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5☆s 講師ブログ

植物が人の心を読む(2)

バクスターがライターを取りに行こうとしたまさにその時に、ウソ発見器の針が大きく振れたのです。
まだ、ライターを手にもしていないのに。

それはまるで、ドラセナが彼の意図を察知して「やめて!」と悲鳴を上げているようだったと、後にバクスターは回想しています。
これをきっかけにバクスターは、植物は人間の心を理解するのではないかという研究に没頭していきます。

とはいっても、この事実が科学的に証明されたわけではありません。
というのは、「追試」といって、同じ条件であれば誰がやっても同じ結果にならないと、科学的に証明されたことにならないのですが、翌朝事務所に出勤してきたスタッフがやっても針は全く動かないのです。

どうやら、植物が人間の心を理解すると信じている人と、信じていない人では結果が異なるようです。
ですので、これは科学とは言えません。

植物は「声」を上げることができませんが、声の代わりに「かおり」を使ってコミュニケーションをとることが知られています。
例えば植物が実をつけると、甘い「かおり」を発して鳥などの種子散布者を誘います。
ミツバチも、花の「かおり」に吸い寄せられます。

ところが最近、カナダのアルバータ大学の環境植物生態学者ジェームズ・カーヒルが、植物は危険に直面した時にも「かおり」を使って昆虫とコミュニケーションをとっていることを発見しました。

ヤナギは、ヤナギルリハムシの幼虫に葉を食べられると、気孔からある化学物質を放出してカメノコテントウムシをおびき寄せます。
カメノコテントウムシは、ヤナギルリハムシの幼虫にとっては天敵。
つまり、ヤナギはSOS信号として「かおり」を発しているのです。

他にも、ニレの木はハムシが卵を産むと寄生バチを、ワイルドタバコはスズメガの幼虫に食べられるとカメムシの仲間を、アカマツはマツハバチの幼虫に食べられると鳥のシジュウカラを呼び寄せます。
このように、「かおり」をSOS信号として使うケースは、なんと130以上も確認されているそうです。

さらに、このSOS信号は鳥や昆虫だけでなく、仲間にも向けられたものであることがわかってきました。
ヤナギが「かおり」を放出すると、そのかおり分子を受容した隣のヤナギの食害も、一定程度抑えられることがわかっています。

トマトの場合、害虫のハスモンヨトウ幼虫に食害されると、みどりの香り化合物やテルペノイド化合物を放散します。
そして、その香りを受け取ったトマトの葉を食べたハスモンヨトウは、普通のトマトの葉を食べたものより成長や生存率が低くなることがわかったのです。
つまり、植物は「かおり」で仲間に危険を知らせて、何らかの毒性のある物質を作れと指令を出しているようなのです。

トマトは、最近全ゲノムが解析されましたので、おそらく防御応答のメカニズムや、指令を出す遺伝子まで解明されることでしょう。
草刈りをした後、辺り一面に青臭いかおりが立ち込めますよね。
あれは実は植物が発するSOS信号だったというわけです。

植物が発する「かおり」の本体は、揮発性を持つ有機化合物質でその主成分は炭素です。
植物が大気中に放出する「かおり」は、炭素に換算すると地球全体で年間24億トン。
人間の活動により、工場や農地から放出される二酸化炭素やメタンなどの炭素原子を含む化合物の総量は、炭素換算で60億トンと見積もられていますので、かなりの量であることは間違いありません。

また、最近の研究で、植物は温室効果ガスであるメタンを大量に排出していることもわかりました。
植物は光合成の際、二酸化炭素を吸収して酸素を排出しますが、海の植物性プランクトンや海藻も酸素を作っています。
地球儀を見れば一目瞭然ですが、面積として圧倒的に広いのは海の方です。

世間では、森林が地球の酸素供給の担い手のように思われていますが、実際は海藻や植物性プランクトンが作り出す酸素の方が多いのです。
しかも、植物は夜になると逆に酸素を吸収して二酸化炭素を排出します。
加えて「かおり」の有機化合物を排出しているとなると、話は結構複雑になってきます。
マスメディアは、地球温暖化防止のために森林の保全を訴えていますが、どうやらそんな簡単な話ではなさそうです。

地球温暖化の話はこの辺にして、そろそろ植物がウソ発見器に反応する話に戻りましょう。
ウソ発見器が、植物の「かおり」に反応したという報告はまだありません。
しかも、人間の悪意に植物が反応するなど、科学的にあり得ない話です。

でも、私の経験では「相手を嫌いだ」と思っていると、どんなにその気持ちを隠していても、なぜか相手に伝わってしまうものです。
悪意をもって接しようとする時、何らかの形でその悪意は相手に伝わってしまうのです。
もしかしたら、悪意が「かおり」物質となって漂っているのかもしれません。

鏡に向かって斜めに立てば、斜めに立ったあなたの姿が映ります。
まっすぐに立てば、まっすぐに立ったあなたの姿が映ります。

人も同じです。
「人と接するときは先入観を持たずに、まっすぐに向き合いなさい」と、オフィスの片隅に置かれた観葉植物が、今日もあなたにそっと囁いているのかもしれませんよ。

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