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5☆s 講師ブログ

勤労は義務か(3)

 

「農耕民族型社会主義」を成立させていた条件とは、「全員参加の労働」というものが、特段の専門性を伴わない、一定程度均一な肉体労働であるという条件です。
わかりやすく言うと、「誰にでもできる肉体労働」であることです。
これが崩れてしまうと、全員参加という根本的な前提が崩れてしまいます。

ここが問題なのです。
AI・ロボットがどんどん進化すると、「誰にでもできる肉体労働」はロボットに取って代わられます。

いや「誰にでもできる」どころか、「他の人にはできない」ような高度な知的労働でさえAIに代替されてしまいます。
AI・ロボットの強みは、なんといっても24時間、365日休みなく働くことができることですので、多少の初期費用がかかったとしても導入を躊躇する経営者はいないでしょう。
もちろん、ロボットに代替されない仕事も残りますが、それはあまりに生産性が低すぎて機械化するには採算が合わない低賃金労働だけです。
よって、AI・ロボットが進化すると、「農耕民族型社会主義」に立脚する「勤労義務」や「道徳」は消滅してしまう可能性が高いのです。

しかし、そんなことは大した問題ではありません。
最も深刻な問題は、大量の失業者が生まれてしまうことです。

AI・ロボットの進化により、企業の国際競争力がどんなに高まっても、その企業の雇用は増えません。
AI・ロボットに対する需要が高まるだけです。
かつての高度成長期のように、国内企業の成長が日本国内の雇用を増やし、その結果日本の国民所得を押し上げてくれるという形にはならないのです。
そもそも、経済学の「国際競争力」という専門用語は個別企業を評価する時の言葉であり、国を評価するものではありません。

時々、「日本の国際競争力」などとトンチンカンな発言する人がいますが、これは完全に誤った使い方です。
そんなことを言う経済学者は、世界中を探しても一人もいません。
もしいたら、その人は間違いなくポンコツ学者です。
このシリーズの(1)で「AIの進化にブレーキをかけてしまうと、他国との競争に負けて取り残される」というIT企業の経営者の発言を紹介しましたが、彼が競争に負けることを心配しているのは自分が経営している企業のことであり、日本のことではありません。
彼にとっては、日本が競争に負けようがどうしようが、そんなことはどうでもいいことなのです。

問題は、自分の企業が世界を相手にした激しい競争の中で生き残れるかどうかです。
そのために、グローバル企業はもっとすごいことに手を出しています。
様々な手段で法人税を節税しているのです。
グローバル企業の節税対策を侮ってはいけません。

2017年10月の『給料を上げるには』でも触れましたが、アマゾンという会社は書籍の取扱流通量が日本全体の1割もあるのに、法人税は全く払っていません。
こうなると、企業の国際競争力がどんなに高まっても、税収も増えないという事態が起こります。
「インターナショナル」と「グローバル」の違いは、国に縛られるかどうかです。
「インターナショナル」には、国に基盤を置くというニュアンスが少なからず含まれていますが、「グローバル」は違います。
国が没落しようが潰れようが、とにかくその企業が生き残ればそれでいいのです。

だから、法人税の税率を引き上げたりすると、すぐに他の国に登記を移してしまうでしょう。
競争に勝利するためには、何の躊躇もなく国を捨てる覚悟を持つというのが正しい企業戦略です。
批判してみたところで始まりません。

トランプが大統領に就任した時、アメリカの雇用を増やすために、メキシコなど国外に工場を建設する予定だった企業を厳しく非難しました。
自動車メーカーのフォードやGMにもその矛先が向けられましたが、クライスラーだけは非難されませんでした。
なぜでしょう?
それは、クライスラー・ブランドはすでにイタリアのフィアットに売却されていて、本社はイギリスに置かれている上、大株主はオランダの投資家だからです。
クライスラーを非難してしまうと、EUを巻き込んだ国際問題になりかねなかったのでトランプはやらなかったのです。
彼は、メディアが言うほどバカではありません。
まさにクライスラーが、グローバル時代の象徴です。

生き残るのはあくまで個別の企業であり、国ではないのです。
世界に名だたる企業をたくさん輩出したところで、その国の雇用も増えなければ、税収も増えないという時代がすぐそこまで来ているのです。
一体どうしたらいいのでしょう?
実は、大失業時代になっても、日本が豊かになる方法がひとつだけあります。

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