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5☆s 講師ブログ

地震発生確率は大ウソ?(3)

小沢が取材を進めていくと、「時間予測モデル」の根拠である室津港のデータが怪しくなってきました。 宝永地震の隆起量1.8メートルと、安政地震の1.2メートルというデータは、旧東京帝大教授の今村明恒の論文が根拠でした。今村は、江戸時代に室津に住んでいた久保野繁馬という人物に面会して、直接話を聞いたそうです。 そこで小沢は室戸市に出向き、久保野が書き残した記録を見つけたのですが、その古文書には重大な欠陥がありました。計測した場所どころか、計測方法さえ書かれていないではありませんか。さらには、潮位の影響についての記述もありません。 そもそも江戸時代の記録に関しては、事前に誤差の補正をしておくのが普通…

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地震発生確率は大ウソ?(2)

2012年12月の合同部会の資料には、文科省からの驚くべき提案が記されていました。会議の冒頭、文科省の担当者が以下の5案を提示します。 ①確率は表示しない②20%③20%~60%④60%を主表示として、20%を*印で表示⑤20%を主表示として、60%を*印で表示 これを見る限り、明らかに文科省は「20%表示」を中心に議論しようとしていたことがわかります。ところが、防災部門から猛烈な反対論が出され、会議は迷走し始めます。 防災部門の反対理由は、「低い数字が出ると市民の防災意識に悪影響が出る」というもの。「ものすごい混乱を引き起こす」とか、「私たちはもう時間予測モデルで洗脳されている。そういう人…

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地震発生確率は大ウソ?(1)

2024年元日、正月気分を一瞬で吹き飛ばす大災害が起きました。能登地方で発生した震度7の地震は、200人を超える犠牲者を出す大惨事となりました。今さらながら、日本が「地震大国」であることを思い知らされる出来事でした。 でも、今最も心配されているのは南海トラフ地震の方。 2018年2月、文部科学大臣を本部長とする地震調査研究推進本部の「地震調査委員会」は、今後30年以内の南海トラフ地震の発生確率を、それまでの「70%程度」から「70~80%」に引き上げました。南海トラフ地震は切羽詰まった状況にあると、改めて世間に喧伝したわけです。ところが、この地震調査委員会のメンバーで地殻変動学者の名古屋大学…

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奇妙な果実

  映画のストーリーは、事実ではありませんでした。 高校生の頃に観た、ダイアナ・ロス主演の『ビリー・ホリデイ物語』。主人公は南部への演奏ツアーの途中、バスから降りた林の中で“それ”を目撃したことになっています。でも本当は、ある若い高校教師が綴った一編の詩によって、“それ”の存在を知ったのでした。 日本では、そこそこ美人で英語のカラオケをそれなりに上手に歌えれば、誰でも「ジャズ・シンガー」を名乗ることができます。でも、アメリカではそうはいきません。 ビリー・ホリデイは、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ボーンと並び称されるシンガーですが、彼女たちのように圧倒的な声量や歌唱力を持っているわけではあ…

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メディアの闇(4)

放送利権の恩恵に預かっていたのは政治家だけではありませんでした。官僚もまた然り。 田中の右腕として活躍した郵政官僚の浅野賢澄は、その功績が買われて事務次官に出世します。67年からの3年間で35のテレビ局に予備免許を与えるという、UHF局の第二次大量免許交付を担当したのが浅野でした。 でも、予備免許の争奪戦はあまりに露骨な接待合戦になることが予想されたため、批判を恐れた在京の民放局は表だった政治工作をすることができませんでした。そこで、裏工作を担ったのが系列の新聞社。結果、郵政記者クラブにはブロック紙も含めて50名以上の記者が登録されることになります。 世に言う「波取り記者」の誕生です。 彼ら…

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メディアの闇(3)

2001年に有名タレントが警察に逮捕された時は、メディア側もさすがに報道しないわけにはいかなくなりました。 追い詰められたメディアは、苦し紛れに逮捕されたタレントを「○○容疑者」という肩書ではなく、「○○メンバー」というウルトラC級の新語を創り出して報道しました。卑しくも「報道機関」を名乗る組織が、一芸能事務所の前に跪き、さらにはその靴を舐めるという屈辱的な行動を取ったのです。 メディアが主張する「表現の自由」というのは、このような言葉の言い換えのことを指すのでしょうか?これはまさに、「メディアの死」を意味する象徴的な出来事でした。 テレビ局にとっては真実を伝えることよりも、利害関係者に不利…

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メディアの闇(2)

二階から田中のダミ声が飛んできます。「朝日の言いなりになってたまるかあー」 永井も負けじと大声で言い返しました。「若い大臣が図に乗ったら承知しないぞ」実は、念のため一芝居打とうと、両者は事前に打ち合わせをしていたのでした。 そんな事情を知る由もない記者たちが、大慌てで飛んできます。要するに、その場にいた全員が騙されたわけです。靴底を磨り減らして現場で走り回っている政治記者は、自分の会社の上層部が政治家とズブズブの関係にあることを、一体どこまで知っているのでしょう。知っていたら、やりきれない商売ではあります。 直後にテレビ局の割り当てが発表されましたが、免許交付を渋る郵政官僚に田中が発破をかけ…

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メディアの闇(1)

フジサンケイグループと鹿内家との凄まじい権力闘争を描いた『メディアの支配者』で、講談社ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞したフリー・ジャーナリストの中川一徳が、今度は『二重らせん欲望と喧噪のメディア』の中で権力者とメディアの癒着を暴いています。 戦前は陸軍が出版社に対して言論統制を行っていたため、自由な発言ができなかったと多くの出版人が言い訳していますが、これは真っ赤なウソです。 責任逃れのためにデッチ上げた、明らかなデマです。言論統制をしていた極悪人として登場するのは、陸軍情報館の鈴木庫三少佐。 ところが、本当のところ鈴木と出版社は蜜月の関係にありました。その証拠に、日中戦…

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醤油とトリチウム(4)

多田は、今回のALPS処理水放出を非難している国に対して、強い憤りを感じると言います。というのは、1950年代から60年代初頭にかけて、国連の安全保障理事会の常任理事国が、大気圏内での核実験を繰り返し実施していたからです。 この実験により、大気中にはとてつもない量のトリチウムが放出され、地球上のトリチウムの総量は飛躍的に増加しました。計算したら、なんと24✕(10の19乗)ベクレル。24の後に0が19個もつきます。もう、何の位だかわかりません。 福島原発が1年間に放出するトリチウム量は22兆ベクレルですから、その1千万年分に相当します。加えて、核実験ではトリチウムよりもずっと危険な放射性同位…

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醤油とトリチウム(3)

ALPS処理水の放出に関して、驚天動地とも言うべき論説がありました。 「科学を隠れ蓑に使うな」という記事が掲載されたというのです。なんと、科学は真実を覆い隠す「紛い物」にされてしまったのです。 おそらく、オカルト雑誌の類いだろうと思っていたら、大手新聞社の、しかも社説だというではありませんか!新聞は何を書いても許されるのでしょうか。 その後、別の大手新聞社のWEBサイトには、「エビデンスがないと駄目ですか?」という記事が掲載されました。ダメに決まっているではありませんか! エビデンスのない論説は、「社会科学」ではなく「文学」です。およそ新聞記者が書く記事ではありません。そもそも、マスメディア…

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