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5☆s 講師ブログ

報道の脳死(1)

なぜ、ワイドショーのコメンテーターの発言は、あんなにも非論理的なのでしょうか?
群衆心理の研究で有名な、フランスの社会心理学者ギュスターヴ・ル・ボンの名言があります。
「大衆は理性ではなく感情によって動かされる」
なるほど、だから彼らのコメントには論理性の欠片もないのですね。

この理論に基づいて、テレビやラジオ、映画などのメディアをフルに活用し、国威発揚に成功したのがナチス・ドイツ。
ということは、私たちがマスメディアに接する時は、相当注意して臨む必要があるということです。
元朝日新聞記者の烏賀陽(うがや)弘道は、ネットが普及したことによって、ある事実に気づいたと言います。
それは、新聞やテレビがメディアの支配者として君臨できたのは、コンテンツが優秀だったからではなく、単に報道インフラを独占していたに過ぎなかったからということです。

たしかにネットが普及するまでは、ニュースの選択肢は新聞かテレビしかありませんでした。
ちなみに、新聞記者やテレビマンの給料がバカ高かったのも、彼らが優れた能力を有していたからではなく、会社が莫大な広告収入を得ていたからです。
でも、現在では広告の大半はネットに移行してしまい、マスメディアが広告インフラを独占していた時代はとっくに終わりました。

報道インフラの独占も終わり、今や誰でもネットから簡単に情報を入手できます。
入手するだけではありません。
SNSを使えば、一般の個人が情報を発信することもできます。
一言で言うと、ニュースは“民主化”されてしまったのです。

かつて、役所へのアクセス権はマスメディアが独占していました。
それを制度化したのが「記者クラブ」。
でも現在は、市民が直接「官」のWEBサイトにアクセスできるようになりました。
これにより、記者クラブの威厳は地に堕ちてしまいました。
ところが、環境が大きく変わったにも関わらず、マスメディアは相変わらす以前と同じように「官」発の情報を垂れ流し続けています。
しかも、「官」に対して批判的な記事を書くことは一切ありません。
どつかというと、服従に近いものがあります。

烏賀陽は、これほど「官」を優遇する理由を、著書『報道の脳死』の中で二つほど挙げています。
①裏を取る手間が省けるから  
②「官」と仲良くしておくと、ネタがない時に都合よく情報を提供してくれるから

考えてみれば、民間企業の話題を一面に掲載する場合、その背景やライバル社の動向など、関連して取材しなければならないことが山ほどあります。
面倒ですよね。
でも、官公庁が発表したデータなら、どこにも気を遣わずに、しかも追加取材もなしにそのまま記事にすることができます。
これほど有難い取材源は他にありません。
だから、記者たちは「官」を優遇し、彼らの機嫌を損ねないように批判的なことは絶対に書かないのです。
政治家は容赦なく吊るし上げるのに、実に対照的です。

東日本大震災の福島第一原発事故の時も、マスメディアは「官」発の情報をそのまま垂れ流し続けました。
そもそも、理系出身の新聞記者がいないから、適切な判断が下せないのだろうと思っていたら、そうではありませんでした。
烏賀陽によれば、当時の朝日新聞には、東大工学部原子力工学科出身の記者が二人もいたそうです。
ところが、どちらも担当外だったため、彼らが一面記事を書くことはありませんでした。
もしかしたら、朝日の一面記事を書いていたのは、科学的知識のない“ド文系”記者だったのかも。
人材の無駄遣いとは、まさにこのことでしょう。

「官」発の情報が、そのまま世の中に流されるのは極めて危険なことです。
なぜなら、その記事によって簡単に世論を形成することができるからです。
典型的な例は、農水省主導で行われた「食料自給率」の問題。
農水省は、「カロリーベース」で見ると、日本の食料自給率は30%台だと盛んに危機感を煽りました。
日本の食料自給率が低いことは、今や小学生でも知っています。
でも、本当にそうでしょうか?

 

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