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村上 徹

手綱を緩めても効果がない?

日銀は、長い間、金利政策をヒモに例えていました。ヒモを引っ張る(=金利を引き上げる)と、景気を悪くすることはできます。しかし、ヒモを緩めても(=金利を引き下げても)、景気を良くすることには限界があるというものです。特に、金利水準がゼロにまで引き下げられてしまってからは、「日銀はやるべきことはすべてやった。だから責任はない」という論が中心でした。これが、景気を良くすることに関しての「日銀免責論」でした。では、アメリカの場合とどうでしょう。アメリカの中央銀行FRBは、まったく違います。アメリカでは、金利の引き下げ以外にも、量的緩和など中央銀行ができることについてはすべて取り組みます。少なくとも、日…

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中央銀行の責任

景気を良くするのは、政治の責任だという人がいます。本当でしょうか。私は違うと思います。長期的な経済政策については当然政治に責任がありますが、短期的な景気については、中央銀行に責任があると思っています。日本の場合、日銀の責任は物価の安定のみと規定されています。つまり、インフレにならないように経済の引き締めに重点が置かれます。もし高いインフレ率となってしまうと、日銀総裁は責任をとらないといけません。では、アメリカはどうでしょう。アメリカの中央銀行FRBは、物価のみならず失業率にも責任があります。つまり景気の引き締めだけでなく、景気をよくすることにも責任を負っているのです。アメリカの場合、失業率が高…

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インフレで自殺する人はいない

経済学に、フィリップス曲線というのがあります。簡単に言うと、物価の動きと失業率は相関関係があるということです。インフレの時はモノが高く売れますので、臨時に人を雇ってでも製品を生産しようとします。反対に、デフレの時はモノが売れないため、さらに値下げせざるを得ません。当然給料は下がり続け、やがてリストラに手を付けることとなります。これをグラフにすると、インフレの時は失業率が下がり反対にデフレの時は失業率が上がるという関係になります。小学生でもわかる論理です。実際、フィリップス曲線は、経済学の中でも非常に初歩的な理論です。もうお分かりですね。この不景気は、世界経済がグローバル化した影響でも、日本経済…

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毎年起こっている大災害

5年前、このブログは経済の話でスタートしました。それが途中から遺伝子の話となり、やがて脳関連、そして最近は地球温暖化について論じてきました。しかし、5年たっても一向に景気はよくなりません。5年前に私は、非常にシンプルな経済対策を提示しました。すなわち、インフレターゲット論です。もしこれが実行されていれば、日本はデフレから脱却し、景気は劇的に回復していたはずです。先日、日銀はインフレ率1%を目指すと発表しましたが、あまりに遅すぎます。しかも、デフレに陥っていない国のほとんどが2~3%を目標としているのに、深刻なデフレが10年以上も続いている日本が、たったの1%とは・・・・・本当にあきれてモノも言…

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両論併記は公平なのか

新聞記事では、よく賛否両論が併記されます。新聞社として公平性・中立性を保つ意味合いがあるのでしょうが、果たして本当にそうでしょうか。元新聞記者の松永和紀氏が、「もうダマされないための『科学』講義」(光文社)の中で疑問を呈しています。氏は、科学的な問題を扱う際に、記者の勉強不足が原因で安易に両論併記を行っていると指摘しています。私たちは両論が併記されていると、つい5対5くらいの割合だと思ってしまいます。しかし、例えば遺伝子組み換え食品の安全性に関していうと、現在の安全性やリスク管理に問題がないと考える科学者が99で、問題ありと考えている科学者が1くらいだそうです。いや、もっと言うと、999対1く…

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記者クラブという奇妙な制度

国会や政府の建物、また地方自治体には記者クラブというものがあります。大手新聞社や地元の新聞社がそのメンバーです。ですので、当局が記者会見を行う場合、原則としてそのメンバーしか入ることは許されていません。新聞社同士の取材合戦がエスカレートすることを防止するためでしょうが、反面、雑誌記者やフリーのジャーナリストたちを排除する既得特権でもあります。そして、当局の発表を何の検証を行うことなく垂れ流すという構造をもたらしました。なぜ垂れ流すかというと、当局に批判的な記事を書くと、記者クラブから締め出されるからです。沖縄の防衛局長の問題発言の際触れた、「書いたら出入り禁止」というあのことです。国会や官邸な…

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ジャーナリズムの耐えられない軽さ

伝統あるプロ野球球団が内紛でもめています。突然、球団幹部が内部告発しました。その親会社の新聞社は、この事件を徹底的に黙殺します。報道するのは、他の新聞社やテレビ局だけでした。これが、他の球団だったらどうでしょう。たとえば電鉄会社や食品会社だったら、これほどまでにセンセーショナルに報道したでしょうか。何か、日頃の憂さ晴らしをしているようにさえ感じられました。私が思うに、この問題は一プロ野球球団の内輪もめという単純なものではありません。その親会社がマスコミであることから、報道機関の報道姿勢が問われる事案です。なぜなら、ひとりの老人が球団運営のすべてを取り仕切っており、しかもその人物は、大新聞社の主…

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ガラパゴス・ジャーナリズム

沖縄の防衛局長発言と同じで、オフレコが世に出てしまった事案があります。それは、震災復興担当大臣が地元の首長を訪問した際、応接室で待たされたことに腹を立て、怒鳴り散らしたというあの事件です。このとき大臣は、取り囲んだ記者たちを睨みつけて「いいか、絶対にオフレコだぞ!、もし書いたらその社は終わりだぞ!」とすごんで見せました。当然のことながら、全メディアが沈黙を守りました。なぜなら、もし報道してしまったら、終わりになることはないにしても、今後の取材で相当な報復を受けることが明らかだったからです。そんな中、勇気を持って報道したのは仙台のテレビ局でした。震災で被災した一員として、この発言は許せないという…

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オフレコ

先日、沖縄防衛局長が不適切発言で更迭されました。マスメディアは、沖縄県民の心を踏みにじる発言として徹底的に批判しました。そんな中、ある大新聞が疑問を投げかけました。それは、あの発言を明るみに出してしまったことは、はたして正しかったのかということです。どういうことかというと、あの発言は「オフレコ」を前提としたものだったからです。オフレコというのは、絶対に報道しないという約束のもとで本音を語ることです。今回この約束を破って記事にしたのは、沖縄の新聞社でした。いくらオフレコと言えども、絶対に許せないという判断に立ち、「出入り禁止」という報復圧力をかけられながらも、あえて報道したのです。これをきっかけ…

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ジャーナリズム

昨年末、オウム真理教の関係者の裁判がすべて結審したと報道されました。その日、ある新聞社のサイトに気になる記事が載っていました。この新聞社は、地下鉄サリン事件の起きた年の正月、富士の教団施設の近くでサリンが検出されたことをスクープしたのですが、そのことについての記事でした。曰く、「教団の報復も予想される中、勇気を持って記事にした」と自画自賛する内容です。私は、強い違和感を覚えました。というのは、新聞記者は記事を書くとき、報復の有無を考慮に入れていることになります。額面どおり受け取れば、かなりの確率で報復が予想されるときは、記事にしないこともあるということになります。これはどういうことでしょう。私…

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