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村上 徹

心で泣いている

情動により流れる涙が、気持ちをすっきりさせる効果があることはわかりました。ところが、涙が出ない人もいます。リウマチ患者などは、シェーグレーン症状といって、一般に涙が出にくい人が多いのです。落語では、客が思わずもらい泣きしてしまうようなしんみりした噺を「人情噺」と言いますが、これをリウマチ患者に聞かせた研究者がいます。さぁ、どうなったでしょうか?他の患者や看護師は大泣きしているのに、シェーグレーン症状の患者は一滴の涙も流れていません。しかし、なんと抗ストレスホルモンであるコルチゾールなどは、他の人と同じように低くなったそうです。この研究の第一人者である、日本医科大の吉野槙一氏はこう言っています。…

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エモーショナル・ティア(3)

情動の涙に含まれている物質の3番目は、プロラクチンという女性ホルモンです。このホルモンは、「いとおしさ」を感じる物質です。皆さんもご経験があるかもしれませんが、昔わが子が生まれたという知らせを聞いて病院に駆けつけた私はびっくりしてしまいました。なぜなら、生まれたばかりの赤ちゃんの顔は、サルそっくりだったからです。ところが、もっと驚いたのは、そのサルそっくりの赤ん坊を胸に抱いた母親が、しきりに「かわいい」を連発することでした。正直言って私には、この感性が全く理解できませんでした。今から思えば、これはプロラクチンのなせる業だったのですね。母性本能をくすぐるなんていうのは、このホルモンがあるからです…

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エモーショナル・ティア(2)

前回は、「泣くとすっきりするのはなぜ?」ということについて、涙の成分にコルチゾールという抗ストレスホルモンが含まれている話をしました。でも、他にもいろいろな物質が含まれているのです。今回は、エンケファリンについてお話しましょう。エンケファリンとは、脳内麻薬のひとつです。脳内麻薬と言えば、β(ベータ)-エンドルフィンというのが有名ですよね。昔、春山茂雄氏のベストセラー本で知った方も多いと思います。まず、脳内麻薬から説明しましょう。末期ガンの痛みに耐えられない患者などに、モルヒネを投与をすることはよく知られています。モルヒネが効くのは、脳の中にモルヒネを受け入れる受容体という受け皿のようなものがあ…

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エモーショナル・ティア(1)

前回のセロトニンのお話で、感動の涙を流すのは人間だけだとお話しました。私たちは瞬きするたびに少量の涙を流して、目を保護しています。これは、生理現象として流す涙です。一方、感動したり、悲しんで流す涙は情動に基づくものとして「エモーショナル・ティア」といいます。最近の研究で、エモーショナル・ティアの成分が、生理的な涙とは違うことがわかってきました。まず、コルチゾール等の抗ストレス・ホルモンが含まれることが分かっています。抗ストレス・ホルモンとは、ストレス刺激にさらされたときに「負けるな!」とばかりに体を元気づけようとして脳が分泌を指令するものです。ステロイドなどもこの仲間です。たしかに、短期的には…

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幸せホルモン(7)

さあ、いよいよセロトニンシリーズの最終回です。セロトニンがドバドバ出れば、幸せになれることはわかりましたが、ではどうやって出したらいいのでしょう。以前お話しましたように、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを含む食品を摂っても、脳の中には行かないということでした。今回のネタ元は、有田秀穂氏と中川一朗氏の共著「『セロトニン脳』健康法」(講談社)です。セロトニンはリズム運動によって分泌されます。ですので、ガムやスルメイカをかんだりするだけである程度出るそうです。昔、「幸福の黄色いハンカチ」という映画がありましたが、「幸せのスルメイカ」という映画ができそうですね。こんなことをテレビの情報番組で取り…

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幸せホルモン(6)

さあ、このシリーズもいよいよ終わりに近づいてきました。このシリーズの第1回目で、セロトニンは幸福感など様々なものに関係していると言いました。その秘密についてお話しましょう。ネタ元は、高田明和氏の「『うつ』依存を明るい思考で治す本」(講談社)です。セロトニンの受容体は、1A、2A、2Cの3種類あります。1Aは、前頭葉、扁桃体、海馬などに分布し、主に精神の安定に関係しているそうです。2Aは、帯状回に分布し、うつの進行に関与していると思われます。2Cは、視床下部に分布し、満腹感と関係があるそうです。この3つのうち、どこの受容体の感受性が高いかは個人差があるそうです。だから、セロトニンが増えても、どの…

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幸せホルモン(5)

幸せを感じるホルモン「セロトニン」が不足すると、キレやすくなるというお話の続きです。今回のネタ元は、田中冨久子氏の「脳とこころのしくみ」(アスペクト)です。セロトニンは、抑制神経系に働く伝達物質なので、攻撃性を抑制するという話でした。そもそも、この攻撃性ということですが、田中氏はドーパミンが関与していると指摘しています。ドーパミンは快感を感じるホルモンですが、過ぎたるは及ばざるがごとしというとおり、出すぎはよくないのです。脳の中の扁桃体で分泌されるドーパミン量を調べたところ、オスのラットはメスの2倍以上でした。だから、オスラットは小さなストレスで攻撃的になるというのが氏の説です。ということは、…

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幸せホルモン(4)

さあ、幸福のホルモン「セロトニン」の第4回目です。前回同様、ネタ元は有田秀穂氏の「セロトニン欠乏脳」(生活人新書)からです。セロトニンが欠乏すると、うつ的傾向になることはお話しました。しかし、なんとキレやすくなったりもするらしいのです。実験用のネズミには2種類ありますが、体の大きいほうがラットで、小さいのはマウスです。普段は、この2種類を同じ飼育箱に入れても、仲良く暮らしています。ところが、大型のラットのセロトニン神経を破壊して、その飼育箱に小型のマウスを入れてみます。すると、なんとラットは、マウスを殺して食べてしまったというではありませんか。話は少し脱線しますが、この行動はラットにマリファナ…

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幸せホルモン(3)

あなたの顔は引き締まっていますか?今回のネタは、セロトニン研究の第一人者、東邦大学の有田秀穂氏の「セロトニン欠乏脳」(生活人新書)からです。顔に締まりがあるとか、ないとか良く言いますが、もともと地球には重力が存在するため、ほうっておくと私たちの顔は締まりなくたれ下がってしまうのです。それを食い止めているのは、顔の抗重力筋です。この筋肉が興奮すると緊張が高まり、顔つきに締まりがでてきます。この興奮をつかさどっているのが脊髄の運動神経で、その運動神経を支配しているのはセロトニン神経です。つまり、セロトニン神経の活性が下がると、顔つきが締まりがなくなり、姿勢も崩れてだらしなくなるというわけです。とこ…

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定年後指南書(2)

輝子が恐る恐る読んだ父親の日記には、意外なことが書かれていました。 順風満帆に見えたサラリーマン人生でしたが、本人はかなり早い時期から銀行マンという職業は性に合わないと感じていたというのです。 彼の唯一の趣味は写真を撮ることでしたが、日記にはこの分野の賞を何度も取ったことや、アメリカのカメラ雑誌に作品が掲載されたことなどが書かれていました。 大手のフィルムメーカーから2回も招聘を受けますが、断ってしまいます。 2回目は「重役の椅子を用意する」とまで言われたのに・・・。 断りを入れた日のそれぞれのページには、全く同じ言葉が記されていました。 「我、妻子さえいなければ・・・」 …

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