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5☆s 講師ブログ

争いを好まない日本人(1)

約1万年に及ぶ縄文時代の遺跡からは、不思議なことに集団的な戦闘の武器類がひとつも見つかっていないそうです。
これは、人類の歴史において極めて珍しいこと。
日本に住んでいた私たちのご先祖様は、争いを好まなかったようです。

江戸末期に、福沢諭吉が「コンペティション」の日本語訳を依頼され、「競争」と訳したところ幕府から叱られたというエピソードが残っています。
幕府の解釈では、「争い」という言葉が良くないというのです。
本当に争いが嫌いなお国柄だったのですね。

こんな興味深い話を紹介してくれるのは、元国土交通省技監で国土学総合研究所所長の大石久和。
大石は、この「争いを好まない」という傾向が、日本人の交渉術やコミュニケーションの取り方にも影響していると言います。

でも、そもそも日本人はなぜ争いを好まないのでしょう?

それは、日本の国土が周囲を海に囲まれていたため、他の民族から侵略を受けることがほとんどなかったからです。
一方、ヨーロッパなどの大陸国家の場合は、他国と地続きなため、周辺国や異民族から頻繁に侵略を受けていました。
侵略に備えて高い城壁で街を囲ったりもしましたが、それでも戦いが終わることはありませんでした。
大陸国家の歴史は、殺戮の歴史という側面も持っているのです。

いや、日本でも信長たちが活躍した時代には殺戮があったはずだと主張する人もいるでしょう。
ところが、大石が古文書を詳細に調べてみると、面白いことがわかってきます。
「○○の戦い」と名がつけられた歴史上有名な戦闘でも、動員された兵士の数の記録は残っているのに、死者数については全くと言っていいほど言及されていないというのです。
こんなことは、大陸の戦闘の記録においてはあり得ないことです。

日本では、足軽として戦いに参加していた者のほとんどは農民でした。
彼らは、手柄を挙げれば褒美をもらえるから参戦しているだけで、殿様への忠誠心があったわけではありません。
だから、勝ち目がないと判断した時点で、一目散に逃げ出してしまったようなのです。
戦闘があったことは事実ですからそれなりに死者は出たでしょうが、大陸国家の戦闘のように大量殺戮が行われたわけではなさそうです。

そんな日本でも、死者の数がかなり詳細に記録されている出来事があります。
それは飢饉や洪水、地震などに関することです。
飢饉に関して言うと、日本を襲った23回の大飢饉については、全てキチンと記録が残されているそうです。

鴨長明の『方丈記』には、1081年の「養和の飢饉」によって鴨川が無数の人や動物の死体で埋め尽くされてしまい、川を渡ることさえできなかったと記されています。
京都の街全体に腐臭が漂うほどで、高名な僧侶が死体の数を数えたところ、なんと4万2,300人を超えていたとされています。

そうなのです。

日本において大勢の死者を出す出来事とは、他国や異民族との戦いではなく天災だったのです。
大陸国家の場合、大勢の死者を出す出来事は戦闘ですから、紛争を収束させたり防止するための協定を作る交渉力が重要になります。

そのため、相手を説得できるだけの論理を組み立てて、議論しながら妥協点を探る能力が発達しました。
と同時に、自分たちの集団内においても、内部規律を守らせるための法律や条文が作られました。
つまり、論理が最優先にされたのです。

ところが、日本の場合は相手が天災なので論理が通用しません。
協定や法律を作ったところで天災を防止することはできません。
そのため、協定や法律で行動を縛るのではなく、問題が発生したらその都度話し合いを重ねて、全員の合意を得ながらみんなで解決策を考えるという慣習が生まれたのです。

その結果、コミュニケーションの取り方に大きな違いが生まれます。
大陸国家のコミュニケーションが論理性を重視するのに対し、日本のコミュニケーションは自分の思いや感情を伝えることを優先するようになりました。
日本における「話せばわかる」は、論理によって相互理解を深めることではなく、お互いの感情を分かり合うことを意味します。

いいとか悪いとかの問題ではありません。
それが日本人の特性なのです。
この特性は、ある意味「美徳」と呼んでもいいものですが、他国との交渉の場面では通用しないということを忘れてはなりません。

さらに大石はもうひとつ、行き過ぎもダメだと指摘します。
いくら「争いを好まない」からといっても、モノには限度というものがあります。
それは、カーチス・エマーソン・ルメイ将軍に勲章を贈ったことを指します。

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