株式会社ファイブスターズ アカデミー

まずはお気軽に
お問い合わせください。

03-3500-1686

5☆s 講師ブログ

延長12回ウラ(1)

同点で迎えた延長12回のウラ、2アウトながら満塁の大チャンス。

日本のプロ野球では延長は12回までと決められていますから、後攻めのチームにもう負けはありません。
最悪でも引き分け。

最後のバッターにヒットが出ればサヨナラ勝ちですが、たとえヒットが出なくても四球を選べば勝利です。

ところが、悪いことに打順はピッチャーに回ってしまいました。

この時、代打要因としてベンチに残っていた野手は、プロ入りしてから一本もヒットを打っていない控えのキャッチャーただひとり。

出場回数が極端に少ないこの選手には、難易度の高いサインではなく、極めてシンプルなサインを出す必要があります。

もしあなたが監督だったら、ヒット狙いで「打て」のサインにチャレンジしますか。
それとも四球狙いの「待て」のサインで安全策をとりますか。

ちなみに、以前放送されたNHK・BS1の『球辞苑』という番組で、満塁の時にどんな形で点が入ったかについて、前年のプロ野球セ・パ両リーグの膨大なデータを分析していましたが、意外なことにシングルヒットと四球の確率はほぼ同じでした。

さあ、二者択一のケースで両者の確率が同じくらいなら、あなたは「打て」のサインを出しますか?

それとも「待て」のサインを出しますか?

2007年4月20日の甲子園球場は、巨人対阪神の伝統の一戦に沸き返っていました。

1対1の緊迫した試合は12回の表に大きく動き、なんと巨人が大量3点を奪って阪神ファンを絶望の淵に追い詰めます。

ところが、粘る阪神はそのウラ猛打で追いつき、2アウト1塁、2塁のチャンスを迎えました。

ここで巨人は敬遠策をとり、あえて満塁にして打順をピッチャーに回します。

この時、ベンチに残っていた唯一の野手は狩野恵輔でした。

プロ入り7年目ながら、今まで一軍で一本もヒットを打っていない万年控え捕手です。
背番号は99。

前の年はたった2回しか打席に立っていない狩野にとって、代打となれば今シーズンの初打席。

この時監督の岡田彰布は、果敢にも「打て」のサインで狩野を送り出したのでした。

バッターボックスに向かう万年控え捕手は、緊張の極みにありました。

まるで、上半身が固まってしまったかのようなぎこちない動きを見て、阪神ファンの不安が高まります。

それでも狩野は、あえてその緊張を振り払うかのように、巨人の抑えのエース豊田清が投じた初球を狙ってスウィングしますが、ボールはワンバウンドしそうなほど低いフォーク。

バットは虚しく空を切っただけでした。
思わず、球場のあちこちからため息が漏れます。

すかさず、スタンドからは辛辣なヤジが飛びました。

「打たれへんのやったら、黙って立っとけ!」
たしかにその気持ちはわかります。

このヤジをきっかけに、「振るなよ、振るなよ」という空気が球場全体を覆い始めました。

「頼む!振らないでくれ!」
5万を超える阪神ファンの、願いにも似た熱い視線が打席の狩野に集まる中、マウンド上の豊田はおもむろに第2球のモーションに入りました。

初めての方へ研修を探す講師紹介よくある質問会社案内お知らせお問い合わせサイトのご利用について個人情報保護方針

© FiveStars Academy Co., Ltd. All right reserved.