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5☆s 講師ブログ

酒に強い人弱い人

年のせいか、少しの酒でも酔いが回るようになりました。
そこで、体のことを考えて休肝日を設けています。
幸いなことに、最近はよくできたノンアルコール・ビールが発売されていて、とても助かっています。

私の出身地の秋田は所謂「酒どころ」。
酒豪も大勢いますが、ごく希にビールをコップ一杯飲んだだけで顔が真っ赤になるという人もいます。
この違いは一体どこからくるのでしょう。

世界を見渡すと、欧米人のコーカソイドには酒が飲めないという人はいません。
これは、ヨーロッパが氷に覆われた氷河期の頃、アルコール発酵した保存食を食べられないという人が、全員淘汰されてしまったからではないかと考えられています。
また、アフリカ大陸出身のネグロイドにも、酒が飲めない人は見当たりません。
実は、酒が飲めない人がいるのはモンゴロイドだけで、欧米では顔が真っ赤になる現象を珍しがって、「オリエンタル・フラッシング」と呼ぶそうです。

今から2~3万年くらい前に、中国大陸南部に住んでいたモンゴロイドの12番染色体に突然変異が起こり、酒が飲めない人が出現したという説が有力です。

ところで、私たちの体内では、アルコールはどのように分解されているのでしょう。

肝臓に運ばれたアルコールは、アルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドという物質に分解されます。
この物質は、気持ちが悪くなる原因物質ですので、一刻も早く分解してしまう必要があります。
その役割を担うのがアルデヒド脱水素酵素(ALDH)ですが、これにはALDH1とALDH2の2種類あり、重要なのはALDH2の方です。
酒の量が多すぎてALDH2による分解が間に合わず、翌日の朝までアセトアルデヒドが残ってしまった状態が、お馴染みの「2日酔い」というやつです。

突然変異が起きたのは、このALDH2の遺伝子です。
変異が起きる前の、酒に強いタイプを(N)、変異が起きた後のタイプを(D)とすると、両親からそれぞれ遺伝子をもらいますから、その組合せはNN、ND、DDの3種類になります。
NNは変異前同士ですから、いくら飲んでも酒に酔わない「ザル」タイプ。
DDは変異後同士ですから、酒が飲めない「下戸」タイプです。
NDはその中間ですので、そこそこ飲めるのですが、飲みすぎると気持ちが悪くなるというタイプです。

日本人のルーツは、日本列島に先に住み着いていた縄文人と、後から朝鮮半島経由でやってきた渡来人(弥生人)とのミックスだと言われています。
縄文人は変異前のN型しか持っていなかったことがわかっていますから、D型は渡来人からもたらされたものと考えられます。
元筑波大学教授の原田勝二は、日本全国に住む5,000人以上の人たちについて、N型かD型かを県別に調べました。

その結果、酒に強いN型が最も多かったのが、我が故郷の秋田県でした。
その割合は、なんと驚異の77.6%。
まさに「呑んべえ」の集まりですよね。
次が鹿児島と岩手の71.4%。
以下、福島、埼玉、山形、北海道、沖縄、熊本、高知と縄文色の強い地域がズラリと名を連ねます。
このリストは、一人当たりのアルコール消費量が多い県のデータとほぼ重なります。

一方、N型が少ない県はどこでしょう。
一番少ないのは三重県で39.7%。
続いて愛知が41.4%で、以下岐阜、和歌山、広島、大阪、奈良、岡山、富山の順となっています。
広島はちょっと意外でしたが、中部や近畿は渡来色の強い地域なので納得ですよね。
ちなみに東京は60.0%で、酒に強い方のグループになります。
おそらく、東日本出身者が多いためでしょう。

ところで、酒が飲めない人でも、訓練すればいくらかは飲めるようになるという話をよく聞きますが、本当でしょうか。
このALDH2の理論から言えば、どんなに訓練してもN型を持たない人は酒が飲めないはず。
ところが最近の研究で、肝臓近辺の細胞内の滑面小胞体の中にあるミクロソームに、微量ではありますがエタノール酸化酵素(MEOS系)が存在することがわかりました。
これが、訓練によってある程度酒が飲めるようになるメカニズムではないかと考えられます。
ただし、肝臓ガンの発生率も跳ね上がることがわかっていますので、無理はしない方がいいでしょう。

そもそも、アルコールというのは大変危険な劇薬物です。
薬物の研究者は、口を揃えて「大麻よりも依存症になる危険性が高い」と指摘しています。
大麻は法律で禁止されていますが、大麻よりはるかに危険なはずのアルコールは、なぜか摂取し放題です。

皆さん、肝に銘じて下さい!
アルコールは、本来国が禁止薬物に指定すべき代物なのですよ。
でも、もしそんな事態になったら、日本中で暴動が勃発することは火を見るより明らか。
そうなれば、もちろん私も参加するつもりです。

要するに、たとえあなたが酒に強いNN型だったとしても、アルコールは大変危険な薬物だと肝に銘じて、飲み過ぎないように気をつけることです。
ま、それができるようなら誰も苦労しないんですけどね。

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