株式会社ファイブスターズ アカデミー

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5☆s 講師ブログ

勉強が楽しい?

あなたは学生時代、勉強が楽しかったですか?

かつて、タイで工場の立ち上げを担当した人の話です。
円高がどうしようもない水準まで進んだため、日本の製造業はこぞってアジアに生産拠点を設けました。

しかし、言葉の壁に加え、国民性や生活習慣などの違いに悩まされます。
この人もなんとかしようと独学でタイ語を勉強し、カタコトでもいいから現地の言葉で語りかけるよう努めたそうです。
そのことで、オペレーションを覚える時間は格段に短縮されました。

これで自信を得た彼は、日本の生産現場でやっている様々な工夫をすべて教えます。
驚いたのは、教えたことを完全に吸収しただけでなく自主的に勉強会を開き、
QCサークルのような活動を立ち上げるまでに発展したことです。

5年が経ち、完璧に任せられるような体制ができた頃、日本に戻れという辞令を受け取ります。
万全の組織ですから、何の不安を感じることもなく帰途につきます。

しかしその2年後、出張で再びタイを訪れると、思いもよらない事態になっていました。
なんと、あの時の中心メンバーがほとんど工場を辞めていたのです。

何があったのかと後任者に聞いても、
「よくできる人たちだったので、すべて任せていたのに」と、まったく理由がわからない様子。

ところが、街を歩いていた時に辞めた一人に偶然出会います。
元オペーレーターは再会をとても喜び、今夜ぜひ家に来てくれと誘ったそうです。

夕方出かけてみると、当時の彼の“教え子”たちが勢揃いしているではありませんか。
それから大宴会が始まりました。

彼は、辞めた理由を一人一人に聞いて回ります。
すると、全員から驚くべき答えが返ってきました。

「勉強する機会がなくなったから」

後任者は彼らがあまりに優秀なので、教えることは何一つないと判断しました。
すると、勉強会もQCサークル的活動も自然消滅してしまいます。

彼らは口をそろえて、勉強して自分が成長できることがうれしくてしかたなかったのだと言います。

彼らの育った地域は、タイの中でもとても貧しいところでした。
子どもたちは、小学生の頃からほとんど学校に行かなくなります。

不登校ではありません。
稼ぐためです。

農作業を手伝ったりして、わずかではありますが生活費の足しになればと一生懸命働くのです。
勉強したいなどと思っても、それは絶対に叶わない夢なのです。
そんな彼らが工場勤務をしたことで、生まれて初めて学ぶ機会に接します。

そして、学ぶことの楽しさに目覚めました。
だからこそ、あっという間に成長したのです。

その昔、経営学のマネジメント理論の一つにマクレガーの『X理論、Y理論』というのがありました。
X理論とは、マズローの欲求五段階説でいうところの、
生理的欲求や安全追求などの低次欲求を満たすような管理手法です。
分かりやすく言うと、「アメとムチ」のマネジメントです。

X理論が有効なのは、発展途上国などの貧しい国であるとされてきました。

一方、先進国の場合はY理論、
すなわち「自己実現」などの高次欲求を満たすような管理手法が有効であると教えています。

しかし、このタイでの例をみる限り、この理論は当てはまらないように思えます。
その国の経済発展の状況に関係なく、人は皆、自分が成長していると感じることは大きな喜びです。
成長を実感させてくれる「学び」はその最たるものなのです。

しかし、私は学生の頃、学ぶことに喜びを感じることはありませんでした。

アインシュタイはこんなことを言っています。
「教育とは、学校で習ったことをみんな忘れてしまったとしても、そのあとに残っているものである」

私には果たして一体何が残っているのでしょうか。
残っている記憶と言えば、せいぜい早弁したときの卵焼きの味くらいか・・・

学校での勉強はつらいものでした。
なぜなら、勉強はテストのためにするものだったからです。
だから、テストが終わると勉強したことはみんな忘れてしまいました。

もしもあの時、テストの点数というモノサシで自分を測るのではなく、
どんな能力が身についたかを冷静に棚卸ししていたら、自分の成長を実感できたのではないかとも思います。
そうすれば、勉強することに楽しみを見い出すことができていたかもしれません。

マネジメントも、単なる実績数字の管理ならばテストの点数管理と同じです。
そんな管理なら、あなたでなくてもコンピューターがやってくれます。

実績数字ではなく、生身の人間としての成長の履歴を共に話し合う。
これこそ、コンピューターにできないマネジメントではないでしょうか。

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