株式会社ファイブスターズ アカデミー

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5☆s 講師ブログ

自分の「売り」(2)

相談に訪れる経営者の共通点とは、自社のすごいところに気づいていないことです。
例えば、金属部品加工の試作品を製作する会社は、下請けの受注が激減したことで深刻な事態に陥っていました。
社長は傍目にも気の毒なほど憔悴しきっています。
この社長に限らず、経営相談に訪れる経営者のほとんどは、とことん追い詰められています。
あらゆる手を尽くし、藁にもすがる思いでf-Bizを頼ってくるのです。

ところがこの社長の場合、話が技術面のことに移った途端にまるで別人のように表情が明るくなりました。
最新鋭の設備と、高い技術を持つ大勢の技術者たちは社長の誇りそのものでした。
依頼された仕事は絶対に断らず、しかも急ぎならば注文から3日後には納品します。
でも、これがとんでもない「離れ業」であることに、会社の誰一人気づいていませんでした。
皆当たり前のことだと思っていたのです。

小出の最初の仕事は、社長にこのサービスの凄さに気づいてもらうことでした。
「試作特急サービス3DAY」というネーミングをつけてHPに掲載し、簡単なチラシを作ってPR展開したところ、新規取引先が3ヶ月で50社も増えました。
あっという間に危機を脱出できたのです。

1年後には、製造中止になった自動車部品の受注製産を行う「部品再生110番」というサービスを開始します。
クラシックカー・マニアと雑談していた時に思いついたサービスでしたが、全国から注文が殺到しただけでなく、大手自動車メーカーからレーシングカーの部品製造の依頼まで舞い込みます。
しかも、下請け時代に買い叩かれていた値段とは比べ物にならないほどの高い金額が提示されていました。

また、ある鉄工所の場合、通常ひとつずつ部品を製造して組み立てる金型を一体構造で加工できることが強みでした。
しかし、下請けに甘んじている限り売上を伸ばせるかどうかは相手次第。
そこで発想を変えて、金型という「モノ」を売るのではなく、お客様の課題を解決する「ソリューション・ビジネス」として提案してみたところ、1個500万円もする金型の注文が半年で50件も舞い込みました。

「強み」は技術に限りません。
小出と話すうちに心を許したある税理士は、過去に父親が事業に失敗して自殺を試みたことがあるという暗い過去を打ち明けます。
小出は、経営者に共感できる税理士として、その経験は絶対的な「強み」になると考えました。
経営者は孤独です。
だからこそ、経営者の心情を理解してくれる税理士は貴重な存在です。

また、障がい者福祉サービスの事業所で作られているトイレットペーパーは、小規模生産のためどうしても割高の値段になっていました。
そこで、包み紙に「このトイレットペーパーは障がいを持った私たちが作ったものです」、「売上は私たちの賃金になります」という文字を散りばめてみました。
たとえ値段が高くても、そこに納得する理由があれば売れるものなのです。

大切なのは「物語」です。
物語は「売り」になるのです。
人は、物語にこそ心動かされるのです。

一般に公的な産業支援施設というのは、必ずと言っていいほど決算書の「弱み」を指摘します。
でも、弱みはすでに十分わかっています。
だから苦しんでいるのです。
そうではなく、どんな会社にもとんでもない「強み」があるはず。

小出は、それを見つけるために、あえて「問題点」には目をつむります。
決算書類は一切見ないし、現場にも行きません。

オフィスや工場に行くと、整理整頓されていないことや設備が古いことにどうしても目がいってしまうからです。
「問題点」は思考の幅を狭めます。
そうではなく、「強み」を見つけてそれを自社の「売り」として提案するだけで世界が変わるのです。

中小企業は「ヒト、モノ、カネ」の全てが足りません。
でも「知恵」は出せます。
ただ、本人が自社の「売り」に気づいていないと知恵も出せません。

その時、ポイントになるのが「オンリーワン」という考え方。
別に「日本で唯一」でなくたってかまいません。
「地域で唯一」でもいいのです。

小出は、オンリーワンを見つけるためには他社の強みを観察したり、いろいろな人とディスカッションすることが大切だと言います。
そのことによって、客観的な第三者の目線が養われるからです。

過去のケースを分析するうちに、成功するためには他にもパターンがあることがわかってきました。
①オンリーワンであること
②継続する情熱があること
③行動力があること

この3つはサラリーマンも同じかもしれませんね。

本人に、自分の「売り」に気づかせて自信を取り戻させることは、インキュベーターの重要な仕事のひとつです。
新しいビジネスの孵化には、労力と時間がかかるだけでなく相当な苦難が伴います。
それを乗り越えるだけのモチベーションを与えてくれるのが、自分に対する自信です。
自信があるからこそ「本気」になれるのです。

自信は、「売り」を徹底的にほめることで生まれます。

思えば、出世競争をしていた頃の小出は、大勢いる銀行員のワン・ノブ・ゼムでしかありませんでした。
他の銀行員と取り替えることも可能でした。
しかし、本気で仕事に取り組んだ結果、今や正真正銘の「オンリーワン」になったのです。
そういう意味では、経営者もサラリーマンも同じです。

でも、サラリーマンが本気で仕事に取り組むというのは、口で言うほど簡単なことではありません。
どうしたら本気になれるのでしょう?
そのヒントとして、小出はソフトブレーン社を起業し、会社を一部上場させると早々に会長職を辞した宋文洲の言葉を紹介しています。

「会社員は企業のために働くのではなく、自分と家族のために、そして自分の職業モラルとプライドのために働くべきです。
そうすることによって、良い経営者と出会えば会社に貢献できるし、良くない経営者に出会うと転職も楽になります」

多くのサラリーマンは会社のため、家族のために一生懸命働いていると思っていますが、本当にそうでしょうか。
本当は自分のために働いているだけではないでしょうか。
さらに言うなら、転職するだけの勇気はなく、かと言って今の会社の出世競争でも大きく出遅れたくはない。

だから一生懸命働いているのではないでしょうか。
過去を振り返ると、私も思い当たる節が結構あります。

出世のためではなく、その職業のモラルとプライドのために働くと考えたらどうでしょう。
全然違う景色が見えてくるかもしれませんよね。
同時に、今まで気づかなかった自分自身の「強み」についても。

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