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5☆s 講師ブログ

洪水を恐れ火事を放置する?

リーマンショック後に、日銀は重大なミスを犯しました。
世界中の中央銀行が、未曾有の危機を前にしてまずやったことは
デフレを防ぐためにマネーサプライ(通貨供給量)を増やすことでした。

ちょっと専門的な話になりますが、各国の中央銀行はマネタリーベースの供給を
それまでの2~3倍へと大幅に増やしました。
(マネタリーベースとマネーサプライの関係については、後でじっくりご説明します。
なにせ大学院レベルの話ですので)

しかし、日銀はわずか10%しか増やしませんでした。
理解に苦しむ行動ですが、急激に円高が進んだ原因はこれです。

今一度整理しましょう。
ドルのマネーサプライが大幅に増えれば、必ずドル安/円高になります。

そのメカニズムをわかりやすくご説明しますね。
単純化のために、あえてこんな設定を考えてみました。

今、アメリカで流通しているドルの総額が、1万ドルしかないとします。
一方、日本では総額100万円しか流通していないとしましょう。
では為替レートを計算してみますね。
1万ドル=100万円ですから、1ドル=100円ですよね。

次にアメリカがマネーサプライを1万ドル増やして、2万ドルにしたとしましょう。
日本はそのままです。
すると、2万ドル=100万円ですから、1ドル=50円となります。

小学生でもわかる、実に簡単な理屈です。
これが、本来円安になるべきはずの、
借金大魔王の国の通貨が、空前の高値になってしまったからくりです。
ギリシャも、財政赤字も、産業構造もまったく関係ありません。

この事例ほど簡単な構造ではありませんが、為替レートに多大な影響を与えるのはマネーサプライです。
経済学を少しでも学んだ経験のある人にとっては、常識中の常識です。

では、なぜ日銀はマネタリーベースの供給量を増やして、
マネーサプライを増やさなかったのでしょうか?

日銀はインフレを恐れていたのです。

分かりやすくするために、インフレを洪水に、デフレを火事に例えてみましょう。
火事(デフレ)が発生して消防車が現場に駆けつけます。
しかし、そこは周囲より低い土地なので、放水を開始すると洪水(インフレ)が発生する可能性があります。
そのため、日銀は洪水(インフレ)を恐れ、火事(デフレ)を放置したのです。

ふつうに考えると、洪水を心配する前に、まず火事を消すべきですよね。
しかし、日銀は洪水を防止する責任は負っていますが、火事を消す責任はないのです。
そのように法律で決められているのです。
私はこの法律が問題だと思っています。
日銀は、 失業率にも責任を負うと規定すれば、デフレ(火事)の対応もやらざるを得ません。

金融政策などというと、とても難しいことのように感じてしまいます。
そして、なんとなく、専門家がそれなりにキチンとやっているのだろうと思ってしまいがちです。

でも、必ずしもそうではないことを、私たちは震災のときに経験しました。
そうです。
原子力安全・保安院の人たちです。

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