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5☆s 講師ブログ

消費税はどこが間違いなのか(3)

「消費税増税」論者が根拠としているのは、ヨーロッパで「消費税」に当たる「付加価値税」の税率が、日本よりも高い水準にあるからというものです。
本当でしょうか?

スウェーデンの付加価値税の税率は25%。
確かに、とんでもなく高いですよね。
でも、総税収に占める付加価値税の割合を見てみると、スウェーデンはわずかに18%しかありません。
つまり、付加価値税以外の税収がたくさんあるのです。

片や日本の消費税収入は、総税収の34%を超えて堂々のトップ。
消費税は、すでに日本の税収にとって大黒柱となっているのです。
消費税を導入した本当の狙いが「直間比率の改善」だったことは先述しましたが、「改善」どころかすでにオーバーランしてしまっているではありませんか。

確かに、ヨーロッパ諸国には日本より付加価値税率の高い国が多いことは事実ですが、その分医療費や教育費が無料になっているところもあります。
日本でもそれが実現できるなら、税率アップに賛成する人も出てくるかもしれません。

ところで、ヨーロッパでは付加価値税以外の税金を、一体どこから徴収しているのでしょう?
それは法人や富裕層からです。

一方、日本は法人と富裕層の負担をどんどん軽くして、その分庶民の負担を重くしました。
ヨーロッパとは真逆ですよね。
だから、日本は世界的に見てとんでもない「金持ち天国」になってしまったのです。

そう言えば、消費税をもっと増やせと主張している人をよく見ると、国会議員や官僚、それに大学教授とか新聞記者といった年収の高い人たち、俗に言う「上級国民」ばかりではありませんか。
少なくとも平均的な年収の人や、1,400万世帯もある無資産世帯の人が、消費税率アップを声高に主張している姿をワイドショーで見たことがありますか?
なんだか、消費税増税論のカラクリがおぼろげながら見えてきたような気がしますよね。

でも、これだけ優遇されても、富裕層の人々はまだまだ税金を払いたくないようで、富裕層の申告漏れは2020年6月までの1年間で789億円に上りました。
追徴額は259億円。
前年に比べて27.6%の増加だそうです。
日本は「脱税天国」でもあったのですね。

所得の高い人に対して、高い所得税率を適用することを「累進課税」といいます。
これは、豊かな人から貧しい人に富を分配するという、所謂「富の再分配」という性格を持ちます。
この「富の再分配」こそ、「相互扶助」という社会保障制度の根幹を成す思想です。

ところが、消費税には累進課税とは真逆の性格があります。
例えば、年収500万円の人と、その10倍の年収5,000万円の人の、それぞれの消費税負担について考えてみましょう。
計算を単純にするために、すべての消費にかかる税率を10%とします。
年収500万円の人の年間消費額(税抜)を350万円と仮定すると、消費税負担額は35万円になります。

片や年収5,000万円の人は、1年間で3,500万円も消費しませんよね。
だから、年収に占める消費税額の負担割合を比較すると、負担率は高額所得者ほど低くなります。
だから、消費税は「累進性」とは真逆の性格を持つと言えるのです。
この性格を「逆進性」といいます。

逆進性は、富の再分配とは反対の「富の集中」をもたらします。
要するに、消費税を社会保障費に充てるという考え方は、「相互扶助」の精神に馴染まないどころか、むしろ真っ向から対立するものなのです。

現在、世界中の国で貧富の格差拡大が深刻な問題になっています。
人類の歴史を振り返ってみると、貧富の差の拡大は結構な確率で戦争や内乱に結びつきます。
消費税はこの貧富の差をさらに拡大するので、たとえ戦争や内乱が起きなかったとしても、社会保障制度は間違いなく崩壊に向かうでしょう。
社会保障制度というのは、その根本思想である「富の再分配」抜きには考えられないのです。

世界的に見ても、消費税が税収全体の34%も占めているということは、低所得者層の負担がすでに限界に近づいていることを示しています。
「上級国民」だけで税制のあり方を決めるのはとても危険です。

いつか必ず「臨界点」に達します。

イタリアの思想家ニッコロ・マキャヴェリはこう言っています。
「民衆は賢明ではない。しかし、自分の損得に関することについては、民衆は見抜く力がある」

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