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5☆s 講師ブログ

ロボットは東大に入れるか(2)

すでに、学部や学科によってはMARCHや関関同立に合格するレベルに達しているという「東ロボプロジェクト」ですが、リーダーの新井紀子は東大合格は絶対に無理だと断言します。

なぜでしょう?
それは、数学では高得点が取れても、国語と英語がダメだからです。
国語と英語でいい点を取るためには、問題文の「読解力」が必須となりますが、これが結構な難題なのです。
文章を読んで、その意味を正しく理解するというプロセスを数式に落としこむのは、ほとんど不可能だそうです。
なぜなら、コンピューターは「意味」という概念を持たないからです。

コンピューターが最も得意とするのはビッグデータの処理ですが、その際重要となるのは統計的な確率処理の能力です。
決して、データの持つ意味を考えることではありません。
意味を考えることができるのは人間だけなのです。
でも、「意味論」については後で論じることにして、ここは今しばらく、「読解力」に関する新井の主張に耳を傾けることにしましょう。

新井は、中高生に対して実施した大規模なテスト結果を基に、子どもたちの読解力が低下していることに警鐘を鳴らします。
「ほらね、だからゆとり教育はダメなんだよ」と思ったあなた!
「読解力」がいかなるものか、新井の著書『AIvs.教科書が読めない子どもたち』に掲載された問題例を紹介しますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

まず、次の文章を読んで下さい。
「アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない」

これを受けて、次の文章の(  )に当てはまるものを①~④の中から選んでください。
「セルロースは(  )と形が違う。
①デンプン ②アミラーゼ ③グルコース ④酵素」

いかがですか?
わかりましたか?
③のグルコースを選んだあなた。
おめでとうございます。

あなたは多くの人と同じ間違いをしましたね。
正解は③ではなく、①のデンプンです。

この問題は、テレビのニュース番組やワイドショーでも紹介されましたが、ほとんどの人が③と答えていました。
もちろん私も間違えました。
テストの中には、もう少し簡単な問題もあることはあるのですが、どれもこれも結構な難問揃い。
だから、私がこの本を読んで最初に抱いた感想は、「大人だって教科書が読めないじゃん」でした。
でも、こんな私でも今日まで何とか生きてくることができました。
「読解力」は、それほどまでに絶対的なものでもないような気がします。

しばらく経つと、こんな考えも浮かんできました。
「こんな分かりにくい文章を書く方だって問題じゃないの」
もし、あなたの会社で、この文章のようなややこしいプレゼンをする若手がいたらどうしますか。

理解できない自分は頭が悪いと落ち込みますか。
違いますよね。
もっとわかりやすく書き直せと指示しますよね。

新井は、この手の問題に正解できないならば、将来あなたはAIに仕事を奪われるかもしれないと警告しますが、本当にそうならもう勝負はついていると言っても過言ではないでしょう。
今から失業に備えた方がいいかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。
若者の読解力が低下していることは理解できます。
ラインやツイッターの普及が、それに拍車をかけていることも認めましょう。

でも、このように難解な表現が、誰からも批判されることなく大手を振って通用しているのは、それが教科書の中だから、つまり学術の世界だからではないでしょうか。
この表現を理解するだけの読解力がないと、東大に入れないことはわかりました。
だから、この問題に正解した人は、将来AIに仕事を奪われる可能性が低いという理屈もわかります。
でも、そもそもAIに奪われない仕事って、一体どんな仕事なのでしょう。

ちょっと視点を変えて、学術の世界ではなく、ビジネスの世界で考えてみることにしますね。
一般に企業は、ターゲットとする消費者の読解力が低いときに、彼らの読解力を高めようとはしません。
消費者のレベルに合わせたプロモーションを展開しようとします。

だから、そのようなプロモーションを提案できる人材が重宝されることになります。
ビジネスの世界では、そういう提案ができる人こそ、AIに仕事を奪われない人ということになるのです。
では、その有効な提案というのは、一体どのようなプロセスを経て生み出されるものなのでしょう。

思いつく限りのプロモーション手段をリストアップして、それに過去のデータや様々な変数をぶつけてみて、どの手段を取ればもっともヒット確率が高いかを計算するのでしょうか。
もしそうなら、AIの勝利です。
そうではなくて、その商品やサービスの意味を考えることが重要なのではないでしょうか。

その商品やサービスを消費者が利用する意味。

つまり、その商品やサービスを利用することによって、消費者はどんなメリットを享受できるのか、ということが重要なのです。
読解力は「文章の意味」を考える力のことですが、ビジネスでは「商品やサービスの意味」を考える力が重要です。
そこで、この「意味」を考えるということについて、もう少し深く掘り下げてみることにしましょう。

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