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5☆s 講師ブログ

消費税はどこが間違いなのか(1)

社会的に大きなアクシデントが起こり景気が悪化すると、経済が回復するまでにかなりの時間がかかります。
過去、日本のGDPが元の水準に戻るまでに要した時間を見ると、東日本大震災は1年、リーマンショックは2年。
いずれも大変な「惨事」だったことがわかります。

ところが、それ以上にかかったのが、2014年に消費率を5%から8%に上げたときで、このときはなんと3年もかかりました。
つまり、消費税の税率アップというのは、経済的には大地震やリーマンショック以上の「大惨事」なのです。

日本のGDPの53%を占めるメインエンジンは「個人消費」。
消費税率のアップは、このエンジンを一気に冷やしてしまうので、極めてタチが悪いのです。
だから、2019年10月に税率を10%に引き上げた時には、多くの経済学者が悲観的な経済予測をしました。

ところが、思いもよらぬことが起こります。
新型コロナウイルスの襲来です。

税率アップの直前まで、当時の安倍首相はリーマンショック級の事態が予測される場合は見送るとしていましたが、皮肉なことに税率アップした直後にリーマンショック級の3~4倍に相当する大災害が襲ったわけです。
その影響は甚大で、未だに30兆円程度のGDPキャップが生じていると推測されています。
日本経済が元に戻るのは、一体何年先のことになるのやら。

今、最も有効な個人消費の刺激策は、一時的に消費税をストップするか、あるいは税率を引き下げることです。
そうすれば、景気が劇的に回復することは間違いありません。
でも、消費税は社会保障費に充てられているので、そんなことはできないと言う人もいます。

本当でしょうか?
それを検証する前に、消費税を導入したことでどんな効果が得られたのか改めて確認してみましょう。

1989年(平成元年)の消費税導入以来、消費税収の累計は397兆円に上ります。
そんなに税収が増えたのか、と喜んでる場合ではありません。
消費税が導入されて以降、法人税率はどんどん引き下げられ、その減税分の累計は298兆円に上ります。
この約300兆円は、消費税による増収分約400兆円の75%に相当します。
消費税が社会 保障費に充てられているという話が本当だとしても、その保障の費用を負担している当事者が、企業から庶民に肩代わりしたということにすぎません。

この時、法人税の軽減分が社員の給料アップに回ったというならまだわからないでもないですが、給料は全く上がっていません。
増額されたのは株式配当だけ。
こちらは、30年間でなんと5.7倍です。
しかも、アベノミクス効果により株価は急上昇。

この恩恵に浴したのは、企業の株を多く保有している富裕層です。
富裕層が受けた恩恵は他にもあります。
消費税導入以降、所得税の最高税率は順次大幅に引き下げられてきました。
法人税と同じですよね。

1991年に26.7兆円もあった所得税収は、2020年には19兆円にまで落ち込んでいます。

あくまで推計ではありますが、野村総合研究所のデータによると、2019年の金融資産1億円以上を保有する富裕層世帯は132万世帯あり、2011年と比べると63%も増加しています。
そして、その富裕層世帯の資産合計は236兆円。

さらに、5,000万円以上の「準富裕層」も加えると、世帯の総数は474万世帯に上り資産合計は588兆円に達します。
588兆円がどれほどの数字かというと、日本の名目GDPは560兆円、国の一般会計予算は約100兆円です。
巨額の富が富裕層に偏在していることがわかりますが、この数字はあくまで金融資産に限ったもので、土地などの実物資産は含まれていません。

一方、2019年の金融広報中央委員会の調査によれば、「貯蓄なし世帯」、所謂「無資産層」は単身世帯では38%、2人以上世帯では23.6%もいます。
総務省統計に当てはめて計算すると、無資産世帯の総数はおおよそ1,400万世帯。
大事なことなので、もう一度言いますね。

500万世帯のお金持ちが、合計で600兆円の金融資産を保有する一方で、1,400万世帯が資産ゼロ。

この極端な「富の偏在」こそ、消費税の導入がもたらした最大の「効果」です。
実に不思議な話ですが、社会保障費用に充てるための税制改革が、社会保障とは無縁の富裕層にとっては笑いが止まらない状態を作りだしてしまったわけです。

ついでに言うと、日本企業の株主の30%は海外投資家ですので、日本の庶民が税金として肩代わりしたお金の一部は、国外に流出していたということにもなります。
以上を簡単にまとめるとこうなります。

それまでは、主に企業と富裕層が負担していた社会保障費用のほとんどを、庶民が肩代わりして負担するようになった。
そのため、企業と富裕層は急速なペースで富を蓄積し、貧富の差は急激に拡大している。
さらに、そのどさくさに紛れて海外投資家がボロ儲けした。

何ということでしょう。
消費税の導入は、貧富の差の拡大に繋がっただけでした。
でも、政府はなぜ法人税率や富裕層の所得税率を、何度も何度も引き下げ続けたのでしょう?

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