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5☆s 講師ブログ

はずれ者の生物学的意味(2)

稲垣によると、雑草を栽培するのは非常に難しいことなのだそうです。
一体どこが難しいのでしょう?

観賞用の花ならば、種を撒けば決まった時期に芽を出します。
ところが、雑草はいつ芽を出すかわかりません。
発芽時期をわざとバラバラにして、生存確率を上げる戦略をとっているからです。

生物学ではこれを「遺伝的多様性」といいます。

さらには、「休眠」する種子まであります。
「酸素」と「水分」と「温度」という発芽の三要素が揃っても、なぜか芽を出さないのです。

では、何がスイッチかというと「光」です。
雑草の種子の多くは、光を感じて発芽する「光発芽性」という性質を持っています。
種子は発芽しておしまいではありません。
発芽しても、周囲が大きな植物に覆いつくされていたら、光が届かないので成長できません。
つまり、光が差し込むということは周りに大きな植物が生えていない、すなわちライバルがいないことのサインなのです。
一生懸命草むしりをした後に、すぐに雑草が芽吹いてくるのは、この「光発芽性」によるものです。
このように、雑草でさえ生き残るために多様性を保持しているのです。

ダーウィンが自然を観察することで見抜いたことは、強い種(しゅ)や賢い種が生存競争に勝ったのではなく、環境に最もうまく適応した種が生き残ったという事実でした。

「平均」とか「普通」というのは、あくまで現在の環境を前提にしての話。
環境が変わると、それまでの「平均」とか「普通」という考え方は何の意味もなさなくなります。
だから、生物は「多様性」を大切にしているのです。

槇原敬之の作詞・作曲『世界に一つだけの花』の中に、こんな歌詞があります。
「ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン」

この歌詞は、「競争なんてしなくていいんだよ」と言っているようにも聞こえますが、現実のビジネス社会は完全なる競争社会。
本当にナンバーワンにならなくていいのでしょうか?

この疑問に対する稲垣の答えは簡潔です。
「自然界ではナンバーワンしか生きられない」

なんだ、やっぱり競争に勝たなきゃダメなのか、と誤解してはいけませんよ。
自然界の競争とは、ナンバーワンを決めるサバイバルゲームではありません。
もし自然界がサバイバルゲームならば、ごく少数の勝者しか生き残っていないはずです。

ところが、自然界にはわかっているだけで175万種という、多種多様な生き物たちが共に暮らしています。
ナンバーワンしか生きられない自然界に、どうしてこんなにもたくさんの種類の生き物たちが共存しているのでしょう?

それは、生き物たちはそれぞれ自分がナンバーワンになれる、オンリーワンのポジションを見つけているからです。
この環境ならとか、この空間なら、あるいはこの条件なら、さらにはこのエサならといった様々なポジションをお互いに分け合って、175万種が共存しているのです。

すべての生き物たちは、限られたポジションとか、非常に狭いジャンル、あるいは特定のニッチな分野において、それぞれナンバーワンの存在として生きています。

ワンワードで言うなら、「オンリーワンの世界でナンバーワンの存在」です。
生物学では、これを「棲み分け」といいます。

翻って、私たちのビジネス社会を見てみましょう。
戦後日本の高度成長の原動力は、「大量生産」でした。
同じ規格の製品を大量に生産することで、製造原価の引き下げを実現しました。

しかも、当時は1ドル360円という超円安の為替レート。
大量生産と円安を武器にして、日本は「価格」という競争フィールドで圧倒的なアドバンテージを獲得し、低価格を前面に押し出した販売戦略を展開して世界を席巻したのです。

これが日本に工業立国としての高度成長をもたらした決定的要因です。
大量生産をサポートするために、当時の労働者にはあることが求められました。

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