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村上 徹

日本の財政は破綻するのか?(1)

国の借金がついに1,220兆円を超えて、GDPの2倍に達しました。 新聞には、「財政破綻を避けるために、今すぐ財政再建に取り組むべきだ」という論評が踊ります。 そのために必要なのは、プライマリー・バランスの黒字化。 だから、たとえコロナ禍であろうとも、早急に歳出削減と増税に取り組む必要があるのだと。 本当でしょうか? 不安に駆られる気持ちはわかりますが、財政破綻が起きたら一体どんなことになるのでしょう。 また、財政破綻が起きる可能性は本当に高いのでしょうか。 今回は、経済学の観点から検討します。 まず、新聞の言う「国の借金」ですが、正確に言うと「中央政府の金融負債」…

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こころのうしろ側(3)

それにしても、なぜ厚労省は「2類相当」の分類に拘り続け、またなぜ多くの病院はコロナ患者の受け入れを拒否したのでしょうか? 本来マスメディアが取材するべき問題は、こちらではないのかと思うのです。 再構築を急がなければならないのは、感染症区分に関する適切な判定と、医療機関の協力体制です。 憲法を改正して「緊急事態条項」を盛り込むことは、ロックダウンなどの人流を制限をする目的もありますが、医療機関に対して政府がもっと強い命令を下すためにも必要なことです。 政治家が、医師会からの巨額の政治献金を失う覚悟さえあれば簡単にできるはずです。 今回、明らかに潮目が変わったのは、2021年2月…

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こころのうしろ側(2)

憲法というのは、改正することが難しい「聖典」なのでしょうか。 日本では、憲法改正をタブー視する人が大勢いますが、ドイツで憲法に当たる「基本法」は1945年5月の旧西独時代に制定されて以来、現在までになんと63回も改正されています。 80年近くの間、1回も憲法を改正していない国というのは世界に例がないのです。 改憲反対論者の中には、「憲法で戦争放棄を明記しているから平和が保てているのだ。だから、憲法に手をつけることはまかりならん」と主張する人もいます。 憲法に明記することで戦争が防止できるのなら、振り込め詐欺も憲法で禁止したらどうでしょう。 精神論だけで戦争を抑止できるとい…

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こころのうしろ側(1)

山本七平の著書『あたりまえの研究』の冒頭で、3つのエピソードが紹介されています。 最初は、菊池誠が『こころのうしろ側』という題名で雑誌に寄稿した随想の一節です。 ホノルルから飛び立った飛行機の中で、菊池は隣に座ったアメリカ人の老婆から、宗教は何かという質問を受けます。 「父は浄土真宗という宗教を持っていたけれど、私はどんな宗教にもそれほど深くかかわらない」と答えると、相手は猛然と噛みついてきました。 「宗教がなくて、いったいどうやって子供を育てるのか?」 菊池も怯まず反論します。 「子供は、宗教がなくても立派に育てられると思いますよ。まごころ誠実さといったものは、宗教だけに…

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ハイル、タノ!(2)

学生たちの感想レポートをいくつか紹介します。 「いったん従う気に包まれたら、従わないメンバーに苛立つようになった」 「自分が従うモードに入った後に怠っている人がいたら、『真面目にやれよ』という気持ちになった」 「制服もロゴマークもつけていないくせに集団に紛れ込んでいる人を見ると、憎しみすら感じた」 「規律や団結を乱す人を排したくなる気持ちを実感した」 「はじめはためらいがあったのに、最後にはもっと人のいるところで目立ってやりたいと思うようになった」 「集団のなかでただ従えばいいという気楽さと責任感の薄れがあった」 お揃いの制服と統一行動が無言の同調圧力を生み、リーダーの指…

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ハイル、タノ!(1)

白いワイシャツに青いジーンズ。 統一された服装にお揃いのロゴマークをつけた250人の学生が、直立不動の姿勢で一斉に右手を斜め45度に挙げ、大声で「ハイル、タノ!(タノ万歳!)」と唱和します。 この掛け声は、もちろん「ハイル、ヒトラー!」を真似たもの。 これは、甲南大学文学部教授の田野大輔が行っていた、歴史社会学の授業のひとコマです。 田野の狙いは、学生たちにナチスの行動を実際に体験させることで、「独裁」について考えを深めてもらおうというもの。 独裁と聞くと、私たちはすぐに「言論弾圧」だとか「絶対服従」、あるいは「監視社会」といった言葉を思い浮かべてしまいます。 しかし、…

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ヒトフェロモンは存在するのか?(2)

フェロモンというと、私たちはすぐに「性フェロモン」を思い浮かべてしまいますが、それ以外にも外敵の存在を仲間に知らせる「警戒」や、「集合」、あるいは「道しるべ」などいくつかの種類があることがわかっています。 フェロモンは昆虫だけでなく、哺乳類でもラットやマウス、ブタ、シカ、ゾウなどで同定されています。 ちなみに、オスのブタから発せられる男性ホルモンの一種「アンドロステノール」は、実はトリュフのにおい成分と同じです。 だから、トリュフ探しに使われるブタは全てメスなのだそうです。 では、ヒトはどうでしょう? ヒトはフェロモンを認識することができるのでしょうか。 この議論は、現…

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ヒトフェロモンは存在するのか?(1)

においのする物質は世の中に数10万種類もあると言われています。 しかし、香料を開発している会社でも、使用する「におい物質」はせいぜい1,000種類くらいだそうです。 なぜかというと、人間に認識できるにおいはそれくらいしかないからです。 ヒトの嗅覚受容体とその遺伝子構造は、リチャード・アクセルとリンダ・バックによって発見され、2004年のノーベル生理学・医学賞の対象になりました。 その後の研究により、ヒトやマウスの嗅覚遺伝子が次々に発見されましたが、その数はなんと全遺伝子の3~4%にも及ぶほど。 嗅覚が、いかに重要な役割を果たしているかがわかります。 ところが、確かに遺伝子は…

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皮膚は千の目を持つ

視覚と聴覚の不思議についてお話ししてきましたが、今回は皮膚の知覚に関する話です。 その前に、まずは視覚と聴覚の問題にチャレンジしてみてください。 【問題】 あなたの前にはテレビが置かれていて、男性の顔がアップで映し出されています。 次に男性が、「ma」と発声する動画が流れます。 ところがその時、スピーカーから出る音声は「ka」です。 さあ、あなたの耳には、なんと聞こえるでしょうか。 【回答】 ①「ma」と聞こえる ②「ka」と聞こえる ③「pa」と聞こえる ④何も聞こえない 文章だけで場面をイメージするのは難しいかもしれませんが、それでも「③と④はないだろう…

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絶対音感は誰にでもある!?

前回は脳の視覚野についてでしたが、今回は耳の方の聴覚野に関する話です。 柏野牧夫の『空耳の科学』によれば、楽器メーカーの音楽教室の影響か、外国よりも日本の方が「絶対音感」の保持者が多いそうです。 それでも絶対音感を持っている人の割合は、1万人に1人と言われています。 確率にすると0.01%。 ところが、これが自閉スペクトラム症の場合は8%にまでハネ上がります。 理由はわかりませんが、自閉スペクトラム症の人に、ある特定の能力がズバ抜けて高い人が多いことと関係があるのかもしれません。 また、絶対音感は遺伝することが知られています。 私のように、「相対音感」しか持ち…

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