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5☆s 講師ブログ

帰っていいよ

「仕事がないなら、残業しないで帰っていいよ」

新入社員の頃、先輩からかけられた優しい言葉を今でも覚えています。
私には、その先輩が神様のように見えました。

仕事がないからといって一人だけさっさと先に帰ったりしたら、「“組織人”としての自覚が足りない」と上司から延々と説教された頃の話です。
だから、みんな自分の人事考課に悪影響を及ぼさないようにと、仕事がなくてもとりあえず居残っていたものです。

ところが、時代は変わりました。

最近の新入社員は、上司や先輩から「仕事がないなら、残業しないで帰っていいよ」と言われると却って帰れなくなるのだそうです。

どういうことでしょう。

どうやら、「仕事がないなら」という前提条件が引っ掛かるようです。

「もしも自分が帰った後に、やらなければならない仕事が残っていることが判明したら・・・」と考えると、心配で帰れなくなるのだというのです。

「それは考えすぎだろう」とか、「仕事の段取りも含めて任せているのだから」と思うのは私たちの頭が古い証拠。

そもそも「仕事がないなら、残業しないで帰っていい」という発想自体が大問題なのです。

なぜなら、逆の見方をすれば「仕事が残っているなら、残業するのが当たり前」ということになるからです。
ここには、「残業は異常事態である」という認識など1ミリもありません。

過労死ラインに抵触するほどでなければ、残業は特に問題ではないと解釈してはいませんか。

言い換えると、ほどほどの残業ならば、その中身が問題にされることはないだろうと思ってはいませんか。

もしもこれが、工場のオペレーターだったらどうでしょう。
なぜ所定の時間内に仕事が終わらなかったのか、徹底的な検証が行われるはずです。

そして、作業の見直しなど最適な仕事の進め方が、あらゆる角度から追求されていきます。

ところが、ホワイトカラーの場合は状況が全く異なります。

「単純作業じゃないから」という理由だけで、時間内の能率を計測しようという試みさえ行われません。

でも、ホワイトカラーの仕事というのは、工場のオペレーターと比べてそんなにも複雑怪奇なものなのでしょうか。

本当に能率の計測は不可能なのでしょうか。

ここで少し思考実験をしてみましょう。

同じ仕事を二人の部下にさせてみたら、ピッタリ同じ時間に仕上がるでしょうか。

仕上がりませんよね。

当然、差が出ますよね。
ということは、能率に差が生じているということです。

これは個人差だからしようがないと言う人もいますが、個人差が修正不可能だと言うなら、管理職などいなくてもいいことになってしまいます。

トヨタでは事務系のオフィスワークでも、「標準時間」という考え方を適用するそうです。
「標準時間」とは、一番早く上手にできるやり方の所要時間のことです。

トヨタのように精密な算定は難しいとしても、今の仕事のやり方のどこを改善すれば、能率がだいたい何%くらいアップするかは管理職ならば当然わかるはずです。

そして、それを指導することこそ管理職の仕事に他なりません。

先ほど「段取りも含めて任せている」という上司の言い分を紹介しましたが、これは「まる投げ」と取られかねないマネジメントです。

「まる投げ」の最大の問題点は、仕事の段取りがブラックボックスであることです。

相手が取引先企業なら、それでもいいでしょう。

予定通りの納品日に、期待通りのクオリティで仕上がってくれば何の問題もありません。
しかし、相手は取引先ではなくあなたの部下です。

まず、よく話し合って段取りを明確化して、二人でそれを共有化しませんか。

そして、節目節目でその進捗状況を報告させるのです。
それだけで、マネジメントの8割は終わってしまうはずです。

新人が「自分が帰った後に、やらなければならない仕事が残っていることが判明したら・・・」と考えること自体、仕事の段取りが共有化されていない証拠です。

新人が定時に帰れないでいる時、「これは異常事態だ!」と捉える感性を持たなければ「働き方改革」などできっこありませんよ。

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