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5☆s 講師ブログ

日本語教(2)

日本語には、なぜ「音読み」と「訓読み」の2つの読み方があるのでしょうか。
古代中国の影響を受けた朝鮮半島の諸国やヴェトナム、チベット、西夏(せいか)では、日本と同様漢字が導入されましたが「訓読み」は生まれませんでした。
その理由はこうです。

武力により外国に支配された側の国は、支配した側の国の言語によって運営されます。
そのため、支配された国の要人は、支配者の言語を自国内で支配者から直接学びます。
だから、支配者の言葉がそっくりそのまま伝承されていくことになります。

ところが日本の場合は、大陸との間に海があったため、中国王朝から直接支配されることはありませんでした。
日本という国は太平洋戦争を迎えるまで、他国から攻撃を受けたのは鎌倉時代の2度の元寇だけという、世界的に見ても稀有な国です。

そんな日本にどんな形で漢字が導入されたのかというと、まず日本人の役人や僧侶がわざわざ中国に渡り苦労して中国語を学びます。
それから彼らは日本に戻り、漢字を知らない日本人に対してひとつずつ漢字を書き示しては、その文字の意味するところを日本語で説明しながら教えたのです。

例えば、「水」という漢字を示して「スイ」と発音してみせ、これは「みず」のことだと日本語で解説します。
これが、日本に「音読み」と「訓読み」の2通りの読み方が生まれた、言語社会学的な理由です。
2通りの読み方があることは日本語を学習する上では大きな負担ですが、別の見方をすると、同一の概念が2つの別々な言語によって音声化されているとも解釈できます。
これを、日本人の柔軟性と結びつけて考えるのは飛躍のしすぎでしょうか。

古代ローマには「ヤーヌス」という名の神がいました。
顔が頭の前と後ろの両方にあるので、日本では「双面神」と訳されています。
何でも、物事の外側と内側の両方を見ることができる神だそうです。

1月は英語で january ですが、 jan- は janus つまり「ヤーヌス」から来ています。
1月は、去年と今年を同時に見渡せる位置にあるので、「ヤーヌス神の月」と呼ばれました。

鈴木孝夫は、日本語に音訓2通りの読み方があることを外国人に説明する際、このヤーヌスに例えて説明していたそうです。
物事を2つの側面から捉えるという考え方は、日本人の柔軟性に繋がっているのではないでしょうか。

そう言えば日本人は、昔から外国の文化を日本流に修正して、自分たちの使い勝手がいいように手直ししてから取り入れてきました。
仏教徒でありながら、クリスマスをイベントとして楽しむ柔軟性も、音訓読みという二面性に関係しているのかもしれません。

実は、私たちが使っている「漢字かな混じり文」だって、柔軟性の賜物と言っても過言ではないのです。
「漢字」と「ひらがな」が混在して成り立っている言語というのは日本語だけです。
しかもこの文は、「ひらがな」を使っていた女性が、男性の使う「漢字」を取り入れて新たに創作したものです。
世界中を見渡しても、これほど柔軟性に富んだ言語は他に見当たりません。

どうです?
改めて日本語の素晴らしさに驚かされた気がしませんか。

ところで、日本語にはもうひとつ大きな弱点があると鈴木は指摘しています。
私は、この弱点こそが、日本で必要以上にダジャレが横行する原因ではないかと思っています。

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