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村上 徹

修正ソロスチャートに関する疑問

修正ソロスチャートに関するブログの回で、疑問を持った人もいると思います。その疑問というのは、以下のようなものです。日本で、銀行貸し出しが進まない限り、円安にならないのだとしたら、それは借りようとしない企業や、貸そうとしない銀行の問題であって、日銀の責任ではないだろうと。その疑問に答える前に、まず修正ソロスチャートとは何かについてもう一度おさらいしましょう。そもそもソロスチャートというのは、日米の中央銀行が、市中銀行に対してどれだけのマネタリーベースを提供しているかという比率を求め、それを時間の経過とともに折れ線グラフとして表します。次にドル/円レートの推移を時間の経過とともに折れ線グラフにする…

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勝率99.4%

前回同様、岩田規久男著「日本銀行デフレの番人」(日経プレミアシリーズ)からご紹介します。まず、前回のおさらいをしましょう。日銀の物価目標は、前年比上昇率0%~2%です。そして、コアインフレ率で毎月の達成度合いを見ると、10勝158敗となり、勝率はわずか6%にすぎませんでした。でも、日銀を擁護する人々はこう言います。「それほどインフレ率の誘導は難しいのだ」と。本当でしょうか。そんなにも物価の安定、つまりインフレ率の誘導は難しいのでしようか。そこで、今回は、海外の中央銀行の勝率を見てみます。岩田氏が分析したのは、アメリカ、イギリス、オーストラリアでした。どの国もインフレ率は1~3%に目標設定してい…

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10勝158敗

このブログで、日銀の政策の問題点を指摘してきました。しかし、みなさんの中には、「詳しくはわからないが、日銀だって精一杯やっているはずだ。金融政策というのは複雑なので、一概に責任は問えない」とお思いの方も多いのではないかと思います。なるほどその通りです。でも、自民党の安倍総裁が、日銀に対して量的緩和を推し進めるという方針を打ち出した途端、一気に円安、株高が進みました。ということで、「詳しくはわからないが、日銀も精一杯やっているはずだ」という考えについて一度冷静に検証してみる必要がありそうです。でも、どうやって検証したらいいのでしょう。一般に、ビジネスでは目標が設定されています。日銀の目標とは何で…

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マッカラム・ルール

経済成長率には、実質成長率と名目成長率の2種類があります。実質成長率というのは、それこそ産業構造だとか、企業の成長力とかに関係します。ですので、金融経済学が頑張れる部分は限られてきます。一方、名目成長率というのは、インフレ率を加味したものですのでこれは金融経済学の守備範囲です。日本政府が、名目成長率をいくらにするかという目標を立てた場合、それが達成できるかどうかは、日銀がどの程度のマネタリーベースを供給するかにかかっています。この関係を表したのがマッカラム・ルールです。経済学を学んだ人なら誰でも知っているルールです。再三紹介している安達氏の「円高の正体」に、名目成長率が2%および4%を目指した…

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ドル/円レートを決めるものとは

前回まで、修正ソロスチャートの話をしました。もう一度おさらいしましょう。日本とアメリカにおいて、それぞれの中央銀行が銀行に供給したマネタリーベースのうち実際に貸出等に回された(すなわちブタ積みを差し引いた)部分の比率が、ドル/円レートにぴったり一致するというものでした。これは何を意味するのか考えてみましょう。以前勉強した、MV=PTという素朴な貨幣数量説を覚えていますか?6月4日のブログです。V(貨幣速度)とP(取引総量)を一定と仮定するとM(マネーサプライ)が上昇すれば、P(物価)が高くなるということでした。つまり、マネーサプライが増えれば、インフレになるのでしたね。今アメリカで、マネタリベ…

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ソロスチャート(2)

2001年以降、ソロスチャートが一致しなくなると、学者たちは、それ見たことかと大威張りでした。しかし、安達誠司氏が「円高の正体」でこの謎を解いてくれました。結論から言うと、日本ではマネタリーベースを増やしても、銀行が貸出を増やす気になれなかったのでマーケットにお金が出回らなかったのです。どういうことかと言うと、銀行は、わざわざリスクを取って貸出するよりは、利子がつかなくてもいいから、このまま日銀当座預金に放置しておこうと考えたのです。インフレになれば必ず資金需要は発生します。ですので、貸出先は山ほどあります。しかし、悲しいかな日本は、将来経済学のテキストに載るであろう程珍しい、デフレという超異…

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ソロスチャート(1)

前回、マネタリーベースのお話をしました。実はこのマネタリーベースを増やせば、円安にすることができるのです。現在は引退しましたが、ヘッジファンドと言えば知らない人がいないほど有名なあのジョージ・ソロスが提唱したチャートがあります。ソロスチャートと言って、日米のマネタリーベースの比率の動きと、ドル/円レートの動きは連動するというものです。たしかに一時期、これは魔法のように一致していました。しかし、経済学者の間ではこのチャートはすこぶる評判が悪かったのです。理由はカンタン。マネタリーベースというたった一つの要因だけで決まるほど、ドル/円レートの動きは単純ではないという主張でした。日本に関していうと、…

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銀行のはじまりは金細工職人

前回、信用創造について、銀行の貸出モデルをもとに解説しました。今回は、そもそも銀行業がどのようにして始まったかについて、その経緯をご説明しましょう。銀行の前身となったのは、ヨーロッパの「金(きん)細工職人」です。金細工の職人のところには、泥棒から金(きん)を守るため、立派な金庫がありました。これから先は混乱を避けるため、「金」と表記した場合は金属の「きん」を指し、お金については「現金」と表記することとします。では、お話に戻りましょう。金細工職人の家には立派な金庫がありましたが、一般の人は金庫など持っていません。そこで、金を持っている人は心配なので、金細工職人のところに行き、その立派な金庫で、一…

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信用を創造する

前回、各銀行の日銀当座預金残高を増やしてやることが、すなわちマネタリーベースを増やすことであり、大量の現ナマを供給したのと同じ効果があると書きました。今回は、その理由を説明しましょう。今、日銀がA銀行に対して供給するマネタリーベースを、1億円増やしたとします。A銀行の日銀当座預金残高は1億円増えます。A銀行の法定準備金はたっぷりありますので、これを遊ばせておいても利益は生まれません。よってA銀行は、1億円を貸し出そうとします。今、A銀行が、ある会社に1億円貸し付けたとしましょう。A銀行の帳簿には、1億円の貸出実績があったと記録されます。それはすなわち、1億円がマーケットに出回ったことを意味しま…

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マネタリーベース

このブログで「インフレにするにはマネーサプライを増やすこと」と説明してきましたが、これも経済学的には正確ではありません。マネーサプライというのは、日本中に出回っている現金通貨だけでなく、信用創造により生み出されたお金も含まれます。これを操作するとなると、膨大な量のマネーを動かす必要があります。そこで、ベースマネーとか、マネタリーベースという考え方が採られています。これは、信用創造の基となるお金をコントロールしようということです。具体的に言うと、各銀行の日銀当座預金残高に対する資金供給をコントロールすることです。なんだか難しくなってきましたね。信用創造と言う言葉については、後で説明します。まず、…

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