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5☆s 講師ブログ

AI経営者

AIが日々進化するにつれ、心配になるのは人間を超えてしまうのではないかということです。
特に話題となっているのが、「将来AIは意識を持つのか」ということです。

最新の研究をみてみましょう。
「意識の統合情報理論」では、意識を「Φ(ファイ)」の数値で定義しています。
Φの値が高ければ高いほど、そのシステムは統合された意識を持つとされています。

しかし、この理論によれば、現在のインターネットは複雑性が不足しており、人間ほどの意識は持っていないと考えられています。
インターネットは無数のコンピューターが接続されることで、「回路」を形成しています。

人間の脳細胞もシナプスで繋がれていますので、インターネットは人間の脳に近いと言えます。
しかも、生成AIはまるで人間のような振る舞いをするので、私たちはつい「AIは意識を持っているのではないか」と考えてしまいがちです。

でも、それは間違いです。
なぜなら、インターネットよりはるかに単純な構造である生成AIのパラメーター(変数)が、決して高い水準にあるとは言えないからです。

ChatGPT-3は約1750個のパラメーターを持っています。
一方、人間の脳に存在するシナプスは100兆~1,000兆と言われています。

このことから、生成AIが顕在意識を持っているとは考えにくいのです。

ただ、「質問を理解しているか」ということに関しては、「理解している」という見解を持つ専門家が多いようです。
脳科学者の池谷裕二も、「意識はないが理解はある」という概念が存在する可能性を認めています。

意識のあるなしは別にしても、AIは十分な専門知識と共感力を持っていることが証明されています。
その上、理解力も兼ね備えているとなれば、「AI管理職」はますます現実味を帯びてきます。

そうなると管理職どころか、経営者としてのAIも考えられるのではないでしょうか。
実際に池谷は、「会社が重要な決断を迫られた時にアドバイスしてくれるAIがあれば、コンサルタントにしたい」という相談を受けたと言います。

確かに、アドバイスが欲しくなる気持ちはわかります。
でも、この問題を考える上で最も重要なことは、AIは独自の価値観を持っていないということです。

AIに価値観を持たせることはできますが、その価値はあくまで人間が教えたものです。
だから、AIを使って得られる価値は、人間が「価値がある」と教えたものの枠を越えることはできません。
もし「AI経営者」を開発したとしても、そのAIは経営者が教えた価値観に沿って答えを出すだけです。

だったら、最初から経営者が答えを出せばいいではありませんか。
そうは言っても、滅多にないような緊急事態が起きた時はどうでしょう。
「有事」の際には、どんな経営者だってアドバイスが欲しくなります。

でも、この時に問題になるのは、AIに読み込ませるデータです。
AIには膨大なデータを読み込ませる必要があるのですが、そのデータはほとんどは平時のものです。

レアな特殊なケースを読み込ませる余裕はないし、もしあったとしてもデータ量が少なすぎます。
だから、レアケースの場合はAIは判断できないのです。

AIは過去のデータから最適解を選び出して回答をしてくれますが、言い換えればそれは最も「当たり障りのない」答えです。
「有事」の際に、そんな当たり障りのない答えが必要でしょうか?

しかも、致命的なことはAIには「意志」がないことです。
難局を乗り越えようという「意志」もなければ、「熱意」もありません。
会社がピンチに陥った時、藁にもすがる気持ちでAIに頼ったとしても、AIの出す答えは所詮「他人事」なのです。
私は、AIが「他人事」として出した答えに、自分の全身全霊を懸けようとは思いません。

以上から、「AI管理職」は「お手本」が存在するので実現する可能性が高いのですが、「AI経営者」の方は難しそうです。

さて、「心遣い」だとか「共感力」という話になると、決まって「機械には心がないが、人間には心がある」と主張する人が現れます。

本当にそうでしょうか?
『サピエンス全史』の著者エヴァル・ノア・ハラリはAIについてこんなことを言っています。

「鳥のような羽が無くても飛行機が鳥より速く飛ぶように、人間のような心がなくてもAIは人間よりも心をよく察知できる」

確かにその通りです。
この話を紹介してくれた池谷裕二は、「機械には心がない」と主張する人々にこう反論します。

「唯一心を持つ人間だけが戦争を起こしているではないか」

もしかしたら、「心」こそが戦争を生む源なのかもしれません。
動物も殺し合いはしますが、人間がするような大量殺戮は決してしません。

AIが人間より優れているかどうかはわかりませんが、「心」を持つ人間がAIより危険な存在であることは確かです。

あっ、今人間よりAIの方が適任の仕事が見つかりました。
それは政治家です。

想像してみてください。
もし、ロシアや中国、北朝鮮、それにアメリカの指導者が全てAIだとしたら、世界はどうなっているでしょう?
今より危険な状況に陥っているとは、到底考えられません。

もちろん、日本の指導者についてもAIの方がずっとましだと思いますけど・・・。

 

【お知らせ】

今回を持ちまして、私のブログは休止とさせていただきます。

長い間ご愛読いただき、誠にありがとうございました。

なお、今までアップした作品については、「note」の無料サイトにて「ムラカミトオル」名で公開しておりますので、ご参照いただければ幸いです。

 

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