を値上げしないで据え置いたらどうなるでしょう。当然、社員の給料も上げられません。他の会社は、製品を値上げした分、社員の給料も上げています。ですの…

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