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5☆s 講師ブログ

AIにはできない(1)

「今後10~20年のうちに、702種類の職業のうち47%がAI化されるだろう」

イギリス・オックスフォード大学のカール・フレイとマイケル・オズボーンの両博士が、衝撃の論文『雇用の将来:私たちの仕事はどこまでコンピューターに奪われるのか?』を発表したのが2013年ですから、「今後10~20年」のうちの半分くらいが経過したことになります。
この論文をきっかけに、将来多くの人が職を失うのではないかという議論が沸騰しましたが、もしこの論文が正しいなら残された時間はそう多くありません。

最近、AIに宅地建物取引士(宅建士)試験や司法試験の過去問題を学習させて、次の試験問題を予想させるという実験が行われたそうです。
過去10年の合格率は宅建士試験が15~18%、司法試験は20~25%ですからどちらもかなりの難関です。
的中率は、驚くべきことに宅建士試験が78%、司法試験は60%。

完全に合格水準を満たすレベルです。

これからは、専門資格の取得もAI頼みということになるのでしょうか。
もっともオズボーンらの論文によれば、宅建士や弁護士などはAIに取って代わられる可能性が高い職業なのですが・・・。

ところで、702種類の職業のうち47%がAI化されるというこの数字ですが、そもそもどのような計算で算出されたものなのでしょうか。
調べたところ以下の方法であることがわかりました。

まず職業の702種類は、アメリカの「O*NET」という雇用データベースに登録されているもの。
これは、ほぼ全ての職業を網羅するといわれています。
そして、その中から代表的な職業を70種類ほど選び出し、これを専門家のグループに提示して、それらの仕事がAIに取って代わられる可能性を0~100%の間で推計してもらいました。
次にその採点結果をお手本にして、回帰分析という手法を用いて702種類の職業をコンピューターに採点させたのです。

その際オズボーンらは、AIでは代替が困難だろうと思われる職業を事前に予想していました。
それは、大きくいって2種類あります。
ひとつは、起業家や芸術家などの「クリエイティブな仕事」のグループ。
もうひとつは、料理人や理髪業といった「非定型的な仕事」のグループです。
後者は、人や物への注意深い観察だとか手先の器用さが必要になるため、機械による代替は無理だろうと考えたのです。

ところが、結果は意外なものでした。
前者は予想通りでしたが、後者はAI搭載のロボットでも代替が可能だというのです。
仕事が奪われる確率は料理人が96%、理髪業者は80%。
ちなみに、現在すでに機械への代替が進んでいる小売店のレジ係は97%、近い将来自動運転の実用化が見込まれるタクシー運転手は89%ですからほぼ同じくらいです。
「職人技」というのも、AIにかかればロボットの守備範囲に入ってしまうようです。

実際に、日本酒の仕込みなどは杜氏が長年の経験と勘に基づいてやっていましたが、完全にコンピューター管理に移行してしまった酒蔵もあります。
また、アメリカの投資銀行ゴールドマン・サックスのニューヨーク本社では、かつて600人もいた株のトレーダーをたった2人にまで減らしました。
すでにAIに仕事を奪われてしまった職業というのは結構多いのですね。

ところで、フレイとオズボーンはAIに代替される可能性を専門家に推計してもらう際、鍵を握る技能が9種類あると考えていました。
その技能がどれくらい要求されるかが、AI化しやすいかどうかを推定する基準になるというのです。
つまり、その技能は機械で代替することが難しいと思われるので、それが要求される度合いの高い職業はAI化が難しいだろうと考えたのです。
では、その9つの技能を見てみましょう。

①手先の器用さ
②手先の素早さ
③不安定な環境下での作業実施能力
④独創力
⑤芸術的能力
⑥他者に対する洞察力
⑦交渉力
⑧説得力
⑨他者へのサポート能力

でも、①と②の手先の技能に関しては、料理人と理髪業者の結果を見る限り予想が外れたようですね。
ただ、だからと言って、料理人と理髪業者の仕事がすぐにロボットに取って代わられるかというと、必ずしもそうとは限りません。

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