株式会社ファイブスターズ アカデミー
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意味を考えることが重要だと言いましたが、新井の著書にそのヒントとなる記述を見つけました。
それは、「アルファ碁」で一躍有名になったイギリスのディープ・マインド社が作った、自動作曲システムに関する新井の感想です。
このシステムは、AIがいかにもロマン派っぽい曲を自動的に作曲してしまうものだそうです。
一体、どんな仕組みなのでしょう。
譜面作成上の様々な制約要件を、いちいち作曲の決まり事としてAIに教え込んだわけではありません。
ただ単に、たくさんの音楽を「波形」として学習させた上で、その特徴量を抽出し確率過程に乗せて、いかにもそのジャンル風の「波形」を作り出せと命令したに過ぎないのです。
要するに、ロマン派の意味などには関係なく、いかにもそれっぽく聞こえる「波形」をアウトプットさせただけの話です。
最近では歌詞を入力して、「校歌風」などのジャンルを指定すると、1秒もかからずに作曲が完了してしまうロボットも開発されています。
しかし、AIが作った曲には致命的な問題がありました。
ディープ・マインド社の曲を聴いた新井の感想が、それを鋭く言い当てていました。
触りだけ聴いたら「よくできているな」という感想を持っても、長くは聴いていられないと言うのです。
なぜなら、曲がどこへ向かおうとしているのか、作曲者が何を目指しているのか、さっぱり見えてこないからです。
それはそうです。
コンピューターは何も目指していません。
そもそもコンピューターは、何のために作曲するかということなど考えていません。
AIは効率的に作曲することはできますが、作曲する意味は考えません。
何のために作曲するのか。
この曲で何を伝えたいのか。
AIがそれを考えることはありません。
AIは効率的に仕事をすることはできますが、仕事をする意味を考えません。
何のために、この仕事をするのか。
何のために、この商品やサービスを提供するのか。
AIがそれを考えることは決してないのです。
でも、あなたは考えたことがありますか?
仕事を、単なる「売上競争」や「利益競争」と捉えるなら、人間の側に勝ち目はありません。
改めて問います。
あなたが仕事をすることの意味は何ですか?
あなたが、あなたの会社の商品やサービスを提供する意味は何ですか?
そのことを真剣に考える延長線上にこそ、AIに打ち勝つヒントがあるような気がするのです。
「意味」を考えるという行為こそが、人間とAIの違いです。
10代の頃読んだ、椎名麟三の『生きる意味』は衝撃的でした。
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