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5☆s 講師ブログ

目先のマシュマロ(2)

ミシェルらは、早速fMRIでマシュマロ実験を受けた子どもたちを調べてみました。
すると、マシュマロ実験で好成績を収めた人たちは、脳の「前頭前野」のうち「下前頭回」という領域が活性化していることがわかりました。
「前頭前野」は理性の中心部です。

特に表面部分の「背外側前頭前野」は、論理的思考や合理的判断を司る部位です。
他に「腹側線条体」の活動が活発であることも判明しました。

俗に“やる気スイッチ”と呼ばれる「側座核」は、この腹側線条体の一部です。
つまり、理性的に考えると同時に、報酬の情動も上手にコントロールしていたようです。

ところで、この自制心というのは、犯罪にも関係していることがわかっています。
犯罪心理学者でペンシルベニア大学教授のエイドリアン・レインが、41人の殺人犯の脳をfMRIで調べたところ、健常者に比べ「前頭前皮質」の働きが低下していることがわかりました。
どうやら理性が働きにくくなっているため、自制心が弱まっていると考えられます。

でも、犯罪者でなくても、気がかりなことがあると自制心は弱まるようです。
1999年のシヴとフェドリキンの面白い実験があります。

被験者のグループをAとBの2つのグループに分け、Aには7桁の数字を、Bには2桁の数字を暗記させます。
被験者はその数字を暗記したまま別室に行き、覚えた数字を報告するという、ただそれだけの単純極まりない実験です。

ただし、別室に向かう途中の廊下に、フルーツサラダとチョコレートケーキを載せたカートが置いてあり、被験者はどちらかを選んで引換券を貰わなければなりません。
ヘルシーなのは、もちろんフルーツサラダの方。

それは全員わかっているのですが、7桁の数字を暗記させられたAグループは、Bグループに比べてチョコレートケーキを選ぶ割合が1.5倍増えました。
衝動性の高い被験者の場合は2倍に達していました。
7桁の数字を暗記するとなると、脳にはかなりの負荷がかかります。

その分だけ理性を働かせるためのリソースが損なわれ、カロリーの高いケーキを我慢することができなかったと解釈できます。
つまり、理性が別の仕事に取りかかっている時は、欲求を抑えられなくなる傾向があるということです。

ですので、仕事でもあまりに多忙な状態が続くと、コンプラ違反が起きやすくなる可能性があると言えます。

コンプラ違反を防止するためには自制心を強化すればいいことはわかりますが、実際問題として一体どうやったら強化できるのでしょう。

エイドリアン・レインの研究によると、前頭前皮質に電極をつけて20分間刺激を与えると、暴力的行為の意思を3~4割抑制することができるそうです。
でも、一日中電極つきのヘッドギアを着けて過ごす訳にはいきません。
そんなことをしなくても、自制心を強化するヒントが、「マシュマロ実験」の隠しカメラの映像に残されていました。

マシュマロをじっと見つめたり、なでたりする子どもは全員我慢できませんでした。
我慢できた子どもに共通していたのは、後ろを向いたりしてマシュマロから関心を逸らす行動でした。
もう少し詳しく分析してみましょう。

第一段階として、「自分は今マシュマロを見てはいけない」ことを自覚します。
第二段階は、「マシュマロとは別のことを考えよう」とすることです。

これをワン・ワードでいうと、「自分が何を考えるべきかを考える」ということです。
心理学の専門用語で「メタコグニション」といいます。
わかりやすくいうと、あのお馴染みの「メタ認知」ってヤツですよ。
そうです。

「メタ認知」こそが、長期的報酬のために短期的報酬を我慢するコツなのです。

では、みなさんにもこの我慢を体験してもらうために、二つの問題を用意しました。

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