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村上 徹

犠牲の上に築かれた名声(1)

野口英世と言えばお札にも印刷されるくらいですから、世間ではさぞ偉い科学者と思われていますが、その実像は全く違います。 野口が在籍したロックフェラー大学に留学した、福岡伸一の著書に意外な事実が記載されています。 最初に福岡が不思議に思ったのは、野口に関する記録が大学にほとんど残されていないことでした。 あたかも、かつて野口が在籍していたことを隠すかのように。 その謎は、2004年発行の大学定期刊行広報誌を見つけた時に解き明かされます。 そこでは、野口はこんな風に紹介されていました。 「梅毒、ポリオ、狂犬病、黄熱病と言った野口英世の研究のほとんどは間違いであった」 なんと…

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世界有数の不平等国(3)

日本の所得再分配には2つの問題があります。 1つ目は所得再分配の中身についてです。 所得再分配は「税」と「社会保障」(年金と医療保険)から構成されていますが、格差抑制にもっとも貢献しているのはどちらの方でしょうか? 実は、「税」ではなく「社会保障」の方です。 「社会保障」の効果は2017年では30.8%でした。 一方、「税」の方はというとわずか6%。 つまり日本の税制は、格差是正にはほとんど貢献していないのです。 理由はわかりますよね。 累進課税の勾配が緩やかであることと、資本所得への課税が優遇されていること、要するに金持ちが優遇されているからです。 日本は、…

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世界有数の不平等国(2)

ヨーロッパの方が圧倒的に優れていることは明らかです。 なぜなら、再分配「前」の一人当たり所得が日本よりも大きいからです。 つまり、稼ぐ人が巨額の富を稼ぐことで、国全体の富が大きく増えているのです。 では、日本はどうでしょう。 巨額の富を稼ぐ人がいないので、国全体の富は小さいままです。 そのため、日本の所得再分配政策は、その小さい富を細々と分け合うだけの政策になっています。 なぜ、日本では巨額の富を稼ぐ人が現れないのでしょうか? その原因は「規制」です。 欧米に比べて、日本は競争が激しくならないよう様々な規制を設けています。 日本は長い間、規制や補助金などで、生産性…

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世界有数の不平等国(1)

今回は、世界有数の不平等国の話です。 どこかと言うと、他ならぬ日本です。 日銀の前副総裁の岩田規久男が、著書『日本型社会からの脱却』で日本の「格差」の問題を論じています。 一般に、貧富の差を測る尺度として使われるのは「ジニ係数」。 ジニ係数は0から1の間の数字で表され、大きくなるほど貧富の差が大きいこと、つまり不平等であることを意味します。 ただし、これには気をつけなければならない点があります。 それは、ジニ係数の基準となる「所得」には2種類あるということです。 ひとつは所得再分配「前」の所得で、もうひとつは「後」の所得です。 「後」の所得とは、税金や社会保障費が差…

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人望力(2)

インパール作戦が机上の空論であることは、最初から誰の目にも明らかでした。 大本営の作戦参謀・竹田宮中佐は「無茶苦茶な積極案」とこき下ろし、南方総軍参謀副長・稲田正純少将は「まことに虫のいい、捕らぬタヌキの皮算用」と酷評しました。 ビルマ方面軍の片倉衷(ただし)大佐は作戦の修正を勧告しますが、牟田口が勧告に従わなかったため「命令違反で処断すべき」と上官に進言するほどでした。 さらには、牟田口が指揮する第15軍の参謀長・小畑信良少将までもが反対を唱えます。 ところが、逆に牟田口によって転属させられる始末。 全員が反対に回った「狂気」のインパール作戦が実行された背景には、牟田口が東…

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人望力(1)

2020年4月、世界中が新型コロナのパンデミックに陥っていた時、全長333メートルを誇るアメリカ海軍の巨大空母「セオドア・ルーズベルト」で感染者が発見されます。 当時この空母は、南シナ海で中国海軍を牽制するという任務を遂行中でした。 船内で感染者が出るとどんなことになるかは、既にクルーズ船での事例で学習済み。 一刻も早く乗組員を退艦させないと、5千人の命が危険に晒されることになります。 しかし、艦は作戦行動中なので勝手な離脱は許されません。 もし、あなたが艦長ならどのような判断を下しますか? もちろん、自分では判断しないで、上司の指示を仰ぐのがベストではあります。 これな…

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人生を変えたタクシー

便利な移動手段のタクシー。 でもそこには、しばしば人生を変えてしまうような「運命の出会い」があったりします。 あるプロ野球球団のオーナーが乗ったのは、女性が運転するタクシーでした。 乗客の職業を知った彼女は、自分の息子が大学でピッチャーをしていることを伝えます。 一度見てもらえないかという彼女の願いを聞き入れ、取り敢えずオーナーはスカウトに視察を命じました。 ところが、スカウトがその強豪大学に足を運ぶと意外な事実が発覚します。 あまりにもケガが多くて、試合にはほとんど出ていないというのです。 でも、将来性には目を見張るものがありました。 2014年のドラフト会議で、…

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強いAI、弱いAI(2)

AIに関する新しい考え方とは以下のようなものです。 最終的なアウトプットが満足いくものであるならば、判断理由などどうでもいい。 確かに、この考え方も一理ありますよね。 これは「強化学習」と呼ばれるもので、「目的」を設定してやればAI自身が試行錯誤しながら判断を重ねていき、結果として自ら成長していくシステムです。 まさに、将棋のAIがこのタイプです。 人間の行動の根本にあるのは、長い進化の過程で獲得した「生存意欲」です。 人間の好奇心も競争心も、学習欲も支配欲も、さらには後天的に獲得した道徳や倫理も全て生存意欲に繋がっています。 ということは、どうやったら生存できるかという…

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強いAI、弱いAI(1)

AI(ArtificialIntelligence=人工知能)という言葉が生まれたのは意外に古く1956年。 数学者のアラン・チューリングが、機械が知能を持つかどうかを調べる「チューリング・テスト」を発表した1950年から数えて6年後のことです。 この年、日本では手塚治虫の『鉄腕アトム』が発表されているので、当時の日本人の人工知能のイメージは鉄腕アトムだったのかもしれません。 アメリカのダートマス大学に在籍していたジョン・マッカーシーが、人間のように高い知能を持つ機械の実現を目指して、十数名の科学者に呼び掛けて開催した通称「ダートマス会議」の席上、たまたま提案したのが「AI」という名…

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スコッチ・アイリッシュ(2)

1780年、ペンシルヴァニアの市民軍の士官だったロバート・サミュエルズが軍を辞め、ケンタッキーで農業とウィスキー造りに専念したところから『メーカーズ・マーク』の歴史は始まります。 当時のケンタッキーはヴァージニア州の一部でしたが、州政府は山を越えてケンタッキー・カウンティーを開拓する者にはトウモロコシを作る許可を与えるとともに、400エーカーの土地を提供することを通達しました。 スコッチ・アイリッシュが大勢入植した理由は、トウモロコシを作るというよりもトウモロコシを使ってより高く売れるウィスキーを造るためでした。 サミュエルズ一家は規模を徐々に拡大し、3代目のテイラー・ウィリアム…

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