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5☆s 講師ブログ

「水」詐欺(3)

最近は「ミネラルウォーター」がよく売れていますが、ミネラルウォーターには法律上の定義などあるのでしょうか?
食品衛生法では、次のように定義されています。

「水のみを原料とする清涼飲料水をいい、鉱水のみのもの、二酸化炭素を注入したもの、カルシウムを添加したもの」
何だかよくわかりません。

1990年に農林水産省が追加でガイドラインを発表したのですが、これにより水道水など飲用可能な水をボトルに詰めれば、どんなものでも「ミネラルウォーター」と称してよいことになりました。

つまり、一言で言うと「ミネラルウォーターとは飲用可能な水」のことです。

えっ?

何だか、ちょっとがっかりですよね。

最近は「天然水」と呼ばれるものが大人気ですが、これはガイドラインの中の「ナチュラルウォーター」に該当します。
ナチュラルウォーターの定義はこうです。

「特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の処理をしていない水」

成分に関する定義はありませんので、特定の場所で汲み上げた地下水ならば、ほとんどが「天然水」になるということです。

ただ、ひとつだけ気になる点があります。
それは、加熱殺菌されているかどうかです。
日本国内で生産されるミネラルウォーターのほとんどは加熱殺菌されていますが、フランス産は殺菌や除菌などは全くされていません。

なぜでしょう?
フランス産は、水源の周囲を環境保護区に指定して水質保全をしているからです。
欧州の水源管理はかなり厳しくて、採水地の周囲数万ヘクタールは家や工場の建設が認められていないそうです。

加熱殺菌しない理由は、もっとシンプルです。
そもそも、自然の水は加熱殺菌されていないからです。
つまり、少々雑菌が入っていたとしても、それはもともと自然界に存在するものなのでしょうがないという考え方です。
あくまで自然に拘るわけですから、自然界に存在するリスクも当然受け入れなければなりません。

「安全・安心」などと言っているのは、世界中で日本だけなのです。
では、日本のミネラルウォーターの安全性はどうなっているのでしょう。

なにせ「安全・安心」を念仏のように唱えている国ですから、さぞ厳しい基準が設定されていると思いきや、ミネラルウォーターは食品衛生法上「清涼飲料水」に分類されるため、水質基準項目は水道水よりずっと少ない設定になっています。
しかも、驚くべきことに基準値も水道水より甘く設定されているのです。

例えば、ヒ素の基準値は、水道水の場合は水道法で1リットル当たり0.01ミリグラムと規定されていますが、食品衛生法では0.05ミリグラムと5倍も緩くなっています。
単価的には、ミネラルウォーターは水道水の約千倍もするのに、水質基準は逆にかなり甘くなっているというのは奇妙な話です。

「天然水」と表記するだけで販売数はかなり伸びるそうですが、本当の天然水には微量のゴミやフンが入っている可能性があります。
私たちは、「天然水」というイメージに踊らされているにすぎません。

文系人間は、こんなものを有り難がって飲んでいたわけです。

でも、日本という国は、蛇口をひねれば安全な水が豊富に手に入ります。
そもそも、世界中で水道水をそのまま飲める国は数えるほどしかありません。
水資源に乏しい国がほとんどなのです。
幸いなことに、日本はアジア・モンスーン地帯という多雨の気候帯にあるため、一人当たりの水資源は相当量確保されています。

そして、日本の水道水は電気分解されているため、天然水より圧倒的にきれいです。
イメージの話をすると、最近は「ケイ素」が入ったサプリメントが売れているそうです。

ケイ素は地殻の28%を占める物質ですが、人体には全く役に立ちません。
ところが、サプリメントには「ケイ素」ではなく「シリカ」と表記されることが多いようです。
もしかしたら、水を吸収する「シリカゲル」を連想して、「シリカ」という物質が悪いものを吸収してくれると、消費者が勝手にイメージして買っているのかもしれません。

文系人間の科学知識なんて、所詮この程度です。
特殊詐欺に引っ掛からないためには、まずは身近な「水」商売に騙されないよう気をつけるところから始めましょう。

 

 

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