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5☆s 講師ブログ

世界一裏表が激しい国民

コロナ禍が明け、インバウンド客が増加し始めました。
日本の魅力は、何と言っても豊かな自然と歴史的建造物などの観光名所。
最近では、それに加えて体験型の観光も流行っているそうですが、決定的なのは治安の良さでしょう。

でも、実際のところ、訪日した外国人の目には日本人はどのように映っているのでしょう?

首相官邸の調査によれば、概ね「親切で礼儀正しい」という評価だそうです。
よかったですね。

でも、日本人は本当にそんなに「いい人」なのでしょうか。
ジャーナリストの窪田順正が、ネットのビジネスサイトに投稿した記事を読んでいて、もしかしたら 日本人は世界一裏表の激しい国民かもしれないという感想を抱きました。
それは、最近「X」と呼称が変わった「ツイッター」の誹謗中傷の話です。

SNS上の誹謗中傷はかなり深刻で、時には自殺の誘因となることさえあります。
「X」のユーザー数は、アメリカの約7千7百万人に次いで、日本は約5千9百万人で堂々の第2位。

ところが、日本のSNSユーザーには大きな特徴が二つあるそうです。
一つ目は、アメリカよりも圧倒的にヘヴィ・ユーザーが多いこと。
イーロン・マスク自身が「日本のユーザーの利用時間は世界一」とか、「一人当たりの使用量はアメリカの3倍」と発言しているので間違いないでしょう。

二つ目は、匿名の利用者が非常に多いことです。
2014年度の総務省『情報通信白書』によると、日本におけるSNSの匿名利用率は75.1%で、韓国の45%、アメリカの35.7%を大きく引き離しています。

また、2021年上半期におけるXに対する削除要求を見ると、全世界のおよそ4万3千件のうち、日本は約1万8千件で4割強を占めています。
さらに、政府機関からのアカウントの情報開示請求は、全世界の460件のうち半分以上の261件が日本です。

削除要求も開示請求もダントツの世界一となると、もはや日本は世界一の「誹謗中傷大国」と言っていいでしょう。
実際に、SNS上で誹謗中傷を受けた科学ジャーナリストが起こした裁判では、訴えられた人物がひとりで200を超える架空のアカウントを作り、言葉による暴力行為を繰り返していたという事実が明らかになりました。

どうやら、SNS上の誹謗中傷を根絶するには、匿名利用を禁止するしか手がなさそうです。
でも、誹謗中傷を批判しているはずのマスメディアは、匿名利用に関しては揃って沈黙しています。
なぜでしょう。

その理由は、マスメディアの人間も陰で盛んに匿名投稿をやっているからです。
ある大手通信社のお偉いサンが、匿名のXで保守系の論客を繰り返し誹謗中傷していたことがネットで暴露され、大騒ぎになったことがあります。

本人は謹慎を食らったようですが、当該通信社からの正式発表は一切なく、他のマスメディアもこの件に関してはダンマリを決め込みました。
どうやら、似たようなことをやっている不届き者はどこの社にもいるようです。

記者の場合、自分の感情を記事に混ぜ込むことはご法度です。
だから、ストレスが溜まるのでしょう。
その気持ちは分からなくもありませんが、匿名の投稿となると、どうしても攻撃的な言葉遣いになってしまう点は否めません。
それにしても、なぜ日本は突出して「誹謗中傷SNS」が多いのでしょう。

窪田は、日本人の「正義感の暴走」が、「リンチ(私的制裁)」を生んでいると分析します。
でも、本当に「正義感の暴走」が原因でしょうか。
もし、実名でしか投稿できない規定だったら、それでも正義感は暴走したでしょうか。
同じようにリンチしたでしょうか。

リンチにブレーキをかけるのもまた、「正義感」のはずです。
なぜ日本人だけが、発言者が特定されない「仮面」状態になると、正義感が暴走してしまうのでしょう。

日本人は、なにより同質性を最優先に考える国民です。
異質なものはいち早く排除しようとします。
だから、会議の場で堂々と反対意見が表明されることなどめったにありません。

会社の会議で、賛成論と反対論が丁々発止やり合う場面を、あなたは何回目撃したことがありますか?

ところが、シャンシャンで終わったはずの会議でも、その後開催される居酒屋の打ち上げでは、どういうわけか反対論が渦巻いていたりします。
山本七平は、会議室での多数決と、居酒屋での多数決を足して二で割るべきだと言っています。
確かに一理あります。

時々、京都人は本音と建前が違うと言われますが、これには理由があります。
強力な為政者のお膝元で、本音を言ったら生命が危険に晒されるという経験をしたからです。
ヨーロッパでも、異国の民族に征服されたことのある国では、同様の傾向が見られるといいます。

ところが、京都以外でも、生命の危険どころか、周囲から変な目で見られるというただそれだけの理由で、日本人は簡単に本音を隠します。
会社では、ほとんどの社員が「面従腹背」なのに、一旦自分の正体がバレない安全地帯に入ると、必要以上に本音が暴走して誹謗中傷の嵐になるのです。

これは、果たして「正義感」と呼べるものなのでしょうか?
自分の正体を晒してでも、堂々と主張するのが真の「正義感」ではないでしょうか。
世界中から押し寄せるインバウンド客も、まさか日本人が世界一裏表が激しい、つまり世界一陰険な国民だとは気づいていないでしょう。

日本人には、「親切で礼儀正しい」顔の下に、もうひとつの非常に「攻撃的」な顔が隠されているのです。
日本が「誹謗中傷大国」から脱却するためには、私たち一人ひとりがその事実を自覚し、まずは「面従腹背」と決別するところから始めなければなりません。

 

 

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