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村上 徹

「恐怖」が市場を席捲する

前回までのブログで、サブプライム・ローン問題の不良債権総額はそれほど大きくありませんでしたが、人々が疑心暗鬼になったため金融商品のマーケット価格が暴落したという話を書きました。これは、先日の世界同時株安も同様です。よく「景気の”気”は、気持ちの”気”である」といいますが、まさにマーケットを支配しているのは感情なのです。サブプライム・ローンと全く同じ構造なのが、中国の冷凍餃子事件です。農薬の混入が確認された袋は、確か数十袋だったと記憶していますが、この事件を契機に日本全国で輸入もの冷凍餃子の消費は極端に落ち込みました。聞くところによると、国内で作られたものでさえ影響を受けたようです。金融市場にお…

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金融工学バブル

前回、アメリカのバブル崩壊は「金融工学バブル」の崩壊だと言いました。90年代後半からアメリカの経済を引っ張ったのは、金融工学という新しい学問の登場でした。ブラック=ショールズ式が、世界の金融取引に与えた衝撃はまさに革命的なものでした。それまで、リターンをもたらす金融取引にはリスクがつきものであり、それは避けられないものとして考えられていました。そして、そのリスクを引き受けられるのは、一部の資本家や資産家に限られていたのです。しかし、そのリスクを証券化して細切れに分散することにより、多くの人々がちょっとずつリスクを分担するという仕組みが編み出されました。ブラック=ショールズ式がもてはやされたのは…

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本当に住宅バブルなの?

アメリカでサブプライムローンの問題が起こってから、早くも1年以上が経ちました。しかし、アメリカ経済はいまだに混迷状態にあります。というより、大手金融機関の破綻懸念報道や、議会の混乱ぶり、ニューヨークダウの動きを見る限りでは、ますます混迷の度合いが深まっていくような印象をうけます。そして、その影響を受けて世界経済も低迷したままです。メディアでは、この混迷の原因は「住宅バブルの崩壊」と報じていますが、本当にそうでしょうか?たしかにきっかけは、適正価格を大きく上回ってしまっていた住宅価格が、一気に下落したことでした。ここで言う「適正価格」には異論もあることでしょう。つまり、モノの値段は需要と供給のバ…

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富はどこへ行った?

アメリカの景気が、サブプライムローンの問題をきっかけに大きく後退しました。アメリカの旺盛な消費意欲は、これまで世界経済を引っ張ってきたのです。アメリカ人の多くが、多大な借金をしてまで消費に明け暮れてきたことに対して、「無責任」だと指摘する人もいます。しかし、彼らの消費スタイルのおかげで、その恩恵に預かってきたのは世界中の人々なのです。日本だって例外ではありません。そもそもここ数年続いた好景気は、輸出産業が牽引したものでした。おかげで、日本の大企業の多くが、史上最高利益を毎年更新するという、バブル期にもなかった事態となったのです。残念ながら、私たちにはそのような実感は全くありませんが・・・・もし…

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財政再建のカギは増税! ただし・・・

今まで、財政赤字を恐れるなと繰り返し主張してきました。なぜなら、発行した国債のほとんどが国内で消化されているので、返済期限については融通がきくからということでした。でも、このまま膨らみ続ける財政赤字を放って置くわけには行きません。いつかは、決着をつけなければならないことは明白です。ただ、忘れてならないのは、景気が回復すれば税収が増えるということです。だから、財政健全化を急ぐあまり、景気回復よりもそれを優先するということは絶対にあってはならないことです。しかし、景気については、上向く気配どころか世界同時株安で先行きが心配される事態となりました。もし、景気にそれほど影響を及ぼさずに、税収を増やすこ…

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なぜ賃金は上がらない?

前回、デフレ脱却の方策についてお話すると予告しました。経済学的に言うと、インフレターゲット政策というのが王道です。しかし、このブログで解説したように、お金をジャブジャブにしても(マネーサプライを増やしても)、人々の財布のヒモが固くてなかなかお金を遣わない(貨幣速度が下がっている)状況では、効果がありませんでした。つまり、人々の消費マインドを変えない限り効果は望めません。しかし、もし中央銀行が「インフレ期待」を生み出すことを宣言したとしても、問題はどうやってその期待を作り出すかです。かつて、日本が本当に大恐慌寸前だった90年代後半、岩田規久男氏は「日銀が市場の株式や土地を購入すること」を提案しま…

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本当にインフレは来るのか?

毎日の新聞やテレビのニュースを見ていると、ガソリンから食品までありとあらゆる商品が値上げされているような印象を受けます。しかし、本当にそうでしょうか?これだけインフレ報道が街に溢れかえると、消費マインドはどんどん冷え込んでしまいます。その結果、私たちの財布のヒモはますます固くなり、不要なものや衝動買いなどは極力抑えようとします。ましてや高価な買い物などはご法度です。店側としては当然売り上げが落ちますから、その対策が必要となります。しかし、対策といっても、やることはできるだけ安い商品を並べるしかありません。現実に、売り上げにかげりの見えているデパートなどは、インフレに逆行するべく低価格商品の開発…

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ムダな公共事業などない

以前、上げ潮派の話をしましたが、景気刺激のために財政出動を唱える政治家も目立ち始めました。しかし、メディアは「ムダなパラマキ型の公共事業は悪である」という論調です。すでにこのフログでお話しましたが、経済学的に見た場合、ムダな公共事業などはないのです。なぜなら、ばらまいたお金が景気の呼び水となって、需要の4番バッターである「個人消費」を刺激するからです。ところが、今の日本の深刻な問題は、公共事業が個人消費の呼び水にならないことです。では、ばらまいたお金が景気の呼び水になるというメカニズムを、もう一度おさらいしましょう。公共事業でばらまいたお金は、その何倍かの経済効果をもたらします。それは「乗数効…

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財政破綻と大騒ぎするけれど・・・

メディアは、「このままでは日本は財政破綻してしまう」と大騒ぎです。でも、本当に財政破綻してしまったら、一体どうなるのかは誰も教えてくれません。日本の国全体が夕張市のようになるのでしょうか。それを考える前に、基本的な知識をおさらいしておきましょう。まず、財政破綻により国債の償還ができなくなることを「デフォルト」といいます。要するに借金の踏み倒しです。過去にデフォルトを起した国はたくさんあります。ちょっと前ですが、ロシアやアルゼンチンの国債を買っていて痛い目に会った人もいるのではないでしょうか。これらの国は、よその国からの信用を維持するよりも、自国の人々の生活を最優先に考えたのでしょう。もちろん借…

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財政再建か?自殺か?

福田さんはあんなことになってしまいましたが、先月新内閣を組閣したときに、上げ潮派か、増税派かと騒がれました。上げ潮派というのは経済成長を重視する考え方で、経済発展によって税収を改善し、財政の健全化を目指す人たちのことだそうです。一方、増税派というのは、経済成長が見込めないので、財政健全化のためには増税も止む無しとする人たちのことだそうです。ここに根本的な疑問があります。政治家の中で、はたして経済成長を重視しない人がいるのでしょうか?もしいるとすれば、即刻引退するべきでしょう。財政の健全化は大切ですが、それが景気対策より優先することはありえません。まず、経済成長ありきなのです。経済成長があれば、…

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