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5☆s 講師ブログ

AI管理職(1)

AIといえども所詮は「機械」。
人間のような、キメ細かな心遣いは到底できないだろうと思われていました。

ところが、脳科学者で東大教授の池谷裕二の著書『生成AIと脳』に衝撃的な事実が書かれていました。
それは、2023年に発表されたエイヤーズらの論文です。
論文のテーマは、「ChatGPTと人間の医師ではどちらが優れているか」。

被験者は、モニター越しにテキストベースの診察を受けます。
ChatGPTと医師の両方の診察を受けるのですが、どちらがChatGPTなのかは知らされていません。
診察が終了したら「どちらが良い医師だったか」という質問を受けますが、「会話の質」と「共感力」の2つの側面から満足度が調べられました。

結果はというと、驚くべきことにどちらもChatGPTの方が優っていました。
「会話の質」、つまり医学的内容に関しては何となくわかるような気もします。
というのは、生成AIは2025年の入試問題で、東大理科3類に合格するほどのレヴェルに達しているからです。

医師の知識というのは、どうしても自分の専門分野に偏りがちです。
そのため、医学全般に渡る幅広い知識が必要とされるこの課題では、AIの方が優位になることは予想されていました。

では、どのくらいの差がついたのでしょう?
被験者の評価の分布をグラフにすると、医師の場合は50点を頂点とする、なだらかな富士山みたいな形になりました。
一方、生成AIの方は、80点を頂点とする極端に急峻な山です。
このことから、AIは幅広い分野において、相当高度な知識を持っていることがわかります。

でも、問題なのは「共感力」の方でした。
こちらは、とんでもない大差でAIの圧勝。
どちらも、頂上が平坦な山、つまり高原状の山が形成されたのですが、高原の場所が全然違っていました。

医師の方の高原は0~40点の範囲。
つまり、平均の50点より低いところで均等に分布していたのです。
一方、生成AIの高原は50~90点。
医師とは正反対に、平均より高いレヴェルで均等です。

これほど勝負にならないとは・・・。
でも、なぜこんなことになったのでしょう?

対話型生成AIはカウンセラーに向いているとよく言われますが、その理由はどんな時でもキレることなく、相談者に配慮した言葉を選択できるからです。

つまり、生成AIは、好ましい言い回し例とNGワードさえ学習させれば、自動的に共感的な話し方をすることができます。

でも、人間の医師はそんな訓練を受けていないので、患者に対して配慮に欠ける言葉を使ってしまうことがあります。
しかも、人間なのでどうしても感情が入ってしまい、共感的に話すといってもそこには自ずと限界があります。
現在、対話型の生成AIはスマホでも簡単にダウンロードできますし、無料のものもたくさんリリースされています。

中には、相手の声色から精神状態を把握して、話すトーンを微妙に調整するというスグレモノまであるそうです。
そこで思い出したのが、かつて出会ったある管理職のこと。

彼は、朝礼時に課員全員に今日の予定を発表させていました。
でも、発表内容は全く聞いていないと言うのです。

それでは、なぜ発表させるのかと尋ねたところ、表情や声のトーンを見て、朝礼が終わったら真っ先に声をかけなければならない部下は誰かを探しているのだとのこと。
なるほど、プロの「マネジャー」とは、こういう人のことを言うのかと、いたく感心させられたのを覚えています。

でも、AIならば、こんな芸当は朝飯前。
池谷は、生成AIは人に教えることが得意なので教師に向いていると言いますが、私にはもっと適任の職種があるように思えます。
それは管理職です。

教育力があり、その上共感力も兼ね備えたAIが管理職になれば、絶対にパワハラなんか起きないし、何よりも部下の成長が期待できます。

なんと、この説を裏付ける研究まであります。
オンライン・ゲームに、複数人数から成るチームが対抗して戦うものがあるそうですが、AIを参加させるとどうなるか実験したものです。

AIは学習能力が高いのでゲーム中に急成長を遂げ、あっという間に人間より優れた能力を獲得してしまいます。
だから、当然AIがリーダー役になれば、チームは勝利する確率が高くなります。

ところが、AIはリーダー役にはなろうとせず、サポート役に徹する行動をとるというのです。
一体、なぜでしょう?

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