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村上 徹

ひと晩寝て考えなさい(3)

ドイツの有機化学者アウグスト・ケクレは、ベンゼンの構造解明に取り組んでいました。ベンゼンが、6つの炭素原子と6つの水素原子から構成されていることはわかっています。ただ、どのように結合しているのか、その構造がどうしてもわからないのです。 そんなある日、ケクレは不思議な夢を見ます。目の前で小さな原子をくっつけた大きな原子が飛び回り、それが輪のように連なったのです。やがて、輪は尻尾をくわえた一匹のヘビとなって回転し始めました。 その時ケクレは閃きます。「そうだ!ベンゼンは環状になっている」 これが、「ベンゼン環」の構造を解き明かすきっかけとなりました。輪がヒントとなり、亀の甲羅のような六角形の三辺…

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ひと晩寝て考えなさい(2)

マンチェスター大学の「睡眠と記憶の研究所」所長で脳神経科学者のペネロペ・ルイスは、世の中一般に通用する「夢」の定義は存在しないと言います。強いて定義するなら、「睡眠中に経験するすべての知覚、思考、または感情」となるだろうとのこと。 人類が誕生して以来、毎晩見ているはずの「夢」ですが、未だに定義がないなんて本当に不思議です。 ところで、睡眠は記憶の定着に一役買っているという報告があります。試験の直前に徹夜で勉強する学生がいますが、一睡もせずに勉強するよりも、学習直後に睡眠をとった方が記憶が定着しやすいことがわかっています。ただし、翌日テストがあることを知らされていないと、この効果はないそうです…

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ひと晩寝て考えなさい(1)

「ひと晩寝て考えなさい」あなたも子どもの頃、親から言われたことはありませんか? ひと晩寝たところで結論は大して変わらないだろうと思っていましたが、これが大間違い。最近の研究により、寝ている間も脳はひっきりなしに働いていることがわかりました。今回は、未だ解明されていない部分が多い睡眠と夢について、最新の研究の数々を紹介していきたいと思います。 睡眠は大事だといいますが、動物にとってなぜ睡眠が必要なのか、その理由は未だにわかっていません。でも、動物を覚醒した状態に置き続ける、所謂「断眠」を続けると例外なく死に至ることが実験でわかっています。 なぜ必要なのかわからないのに、とらないと死んでしまう「…

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はずれ者の生物学的意味(3)

高度成長期の日本では、大量生産をサポートするために労働者にあることが求められました。 それは、決められた工程の中で、決められた作業を正確にこなすことです。それができる社員を育成するために、企業は社員の「標準化」を進めました。 社員なら誰でも「普通」に仕事をこなすことができるよう、徹底した社員教育が実施されたのです。「普通」の仕事をより上手にこなせる社員、つまり「平均」より上の社員は「優秀」と呼ばれ、「平均」に届かない社員は「落ちこぼれ」と呼ばれました。 つまりは「はずれ者」です。 そして、「なぜ皆と同じようにできない!」と叱責されたりもしました。社員も、製品と同様「規格品」であることが求めら…

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はずれ者の生物学的意味(2)

稲垣によると、雑草を栽培するのは非常に難しいことなのだそうです。一体どこが難しいのでしょう? 観賞用の花ならば、種を撒けば決まった時期に芽を出します。ところが、雑草はいつ芽を出すかわかりません。発芽時期をわざとバラバラにして、生存確率を上げる戦略をとっているからです。 生物学ではこれを「遺伝的多様性」といいます。このように、雑草でさえ生き残るために多様性を保持しているのです。 ダーウィンが自然を観察することで見抜いたことは、強い種(しゅ)や賢い種が生存競争に勝ったのではなく、環境に最もうまく適応した種が生き残ったという事実でした。 「平均」とか「普通」というのは、あくまで現在の環境を前提にし…

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はずれ者の生物学的意味(1)

  「多様化の時代」に入り、昭和の時代には当たり前だったモラハラ発言は、絶対的NG事項に指定されてしまいました。モラハラ発言以外にも、通用しなくなったマネジメント手法はたくさんあります。 一方で、企業がグローバル戦略に舵を切ったことで様々な国籍の人たちと一緒に仕事をする機会も増えました。 すると、「飲ミニケーション」がNGになります。なぜなら、酒に誘う行為はイスラム教への冒涜に他ならないからです。世界の人口の1/4近くはイスラム教徒と言われています。私たちは今こそ「多様化」の真の意味を理解し、根本から意識を変えなければならないのです。 多様化の波は顧客の志向にも現れています。多様化は、マネジ…

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悪魔の代弁者(2)

ハーディは、あるIT企業の衝撃的な事例を紹介してくれています。この企業で中核的な仕事に従事する者には、ある特殊な能力が必須だということが判明しました。 それは持って生まれた脳の特徴のようなもので、学歴などとは一切関係なく、勉強で身につくものではないそうです。もちろん、IT知識とは何の関係もありません。さらに、別の研究により人口の6%ほどの人間がその特徴を持っていることもわかりました。 するとこの企業は、なんとその特徴をテストする仕組みを自社で開発し、それを使った採用活動を展開し始めたというのです。 あなたの会社はどうですか?各ポジション毎に、「価値を生む能力」が一体何なのか解明されていますか…

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悪魔の代弁者(1)

かつて、日本の工業製品が世界を席巻していた時代がありました。しかし、バブル崩壊以降30年に渡り日本企業は凋落し続け、現在も日本の将来に関する悲観論が渦巻いています。 特にIT関連分野はアメリカ企業の独壇場で、日本企業は大きく遅れをとっています。かつてのように、日本企業が世界をリードすることは望むべくもないのでしょうか。 ハーディ智砂子は、スコットランド在住の日本株のファンドマネージャー。フランスの保険グループAXA(アクサ)の資産運用会社で、日本株アクティヴ投資の責任者をしています。 ハーディによると、外国から日本を眺めると全く違った風景が見えてくるのだそうです。毎年数百人の日本企業の経営者…

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二番じゃダメなワケ(4)

AI研究で日本がビリから抜け出せないとなると、貧富の差は拡大します。どういうことか説明しますね。 もし、ある会社がGPT-4などの最新ソフトの一括契約をして、その会社の従業員が一日中AIにアクセスできる態勢を整えたとしましょう。 そうなるとデータセンターの情報処理量は膨大になり、もしかするとパンクする可能性も出てきます。パンクしたら一大事。 当然、AIを提供する側は利用料金を高く設定して、コスト増をカバーするとともに利用者の数を減らそうとするでしょう。 オープンAI社のCEOサム・アルトマンによれば、そもそも生成AIの開発・運営は「目玉が飛び出るほど高くつく」そうです。ChatGPTの運用に…

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二番じゃダメなワケ(3)

日本は「貿易立国」ではなく、完全なる「投資立国」です。なぜこんな状況になったかというと、90年代以降日銀の金融引き締めの影響で、日本はとんでもない円高になりました。 そのため、日本でモノを作って輸出しても全く採算が取れなくなります。そこで、メーカー各社は海外に工場を建て始めました。日本国内でモノを作って海外に輸出するのではなく、海外にお金を投資して現地に工場を建て、その工場で作ったモノを世界各国に輸出する形をとったのです。 これなら、円高という為替リスクをヘッジできます。 話を「貿易黒字」に戻しますね。「貿易収支」が黒字になるのは、日本国内の工場で生産したモノを海外に輸出して儲けた時です。 …

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