株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

輸出立国ニッポンは本当に正しいことか?

中国は今、安い人件費を売りに、安価な工業製品を大量に輸出しています。そして、日本の工場の多くは中国に移転してしまい、いわゆる“空洞化”の問題が持ち上がっています。もはや日本の労働者は、ハンダづけなどの誰でもできるような単純労働をしていては勝ち目がない時代に入ったのです。日本の産業に求められているのは、もっとクリエイティブな仕事です。そういう意味で、日本の製造業は大健闘しています。トヨタのカンバン方式に代表されるような効率性の工夫など、他国の工場では見られないキメ細かさです。また、このデフレ期を生き残るためにコストダウンにも徹底して取り組みました。省エネなども世界のトップクラスです。商品開発力で…

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経済学者と政治との関係

今回の株式暴落における政治の無為無策の中でも、唯一明るい話題は内閣府特命大臣の渡辺喜美氏の見識の高さがわかったことでした。正直言って、あれほど日本経済に対して的確な認識を持っている人は舛添要一氏以来でしょう。おそらく、日頃から経済のことについて相当勉強していると思います。ただ残念なのは、経済についてこれほど高い見識をもった人が、経済に直接関係する部門を担当していないということです。一方で直接担当している大臣が「日本は経済一流国ではない」と発言して物議をかもしました。もちろんこの発言の真意もわからないではないのですが、大臣であるならば「ではどういう方策をとって一流国に返り咲くのか」という具体的な…

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政府は不安を解消したのか?

人々の不安心理という感情が、経済の足を引っ張っている典型的なケースを私たちは目撃しました。昨年暮れから日本の株価市場が暴落を続けたことです。これこそ不安心理の極端なケースです。狼狽売りとかパニック売りと言っていいくらいの状況でした。これらの行動のもとになっているのは『論理』ではなく『感情』です。そして、この騒動で私たちが学習したことがもう一つあります。それは、この事態に対して日本の政治家たちが全く無力だったことです。テレビで報道される首相や官房長官のコメントを見ると、およそ経済学の知識というものはほぼゼロと言っても過言ではないでしょう。投資家というのは、不安の真っただ中にいる状況では、政治に期…

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日本は「不安症候群」?

今の日本を考えてみると、たとえ財政出動や減税によって所得が増えたとしても、人々はその多くを貯蓄に回す傾向にあるのではないでしょうか。なぜ、人々は消費しないのでしょうか?なぜ、あえて貯蓄に回して、自ら景気を悪くするような行動に出るのでしょうか?それは人々が将来に対して『不安』を感じているからです。その気持ちもわからないではないですが、少し冷静に考えてみましょう。世界中で最も多くの個人金融資産を持っている国は日本です。人類史上最高の個人金融資産を持っている国も日本です。これでもなお、貯蓄に励まなければならないのはなぜでしょう。人々は、いくら貯めても将来に『不安』を感じている限りは貯蓄をやめません。…

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あなたはいくら貯蓄しますか?

財政出動でまず最初に給料を受け取る人の人々の所得が増えれば、それが何倍の経済効果をもたらすかを表す数値が、以前お話した「乗数効果」というものでした。その時「乗数効果の値は、限界貯蓄性向の逆数である」と紹介しました。その意味を解説しましょう。限界貯蓄性向から解説します。もし今、臨時ボーナスとして10万円を手にしたら、あなたはそのうちのいくらを貯金しますか?第一のケースとして、5万円貯蓄する場合を考えてみましょう。このとき、限界貯蓄性向は0.5=5/10です。この逆数となると、10/5ですからイコール2ということになります。すなわち乗数効果は2です。日本全体で手にした臨時ボーナスの総額が100億円…

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行動ファイナンス理論

シリーズにわたり行動ファイナンスの問題事例について解説してきました。本来、この学問では「エルスバーグの壷」や「ベイズの定理」から入って、プロスペクト理論や価値関数といった理論を解説するのが筋なのですが、ちょっと専門的すぎて面白くないので興味本位の入門編の問題事例から入ってみました。行動ファイナンス理論をキチンと勉強したい方には、入門編として真壁昭夫著「最強のファイナンス理論」(講談社現代新書)をお勧めします。わかっていただきたいのは、『人間の行動なんて理屈に合わないことばかりだ』ということです。今までの経済学は、人々の経済行動のもとになっているのが『感情』であるということに、あまりに無頓着だっ…

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気分は「インフレOK !」(その2)

前回に続き、シェイファー、ダイヤモンド、トヴェルスキーらの実験をご紹介しましょう。【問題1】少しの利益を上げている会社があります。しかし、その地域は不況で深刻な失業が発生しています。この会社で働きたいという人は大勢いるので、この会社は賃金を7%カットする予定です。ちなみにインフレはありません。このケースで「受け入れられる」と回答した人はわずか38%だったのに対し、「不公正である」と回答した人は62%もいました。【問題2】上記と同様の状況ですが、インフレ率は12%です。この会社は、5%しか昇給しない予定です。ちょっと冷静になって考えると、問題1と状況は同じであることがわかりますよね。なぜなら、実…

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気分は「インフレOK !」

このブログでは、もう耳にタコができるほど「インフレは悪ではない」と繰り返してきましたが、この行動ファイナンス理論ではすでに実証されているのです。シェイファー、ダイヤモンド、トヴェルスキーらの実験をご紹介しましょう。【問題】AとBは同じ大学を1年違いで卒業し、二人とも同じような会社に入った。Aは1年目の給与が3万ドル(この間インフレなし)で、2年目は2%昇給した(600ドル)。Bは1年目3万ドルだが、インフレ率は4%、2年目は5%昇給した(1500ドル)。さて、質問です。①2年目になったとき経済的条件がいいのは?②2年目になったとき幸せなのは?①については、冷静に計算するとAが有利なのはわかりま…

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なんと株価までも・・・

株を購入している人は、その株価動向が気になるところです。中間決算や、M&Aの記事があるとついつい目が行ってしまいます。しかし、株価の動きが天気に左右されるとしたらどうでしょう?そう言えば昔から、「晴天効果」などと言って、晴れの日には株価が上がるということが言われていました。本当でしょうか?加藤英明氏の「天気と株価の不思議な関係」(東洋経済新報社)によると、過去40年間の日経平均株価指数をもとにした株式日次収益率と、午後3時までの雲量との関係を分析したところ、まちがいなく晴天効果が認められました。ただ、90年代にはこの効果が減少しました。理由は二つあり、ひとつは80年代後半に日経平均先物取引がシ…

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年末ジャンボはなぜ当たらないのか

昨年の年末ジャンボ宝くじはお買いになりましたか?私は一度も買ったことがないのですが、会社が新橋にあるため毎日烏森口のあの売り場の前を通っていると、ついつい「買おうかな」という気持ちになってしまいます。しかし、昨年は、年末の週刊東洋経済(07年12月15日号)が行動ファイナンスの特集をしてくれたおかげで買わずにすみました。年末ジャンボ宝くじの1等は2億円です。では、その1等が当たる確率を計算してみましょう。あなたは、東京ドームに野球観戦に行ったと仮定しましょう。45000人の満員の観客の中から、抽選でひとりに2億円が当たる抽選会をやっていました。どうですか?当たる気がしますか?あまりしませんよね…

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