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村上 徹

経済学を知らない政治家たち

いくら選挙で国民から選ばれたとは言え、経済のことをまったく知らない政治家が、経済政策を担当するのはあまりに無謀ではないのでしょうか。小泉内閣時代にこんなことがありました。あまりに景気が低迷するので、巷では減税を望む声が日増しに強くなっていた時です。「爺」と呼ばれる年配の財務大臣がこんな趣旨の発言をしました。「国の予算は赤字で大変なのだから、もしも今年減税を実施するなら、減税となった分は来年と再来年に増税したらどうか」私はこの発言を聞いたとき、愕然としました。財務大臣ともあろう人が、『リカード・バローの中立命題』をご存知ないとは・・・・ これは、マクロ経済学のテキストの最初の1ページに書いてある…

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海外旅行する老人に気をつけろ!

国の借金が増えているという問題を、世代間の問題として捉えている評論家もいます。すなわち、借金がかさむと、その利払いで苦しむのは税金を負担している現役世代の人たちだという論理です。この指摘のどこがまちがいかはもうお分かりですね。そうです。富が移転するのは、現役世代から老年世代に対してではありません。国債を持っていない人から国債を持っている人に対してです。例え老年世代が、国債で運用されている預貯金をたくさん持っていたとしても、亡くなってしまえばその資産は現役世代に相続されます。結局、相続という形で資産は日本国内に留まるわけです。ただ唯一問題となるとすれば、次のようなケースのときです。日本の老人たち…

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財政赤字はたいした問題ではない

前々回のブログで、日本国債の保有者は国内の機関投資家がほとんどであるという話をしました。では、もし国債の保有者が外国の投資家だったらどうなるのでしょうか。増税により国内から吸い上げた富は、すべて外国に流出することになります。ロシアやアルゼンチンの例はまさにこれです。一軒の家に例えると、隣の家から借金していたわけです。たしかにこの場合は問題です。ところが日本の場合は、一軒の家の中に貸主と借主がいたわけです。いわば、夫が妻から借金していたようなものです。だから私は問題ではないといったのです。(ただ、人によっては、妻から借りる方がよほど問題だという人もいます)では、外国から借りた借金が返せなければ国…

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財政赤字でボロ儲けしたのは・・・・

まず、借金は何に使われたのでしょうか。もちろん最大のものは公共事業です。では、その公共事業で誰が潤ったのでしょうか。たしかに建設業者も潤いましたが、このブログで学んだように乗数効果というものがあり、結構広範囲の人々に恩恵は行き渡っているのです。うそではありません。その証拠に、国内の個人金融資産残高は総額1400兆円にも上ります。これは世界に例を見ない数字ですし、人類史上最高の金額です。分かりやすく言うと、国が借金をして様々な事業を刺激し、その結果様々な産業が栄えたおかげで私たちの収入は増え、預貯金などの資産を持てたということです。なんと、国の借金のおかげでボロ儲けしていたのは、私たちに他ならな…

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財政赤字は本当に問題なのか?

メデイアの論調では、日本国の財政赤字は800兆円以上にまで膨らみ、このままでは日本国が破綻する恐れさえあるといいます。これは大変なことです。しかし、本当にそれほどの大問題なのでしょうか?私は、たいした問題ではないと思っています。なぜかということをこれからお話ししましょう。まず、こんな風に仮定してみますね。将来、この借金を一度に返済するため、増税という道を選んだとしましょう。日本に住む私たちから広く薄く(あるいは厚く)、お金が集められます。つまり、日本の富が吸い上げられて、誰かの手に渡るのです。それは誰かというと、日本国債の保有者です。では、国債の保有者とは一体誰なのでしょうか?国が破綻するほど…

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東国原知事を見習うべきか?

地盤沈下が激しい地方にあって、今最高に脚光を浴びているのは宮崎県です。日本の政治家で、東国原知事ほどメディアに露出する回数が多い人は初めてでしょう。彼の精力的なPR活動のおかけで、宮崎県の観光産業や農業等は活況を呈しています。「うちの知事もあれくらいメディアに出てくれれば・・・」と思っている地方の方々も多いことでしょう。しかし、この考えは正しいのでしょうか。もし全国の県知事がみんな有名人で、積極的にメディアに登場して観光をPRしたとしたら、はたして地方の景気はよくなるのでしょうか。そう思っている人はひとりもいないはずです。当然のことながら、日本の観光人口には上限があります。つまり、観光という産…

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戦争か? 食料自給か?

小泉内閣の「痛みを伴う構造改革」の実態が明らかになるにつれ、改革の影の部分について言及する政治家が増えました。格差是正のために地方、とくに農業への支援を積極的にすべきと主張する政治家もいます。そもそも「ばら撒き」以外の何者でもないこの政策が、それなりに説得性を持つのは日本の食料自給率があまりに低いからです。現在の日本は、食卓に上がる食品のかなりの部分を輸入に頼っています。つまり食料自給率はかなり低いのです。ですので、もし戦争や不測の事態がおこった時には、すぐに深刻な食料不足に陥ります。だから、万一の事態に備えて食料生産の担い手である農業を保護しようというのが、この論の趣旨です。一見リスクマネジ…

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歴史という名の法廷

小泉内閣も浜口内閣も、痛みを伴う改革により深刻なデフレに陥ったり、あるいはデフレをさらに悪化させてしまいました。ところが、当時の日本と現在の日本とでは、決定的に異なるところが2つほどあります。ひとつは経常黒字です。優秀な日本製品が世界中で認められているのです。私たちはもっと自信を持ってもいいのではないでしょうか。そしてもうひとつ。それは家計部門の貯蓄額です。当時は、どこの家庭もほとんど貯蓄などできない状態でしたが、日本の貯蓄額は今や1400兆円という天文学的な数字に達しています。問題は、それが一向に消費に向かおうとせず、塩漬けになっていることなのです。まるで、消費を切り詰めて一生懸命貯蓄するこ…

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そしてみんな暗殺された

浜口内閣の悲劇的な結末を述べる前に、この経済政策により何が起こったかを見てみましょう。まず失業者が急増しました。大卒の就職率はなんと40%台でした。また、深刻なデフレにより農産物の価格は1/3にまで落ち込み、農村部では身売りまで行われたといいます。全国各地で労働争議や小作争議が勃発し、右翼ファシストによるテロが続発しました。そして1930年、浜口首相はテロリストに狙撃され致命傷を負い、大蔵大臣の井上準之助もまた暗殺されました。これが「痛み」の内容です。前回お話ししたように、小泉内閣の誕生により治安が劇的に悪化するという私の予想は大きくはずれたのです。ではなぜ小泉内閣のときにはテロが起きなかった…

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小泉内閣と浜口内閣

小泉内閣が誕生したとき、私はある予言をしました。それは『治安が劇的に悪化する』ということでした。たしかに犯罪件数はうなぎのぼりに増え、一方で検挙率は戦後最低となってしまいました。しかし、それでも私の予言は大はずれだったのです。というのは、もっと深刻な事態を予想していたからです。私は、1920年代に小泉首相とまったく同じ経済政策を実行した、浜口雄幸内閣の頃を予想していたからです。まず、当時の時代背景をご説明しましょう。第一次大戦後に訪れた好況はやがてバブルの様相を呈し、1920年には台湾銀行や鈴木商店の破綻によりバブル崩壊を迎えました。そして、銀行の取り付け騒ぎにまで発展したため、日銀は特融を実…

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