株式会社ファイブスターズ アカデミー
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「日頃から部下には口酸っぱく注意しているのに、一向に改善されない」と嘆く管理職がいます。
どうしたらいいのでしょう?
行動分析学者の島宗理は、組織の中で問題行動を起こす人がいると、私たちはその人の中にある「何か」が原因だと考える傾向があると指摘します。
「何か」とは、例えば「心」だったり、あるいは「感情」や「認知」、「性格」などです。
時には、「脳」や「遺伝子」が犯人にされることもあります。
そして、その延長線上に待ち構えているのが、「レッテル貼り」というバイアス。
でも、レッテルを貼った理由を尋ねると、不思議なことが起こることがあります。
例えば、「几帳面」だと評判の人がいたとしましょう。
周囲の人に、「なぜ几帳面だと思うか?」と質問すると、「約束を守るから」とか「整理整頓しているから」、あるいは「物事に細かいから」などというもっともらしい理由を述べます。
ところが、一歩踏み込んで「どうして約束を守ったり、整理整頓しているのか?」と問うと、「几帳面だから」という答えが返ってきたりするのです。
これは循環論です。
私たちは、知らず知らずのうちに、このような思い込みに陥っていることがよくあります。
気をつけましょうね。
ただ、レッテル貼りにメリットが全くないわけではありません。
というのは、レッテルを貼ることで、その人の行動がある程度予測できるようになるからです。
要するに、あくまで「思い込み」であることを忘れないことが大切なのです。
このように私たちは、行動の原因はその人の中に存在する「何か」だと考えがちですが、B・F・スキナーを創始者とする「行動分析学」では、全く異なるアプローチをします。
問題はその人の中にある「何か」ではなく、「行動と環境の関係」にあると考えるのです。
つまり、ある行動が増えたり減ったりするのは、何らかの環境的要因により決定されるというのです。
そして、その要因のことを、行動の「制御変数」と呼びます。
人の行動は、この環境的な制御変数によって決定されているのです。
「脳」や「遺伝子」は変えられないし、過去の「行動と環境」の関係も変えられません。
でも、現在や未来における「行動と環境」の関係性は変えられます。
つまり、環境を構成している制御変数を操作することで、その人の行動は変えることができるということです。
この考え方は、特にマネジメントにおいて重要な意味を持っているのですが、その話に入る前に、そもそも「行動」とは学術的にどのように定義されているかについて見てみましょう。
行動分析学者のオージャン・リンズレーは、「行動」を以下のように定義しています。
「死人にもできることは行動ではない」
これは、別名「死人テスト」と呼ばれるものです。
リンズレーによれば、死人にはできないことが「行動」ということになります。
例えば、「会議で発言しない」というのは、死人でもできることなので「行動」ではありません。
反対に「会議で発言する」というのは、死人にはできないことなので「行動」です。
そう考えると、会社の会議に参加している人の大半は死人、という会社も出てくるのではないでしょうか。
実は、この「死人テスト」は、ビジネスにおいて極めて重要な意味を持っています。
本を読んで「感動した」という人がいます。
また、講演会を聴きに行ったり研修を受けたりすると、「ためになった」とか「多くの気づきがあった」という感想を持つ人がいます。
しかし、これらの感想は全く意味のないことです。
なぜなら、これらの変化はあくまで内面的なものであり、外から観察することができないからです。
早い話が、死人テストをクリアできないのです。
ビジネスパーソンにとって大切なことは、外から観察できる変化、すなわち「行動」として表出することです。
座学だけでスキルが上がることは絶対にありません。
座学だけで3割打者になった野球選手はいないし、座学だけでホールインワンを達成したゴルファーもいません。
感動したとか、ためになったとか、気づきがあったという感想は、座学による学びと同じで、その人のスキルが上がったことにはなりません。
ビジネスにおいては、行動が変わらなければダメなのです。
ところが、時々「意識が変われば行動が変わる」と主張する人がいます。
一見、もっともらしく聞こえますが、意識が変わったかどうかは外から観察してもわかりません。
行動として表出した時に、初めて観察できることです。
本人がいくら「意識が変わった」と主張しても、何らかの形で行動として表出していなければ、それは何の意味もないことです。
あくまでも、重要なのは「行動」です。
ここから導かれる結論は極めてシンプルです。
上司は「意識」を変える指導ではなく、「行動」を変える指導をするべし。
いや、「行動」には現れていなくても、頭の中では考えているのだから意味はあると反論する人もいるかもしれません。
果たしてそうでしょうか?
神経科学者のダニエル・ウォルパートは、「人間や動物にはなぜ脳があるのか?」という問いにこう答えています。
「行動(ムーブメンツ)するため」
なんとウォルパートは、脳は考えるためにあるのではなく、行動するためにあると言うのです。
確かに、全ての動物は生存確率を少しでも高めるために、脳をフル回転させて何とかして生き延びる方法を見つけ出してきました。
考えるだけでは生存確率は上がりません。
行動することで生存確率は上がるのです。
だから、脳は行動するためにあるとウォルパートは言うのです。
脳を持たないホヤだって、一応動くことは動きます。
なぜ動くかというと、生存するために様々な試行錯誤をするのです。
もし、行動しなくても考えるだけでOKと認めてしまうと、人間はホヤ以下の存在ということになってしまいます。
「死人」扱いも嫌ですけど、「ホヤ」以下の扱いも嫌ですよね。
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