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5☆s 講師ブログ

チンパンジー・マネージャー

『瞬間湯沸器』の回で、感情と行動は切り離せることを書きました。
カッとなっても、行動をコントロールすることにより、怒鳴ることをセーブすることはできるのです。

さらに、『情けは人の為ならず』の回で、腹が立ったときに、
怒りによる衝動的な行動をコントロールできない人は、脳に問題があるかもしれないとも書きました。
具体的に言うと、「腹内側前頭前皮質」が損傷している可能性があるのでしたね。

ところで、今回は全く逆の視点から、この問題を考えてみたいと思います。
つまり、怒りの感情をコントロールし過ぎて、怒れなくなってしまった人についてです。

最近、「部下に対して甘すぎる管理職が多い」という話をよく聞きます。
パワハラにならないよう気を遣っているというレベルをはるかに超えて、
最早“弱腰”としか思えないケースが散見されるのです。
実は、この“妥協し過ぎる”行動もまた、脳の問題です。

心理学の実験で、『最後通牒ゲーム』というのがあります。
今、AとBの二人で現金を分け合います。

まず、胴元からAに、例えば1,000円が渡されたとしましょう。
Aがそれを独り占めすることは許されず、そのうちのいくらかをBに分け与えなければいけません。
単位は100円単位としましょう。

Bにいくら渡してもいいのですが、Bがその分け前の比率に満足せず、
この提案を拒否してしまうと、AもBもお金を受け取ることはできません。
BがOKしたときのみ両方がお金を受け取ることが出来るのです。

もちろん、前もって二人で相談することはできません。
今回、実験で観察するのはBの行動です。
5:5なら文句無くOKしますよね。

国民性によって多少バラつきはあるようですが、だいたい6:4、
つまりBの取り分が4割まではほぼ全員受け入れるようです。

ところが、ここから先はそう簡単にはいきません。
冷静に考えると、例え9:1、つまり取り分が1割という最も不公平な提案であったとしても、
何の努力もせずにお金が手に入るわけですから、断るのはもったいない話です。

断ってしまうと何の利益も得られません。
しかし、そうは言っても、OKしてしまうとかなりの不公平感は残ります。

もうおわかりですね。
この実験は、人はどの程度の不公平までなら受け入れられるか、を調べるものなのです。

アイオワ大学の実験では、脳に損傷がない人の場合、取り分が3割の場合でもOKした人は85%いました。
以下2割で55%、1割で33%と続きます。
結構OKするものですね。

次に、脳に損傷のある人たちです。
例によって、「腹内側前頭前皮質」に損傷のある人です。

『情けは人の為ならず』の回で紹介しましたが、事故でこの部位に損傷を受けた人が、
人が変わったように怒りっぽくなり、すぐに怒鳴り散らすようになった例がありました。

案の定、この人たちは不利な取り分には満足しませんでした。
4割までは大人しくしていたものの、3割では62%、2割では26%、
1割ではなんとたったの5%しかOKしませんでした。
脳に損傷のない人がそれぞれ85%、55%、33%だったのと比べると大きな開きがあります。

NOと言った人たちは、
「不公平に目を瞑る訳にはいかない。例え自分の利益がゼロになったとしても、相手に罰を与えたい」
という考えの人です。
これを学術的には『利他的懲罰』と言います。

でも、よく考えてみてください。
この傾向が強い人は、果たして“問題児”なのでしょうか?

逆にある意味、“正義感”の強い人とも言えます。
そう考えると、何がよくて何が悪いという単純な話ではなく、バランスの問題であることに気づきます。

1割という最も不利な取り分でも簡単にOKする人は、極めて冷静で打算的な人間と言えますが、
見方によっては単なる“イエスマン”であるとも言えます。

企業にとって、このタイプが多数派を占めるのは、かなり危険な状態です。
部下に対して是々非々の指導が出来ない管理職というのは、上司に対しても同じ対応をします。

正論のひとつもぶつけられず、イエスマンどころか“太鼓持ち”のように振る舞う人もいます。
そして、正論を主張する同僚には、決まってこう諭すのです。

「オレみたいに大人になれ」

どちらが正しいということではありません。
局面によって、妥協と正義感を使い分ける必要があるのです。

どちらの極に振れてもダメです。
何事も、大切なのはバランスなのです。

ちなみに、お金をエサに替えた上で、協力しないとエサがもらえない特殊な箱を用意して、
チンパンジーにもこの課題をやってみました。

すると、驚いたことに、Bのチンパンジーはどんなに不利な条件でもOKしたのです。
もしかしたら“正義感”というのは、人間の専売特許なのかもしれません。

この結果から言えることはただひとつ、先ほどの諭し方は間違っているということです。
正しくはこうです。

「オレみたいにチンパンジーになれ」

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