株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

MV=PTの難点

MV=PTというのは素朴な貨幣数量説と言われ、M(マネーサプライ)を増やせば、P(物価)は上がるという関係を表しています。しかし、水野和夫氏が「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」(日本経済新聞出版社)で、指摘しているように、Mが増えてもそのお金が株や土地に投資されてしまい、結果として物価上昇に結びつかないことがあります。実際、80年代後半の日本がそうでした。当時の日本は円高不況で苦しんでいました。そこで、政府・日銀は金融緩和策をとりました。これは正解です。日本は変動相場制を採用していますので、景気の回復を目指すなら、財政出動よりも金融緩和策の方が効果が高いというのは、マンデルフレミン…

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私が日銀総裁なら・・・

私が日銀総裁ならば、今すぐ景気回復のためにとる方策があります。それは、日銀が株式市場から、直接株を購入することです。その理由を説明する前に、この大不況がなぜ起こったかを振り返ってみましょう。まず最初に起こったことは、アメリカのサブプライムローンの破綻でした。これが引き金となって、世界中の金融商品や株が大暴落しました。このとき、メディアはこのように報じました。この金融界の問題が、いずれ実経済にも飛び火するのではないかと。そして、事態はメディアの予言どおりになりました。自動車や電器製品などの工業製品が売れなくなり、これらの輸出で潤っていた日本は大きな打撃を受けたのです。金融商品の値下がりが、なぜ工…

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ミスター円

5年くらい前のことです。夜のビジネス番組を見ていたとき、思わずフリーズしてしまうような事件が起きたのです。二人の経済学者が討論をしていました。ひとりは、私が、日本でもっとも優れた経済学者ではないかと思っている、学習院大学の岩田規久男氏です。もうひとりも某大学の教授で、かつて官僚として為替相場を動かしていた人です。岩田氏が、持ち前の量的緩和論を持ち出して、デフレ脱却のために日銀はもっと紙幣を印刷すべきと主張しました。そして、もしそれでもインフレが起こらないなら、政府はそのお金で株式市場の株を買うべきと続けました。それでもダメなら土地を買ってもいいとも。もし政府がこのような行動に出れば、確実にイン…

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インフレの起こし方

前回、インフレを起こせば消費は活性化するとお話しました。ではどうやってインフレを起こせばいいのでしょう。実は、この議論はすでに飽きるほどし尽くされています。かつてデフレが深刻だった頃、インフレターゲット論者たちの間で散々議論されていたのです。答えは、カンタン!中央銀行がどんどんお金を印刷することです。世の中のお金がジャブジャブになれば、必ずインフレは起きます。経済学的には、マネーサプライを増やすと言います。以前、MV=PTという「素朴な貨幣数量説」のテーマでお話しましたね。V(貨幣速度)を一定と仮定すると、左辺のM(マネーサプライ)が増えれば、当然右辺のP(物価)も上がるという単純な式です。し…

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定額給付金

ようやく定額給付金関連法案が可決し、支給が始まりました。飲食店やホテルなどでは、1万2000円という価格のメニューが次々と提案されているようです。これが消費の呼び水になれば、不況脱出の兆しが見えてきます。しかし、みなさんはこのお金をどう遣いますか?先行き不安なので、とりあえず消費しないで貯めておくという人もいるはずです。でも、それでは経済効果は全くありません。定額給付金は、どうしても遣ってもらわなければならないのです。と言っても、遣わずに貯めた人を取り締まるわけにもいきません。そこでいい方法があります。それはインフレを起こすことです。物価が上がっていくと、持っているお金は目減りします。そうなる…

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公的年金はいつ破綻する?

この公的年金の問題を扱うシリーズの初回に、国民年金は今年中に破綻するのではないかと書きました。これは単なる勘で言っているのではなく、何人かの専門家の発言をもとにしたものです。ただし、社会保険庁が国民年金の財政状況をオープンにしていないので、本当のところは誰も分かりません。しかし、思い当たる節はあります。100年に一度という大不況の時代に、こともあろうに政府が消費税の引き上げについて盛んに言及していることです。これは全く理解できない行為です。消費税を一時的に引き下げまでして消費を刺激している国さえあるのに、3年後に消費税を上げる可能性があるなどというのは、景気浮揚に完全に逆行する話です。ただ、政…

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日本の年金は世界最高額

TV番組のドキュメンタリーなどを見ていると、年金生活の老人がよく取り上げられています。そして、いつもその結論は、年金額はスズメの涙ほどでありとても満足な生活ができないという、日本の年金制度の貧困さを訴えるものです。本当でしょうか。本当に日本の年金制度は外国と比べて貧弱なのでしょうか。ここに一冊の本があります。原田泰・鈴木準著「人口減少社会は怖くない」(日本評論社)です。この本には、2002~3年時点における、先進各国のモデル年金額の比較表が掲載されています。でも、ちょっと待ってください!そもそも各国の物価水準が異なるので、単純に比較はできませんよね。ご安心ください。経済学では、購買力平価という…

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もはや高齢化社会ではない!?

「高齢化社会」とよく耳にしますが、実は日本は高齢化社会ではありません。ちょっと難しい話になりますが、学術的な定義から見てみましょう。国連の定義では、65歳以上人口が全体の7%を占めると「高齢化社会」といいます。一方、人口学の定義では、14%を占めると「高齢社会」となり、「化」がとれるそうです。現在の日本は19%に達していますので、もはや高齢「化」どころの騒ぎではありません。あえて言うならば「超」高齢社会です。19%という老人の多さも問題なのですが、日本の場合もっと深刻な問題は別なところにあります。それは、高齢化の進むスピードが異常に早いということです。65歳以上人口の占める割合が、7%から14…

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人口爆発

日本の人口推移を、西暦0年から折れ線グラフにしたものがあります。広井良典氏の「遺伝子の技術、遺伝子の思想」(中公新書)に掲載されているのですが、これを見ると大変驚かされます。というのは、戦国時代の西暦1500年くらいまではグラフはほぼ横ばいで、1000万人を少し超えたくらいです。しかし、その後の500年間で日本の人口は急増し、1億3000万人近くに達するのです。特に明治以降の人口増は著しく、グラフがほぼ垂直に立っている状態なのです。まさに人口爆発といってもいいでしょう。日本は、明治以降目覚しい経済発展を成し遂げましたが、それを支えた一因として、人口がどんどん増えたことによって労働力が豊富に提供…

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平均寿命が延びた原因 partⅡ

前回、日本の平均寿命の延びは、新たな抗生物質の発見と関係があると話しました。では、なぜ日本だけがその恩恵に預かれたのでしょうか。それは、非常によく整備された国民皆保険制度のおかげです。現在、先進国の中で平均寿命が短いのはアメリカですが、これは健康保険制度の不備によるものだと、クルーグマンも指摘しています。この改革を訴えていたのはヒラリー・クリントンでしたが、オバマ大統領に敗れたことで改革はまた先の話になってしまいました。つまり、日本はいち早く国民皆保険制度を実現し、しかも次々に発見される抗生物質を健康保険の適用対象としたおかげで、乳幼児の死亡率が激減したのです。このことが、日本を世界の長寿国に…

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