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5☆s 講師ブログ

組織ファースト

とにかくどこのチャンネルを見ても、サングラスをかけた、いかつい老人のアップが映し出されるのです。
もはや日本中のメディアを乗っ取った感のある、日本ボクシング連盟会長の山根明。
これほど視聴率を取れるキラー・コンテンツは、森友学園の籠池理事長以来でしょう。

一度口を開けば、どんな爆弾発言が飛び出すやらとみんな興味津々で、画面に釘付けになるのも無理はありません。
ただ、発言内容が放送事故スレスレとあっては、テレビ局にとって生中継は諸刃の剣。
スタッフの緊張感が、画面を通じてこちらにも伝わってくるようです。

各局のコメンテーターのトーンは軒並み、スポーツ団体のトップとして言語道断というものですが、私はそんな人物を団体のトップに上り詰めることを許してしまった、取り巻き連中の責任の方が気になります。
と言うのは、王様というのはいつの時代も、自らの希望で裸になるわけではないからです。
本人も気づかないうちに、いつの間にか「裸の王様」に仕立て上げられているのです。

側近たちの「忖度」が問題だと指摘する人もいますが、「忖度」は日本中のあらゆる組織で見られる現象。
反社会的勢力との黒い交際や度を超したパワハラを除けば、「ミニ山根」や「プチ山根」はあなたの会社にもきっといるはずです。

作家の江上剛が紹介したエピソードも興味深いものでした。
ある銀行の頭取はとてもトマトジュースが好きで、海外出張先でも必ず飲むのだそうですが、ある時氷を入れ忘れた秘書がいました。
彼はそれが理由で飛ばされてしまいます。
山根会長でさえ、ここまではしないでしょう。

人はなぜ、「裸の王様」に祭り上げられてしまうのでしょうか?
その謎を解く鍵が、先日の山根会長の発言にありました。
レポーターから「選手ファーストですか、それとも連盟ファーストですか」と聞かれ、「選手より組織の方が上だ」と答えたのです。

つまり、組織あっての選手だと言うのです。
結局のところ山根会長は、「山根王国」でもある「日本ボクシング連盟」という組織を守りたかっただけなのです。
そして、それができるのは山根明だけだと思っているのです。
取り巻いていた理事たちだって、「組織を守るために」会長に忖度していたのです。
そういう意味では、山根会長とその取り巻き連中は、“組織人”の鏡と言ってもいいのではないでしょうか。

“組織人”の定義は、2017年12月のブログで触れたとおり「組織に『忠誠を誓う』人々を指し、全人的に組織に献身する現代社会における新しい人間類型」です。
このとき、その組織に問題があるかどうかは全く関係ありません。
極論すると、たとえ組織に重大な問題があったとしても、身を挺して組織を守る人が“組織人”なのです。

奈良判定の存在については、アマチュアボクシング関係者ならば、知らない人は一人もいないそうです。
当然、理事は全員知っていたはずです。
そして、反社との黒い交際も含めて、もし万一表沙汰になったら大変な事になるだろうとみんな思っていたはずです。
ただ一人、山根明を除いては。

みんな分かっていたのに、なぜ変えようとしなかったのでしょう。
それは、変えようとして少しでも行動を起こすと、逆に自分が組織から追放されてしまうからです。
組織から追放されたら、もう“組織人”ではなくなってしまいます。
連盟の理事たちはほとんどが本業を持っているそうですが、それでも連盟内の地位を失って“組織人”でなくなることを恐れたのです。

これが会社員ならどうでしょう。
会社から追放されて“組織人”でなくなってしまうということは、すなわち「失業」を意味します。
なおさら出来ない相談ですよね。

しかしこのお祭り騒ぎも、山根会長が自ら身を引いたことで、いよいよお開きとなってしまいました。
マスメディアは、他のスポーツ団体も検証すべきではないでしょうか。
山根会長によれば、反社と関係のあるアマチュアスポーツ団体はいくらでもあるそうですから。
それにしても山根明というキラー・コンテンツを失ってしまったことは、マスメディアにとっては大打撃です。

かくなる上は、あの大学の理事長の登場が待たれます。
なにせJOC(財団法人日本オリンピック委員会)の副会長だった頃、日本最大の広域暴力団組織のトップとのツーショット写真が一部海外メディアで紹介され、“ヤクザ・オリンピック”と揶揄されたほどの人です。
つき合っていた相手に関して言えば、山根会長の相手とは比較にならないくらいの大物です。

当時の文部科学大臣は「私の責任において調査する」と、ぶら下がりの記者の前で大見得を切りましたが、結局調査結果などは一切明らかにされないまま、いつの間にか副会長ポストが別の人に入れ替わることで幕引きとなりました。

スポーツ団体を所管するスポーツ庁と、その上部組織である文部科学省にはもう少ししっかりしてもらいたいものです。
自分の息子を医大に裏口入学させている暇があったら、本来業務のひとつである各スポーツ団体と反社会的勢力との関係チェックをキチンと行うべきではないでしょうか。

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