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村上 徹

小泉改革はどこが誤りか

小泉氏以来、政治家はこぞって「改革」「改革」と叫んでいますが、今一度「改革」の意味を考えてみる必要があります。「改革」とは一体何のことを言い、それにより私たちはどんな恩恵を受け、私たちの生活はどんな風に豊かになったのでしょうか。誰に聞いても、みな口をつぐんでしまいます。ただ、はっきり発言する人々がいます。それは地方に生活する人たちですが、彼らの評価は非常にきびしいものです。彼らは、はっきりと「小泉改革により生活は悪くなった」と言います。公共事業の中止により、まず雇用が失われました。そして、規制緩和による価格競争の激化により、賃金水準も低下しました。今や、タクシー・ドライバーの年収が100万円台…

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「改革」のどこが誤りか

まず、企業にとって小泉改革がどのような影響を与えたか見てみましょう。新規参入を認めて業界の競争を激化させると、一体どのようなことが起こるのでしょうか。新規参入企業が増えて競争が激化し出すと、まず、価格が焦点になりました。世の中は将来不安から、少しでも安いものを求める風潮にありましたので、今までより安い品物が受け入れられました。すると、既存企業もそれに対抗するため、徹底的なコストダウンに取り組まざるを得ませんでした。企業コストの最たるものは、もちろん人件費です。この小泉改革をきっかけにして、世の中の企業はリストラ一色になりました。では、つぎに、もうひとつの改革である、公共事業について見てみましょ…

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小泉さんが学生だったら・・・

小泉さん以来、政治のキーワードは「改革」になってしまった感があります。当時の小泉首相は、バブル崩壊後なお低迷が続く日本経済に対して、「痛みを伴う構造改革」をテーマに掲げました。構造改革というのは、業界ごとの規制を撤廃し、新規参入をしやすくしたことです。小泉さんの論に従えば、このような新規参入業者がもたらす競争こそが、景気を回復させる鍵になるということでした。だから彼は自信満々にこう言い放ったのです。「改革なくして成長なし」はたして、彼の主張は正しかったのでしょうか。経済学的には、完全な誤りでした。もし彼が、経済学部の学生なら、彼の答案はこのように直されていたことでしょう。「成長なくして改革なし…

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人々はなぜ貯蓄に励むのか?

少し公共事業のことに話しがそれてしまいました。この辺で本題に戻して、なぜ人々が貯蓄に励むのかについてみていきましょう。問題となるのは90年代後半、小渕内閣が大規模な財政出動をしたにも関わらず、その効果がほとんど見られなかったことです。これは様々な論文で、乗数効果が小さかったことが検証されています。つまり、人々が財布のヒモを固く締めて貯蓄に励んだということです。では、なぜ、このとき人々は財布のヒモを固く締めたのでしょうか?私の答えは『不安』です。大銀行の破綻が相次ぎ、人々はいつリストラされるかわからないという恐怖に襲われていました。年金生活者は、支給水準が引き下げられるのではないかという強い懸念…

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でも、やっぱりムダな工事は・・・

前回、「乗数効果」を分かりやすく解説しました。このとき、人々があまり貯蓄せず、どんどんお金を使ってくれる人ばかりだと乗数効果は大きくなります。専門的に言いますと、「乗数は限界貯蓄性向の逆数」と定義されていますので、貯蓄に励む人が多いほど乗数は小さくなり、経済効果は期待できません。ただ、だからムダな工事をどんどん発注しろと言っているわけではありません。乗数効果だけに期待する公共事業は、経済政策としてはやはり間違っているからです。なぜなら、それだったら公共事業を行わずに、労働者に給料相当分を「施し」として手渡しても同じだからです。「ムダな工事」でもある程度は経済効果はありますが、一番いいのは「ムダ…

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穴を掘って埋め戻す工事でも意味がある

穴を掘ってすぐに埋め戻すような公共事業でもムダではありません。なぜかというと、「乗数効果」というものが期待できるからです。いま、国から道路工事の仕事が発注されたとしましょう。工事業者はその仕事を請け負って、国から工事代金を受け取ります。この工事代金は、給料として労働者に支払われます。すると、彼らは夜になると町に出かけ、毎晩焼鳥屋で散財したとしましょう。焼鳥屋は儲かります。焼鳥屋のおかみは次の休日にデパートへ出かけ、欲しかった洋服をまとめ買いします。するとデパートが儲かり・・・・昔から「金は天下の回りもの」というように、このようにお金が社会を駆け巡ります。つまり、国から工事業者に支払われたお金が…

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貯蓄は悪である!? (2)

国民の多くが貯蓄に励めば励むほど景気が低迷することは、随分前から知られていました。私も、学生時代に勉強したサミュエルソンの本の中に「節倹のパラドクス」というのがあったことを覚えています。今回は、この理論を使って、バブル崩壊後の日本の景気低迷を説明しましょう。デフレが深刻化した90年代末に、当時の小渕内閣は、ケインズ経済学の教科書どおり大規模な財政出動を行いました。つまり、様々な公共事業を行い、建築業者らにお金をバラ撒いたのです。現在、日本国の借金が800億円超と言われて問題視されていますが、このときの追加の借金も結構大きな要因となっているのです。ただ、この政策が間違っていたわけではありません。…

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貯蓄は悪である!? (1)

私たちは小さいときから「浪費は悪。貯蓄は美徳」と教えられてきました。アリとキリギリスの寓話もあるくらいですから、こういった思想は日本だけのものではないのでしょう。しかしながら、あえて経済学の視点で問題提起したいのです。「貯蓄は悪である」と。経済学では、すでに結論は出ています。それは、国民全員が貯蓄に励んだ場合、深刻な不況に陥る場合があるということです。その行いをする人が少数ならばいい結果が得られますが、大勢で行うといい結果が得られないことを『合成の誤謬(ごびゅう)』と言います。まさに、この「貯蓄」こそが、ある状況下ではその典型例となってしまうのです。サラリーマンの場合、税金や社会保険料を差し引…

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日本は不平等国!?

地方税の納付先を選択できるようにしてはどうか、という提案の趣旨は以下のようなものです。地方自治体が、中学や高校に教育費をつぎ込んで人を育てても、いざ就職となると働き口の多い首都圏などに流出してしまいます。これでは地方としては割が合わないので、彼らが都会で納める地方税を本人の希望により故郷の自治体などに納めることができるようにしてはどうかということです。たしかに東京と地方の格差は大きく開きつつあります。日本は平等な国だとばかり思っていましたが、驚くようなデータがあります。橘木俊詔氏によると、先進国20カ国の中で貧富の差が少ない順に、つまり平等な国の順に並べると、日本はなんと15位だそうです。なん…

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イラク国民が望むこと

かつて、イラクの治安維持活動に日本の自衛隊が出動しました。隊員の方々は、非常に危険な情勢の中で、大変な思いをされて任務を全うされたようです。しかし、あのような活動が、本当にイラク国民が望んでいたことなのかというと、少し疑問が残ります。イラクの人々は、自らが働いてお金を手に入れるシステム、すなわち産業を興す手助けを望んでいたのではないでしょうか。もちろん、あれほど危険な情勢の中では、どんな企業も進出できないのは当然です。ただ、日本という軍隊を持たない国に対してイラクの人々が期待していたのは、経済的な支援であることはまちがいないはずです。何度も言いますが、経済的支援というのは、食料支援などの施しで…

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