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5☆s 講師ブログ

新聞は消滅してしまうのか(1)

新聞は消滅してしまうのでしょうか?

今や情報は、インターネットで簡単に入手できる時代。
新聞というメディアは、果たして生き残ることができるのでしょうか。

ここ20年間の状況を見る限り、悲観的と言うしかありません。
まずは、全国の発行部数の推移から。

2000年に5,370万部だったのが、2020年には3,509万部まで落ち込みます。

20年間でなんと35%の減少。

1/3の世帯は新聞を取っていない計算になります。
朝夕刊のセットになるともっと悲惨で、減少幅は約60%。
スポーツ紙もほぼ同じ58%減。

今後も減少傾向が続くことが予想され、数量政策学者の高橋洋一は、2028年には1,000万部まで落ち込むだろうと予測しています。
この辺りが潮時になるのかもしれません。

新聞購読料の大半は、新聞販売店の収入となります。
購読部数の減少により、販売店の従業員数は2020年10月現在約26万人で、ピークの1996年のほぼ半分。
でも、新聞社の生命線は広告収入の方です。

そちらはどうなっているのでしょう。
1999年の広告収入は1兆1,535億円でしたが、2019年はたったの4,547億円。
なんと60%の減少。

20年間で売上高が60%も減る業界は、誰が見ても絶体絶命でしょう。
この先、紙の講読者が減る分WEB版の加入者が増えたとしても、広告収入がかつての水準に戻るとは思えません。

現在、新聞社で働く社員は記者が約1万7千人、その他の従業員が約3万7千人。
このうち一体何人がリストラ対象になるのでしょうか。

朝日新聞は2019年12月にも早期退職者を募集しましたが、その内容は驚くべきものでした。
退職後も貰える年金額が、60歳までは年収の4割程度で、60歳以降でも毎月10万円。
退職金の上限は、なんと6,000万円にも達していました。
こんなに優遇されたリストラ策は聞いたことがありません。

でも、新聞社の場合、人員整理の前に着手すべきことがあります。
それは給与の引き下げです。
朝日新聞社の有価証券報告書によると、2020年3月31日現在、朝日新聞単体の従業員は3,966人で45.4歳の平均年収は1,229万円。
とんでもない高水準ですよね。
ちなみにこのバカ高い給与水準は、同じく広告収入が激減している大手のテレビ局も同じです。

ただし、毎日新聞や産経新聞になると、だいたいこの2/3くらいの800万円前後と推測されています。
売り上げが落ち込んでいるのに、朝日新聞の経営が左団扇なのは理由があります。
それは、不動産事業がガッポリ稼いでくれるからです。
不動産の売上は385億もあり、利益は68億。

早い話が、不動産会社が新聞も発行しているような状態です。
不動産と言えば、大手新聞社の本社はどこも東京の一等地にありますが、これはかつて国有地が格安で払い下げられたことによるものです。
とりわけ朝日新聞の場合は、1972年2月に東京ドームの約3割に相当する、1万4千平方メートル以上の築地の広大な土地が払い下げられました。
当時の相場で一坪200万円を超えると噂されましたが、売買代金はたったの17億円あまり。
坪当たり56万円の計算です。
こんな格安の値段で国有地を手に入れた新聞社が、臆面もなく森友問題に舌鋒鋭く切り込んでいたのかと思うと何だか滑稽です。

ところが、そんな恵まれた経営環境なのに、朝日は新規事業の失敗などで2021年3月期の連結決算では441億円の赤字を計上してしまいました。
そもそも「言論」の世界に生きてきた社員が、リアルビジネスの世界で新規事業を考えること自体に無理があります。

経営が比較的安定しているのは、日本経済新聞社くらいでしょう。
部数は朝日の半分くらいしかありませんが、経済に特化しているため企業の広告出稿が多いからです。

一方、かなり追い詰められているのが毎日新聞で、2021年2月の臨時株主総会で41億5千万円の資本金を1億円にまで減資する決定をしました。
これは、分類上「中小企業」に なることを狙ったもので、外形標準課税の適用外となるため事業税を節約することができます。
税の優遇措置を受けるための経理上の裏技ですが、対外的な信用はガタ落ちとなります。
もはや、面子に拘っているような状態ではないということなのでしょう。

普通ならこんな会社の株は大暴落して、どこかのファンドに買収されてしまうのが落ちですが、世界で唯一、日本は「日刊新聞紙法」という法律で新聞社の株式譲渡が厳しく制限されている国です。
まるで、既得権益の牙城のような業界ですよね。
朝日新聞の場合、筆頭株主は約24%を保有する従業員持株会で、次が11.88%のテレビ朝日ホールディングス。
そして、かつて広岡知男社長と対立した村山家が、同じくオーナーの上野家と同率の11.02%で続きます。
この序列は変わりません。

株式の売買が凍結されているため、ホリエモンのような乗っ取り劇は起こりませんが、反面極めて大きな弊害を生む恐れがあります。
それは、コーポレート・ガバナンスが効かないことです。
早い話が、経営者のやりたい放題になるということです。

しかし、いくら何でも名のある新聞社なのだから、節度のある経営をしているのだろうと思っていたらこれが大間違い。
ある告発本を読んで、私の考えは木っ端微塵に粉砕されました。

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