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5☆s 講師ブログ

六邪(1)

中国の唐の時代、太宗(たいそう)という非常に人望の厚い皇帝がいました。

この皇帝の言行録として編纂されたのが『貞観政要(じょうがんせいよう)』で、組織のトップに必要とされる心得が全て網羅されていることから、帝王学の教科書とも言われているそうです。

中国には古くから「諫臣(かんかん)」という職制がありました。

その主な仕事は皇帝の政治に対して意見をしたり、忠告したりすることです。
目上の人の過失を指摘して忠告することを「諫言(かんげん)」と言いますが、おそらくその語源とも関係しているのでしょう。

昔の皇帝は意外にも謙虚な人が多かったのかと思いきや、そうではありません。

正直に意見具申した諫臣はほとんどが左遷されたり、ひどいときは処刑された者もいたそうです。
それが仕事とは言え、損な役回りですよね。

唯一、諫臣の忠告を真摯に受け止めた皇帝が太宗でした。

その太宗の言行録が、今でも経営者のテキストとして高く評価されているのですから、トップにとって部下の忠告に耳を傾けることがいかに重要で、かつ難しいことか分かりますよね。

さて『貞観政要』の中に「六聖・六邪」という言葉が出てきます。

これは皇帝の側近について、良いタイプと悪いタイプをそれぞれ6種類ずつまとめたものです。
側近の中に聖人なんてほとんどいませんので、「六邪」すなわち邪悪な6つのタイプの側近をどう見抜くかということが大切になってきます。

「六邪」のうち最初に出てくるのが、「見臣(けんしん)」というタイプです。

これは、官職に安住して高給を貪り、仕事は批判されない程度に適当にやりながら、ひたすら周囲の情勢を窺う風見鶏です。

次に出てくるのが「諛臣(ゆしん)」。
主人の言うことにはすべて「結構です」と迎合し、主人の行動にはすべて「ご立派です」とヨイショし、主人の好きなものを突き止めて一緒に楽しむ。

ひたすらゴマを擦るだけで、決して後の害など顧みない。
何か現代の話みたいですよね。

他には、自分が推挙した部下の長所だけを必要以上に誇張し、反対に失脚させたい相手については短所ばかりを吹聴する、などという不届きな輩もいます。

普段は温和で人当たりがいい上に、とにかく口がうまいのでついつい騙されてしまうそうです。

さらには、その見事な弁舌を駆使して自分の非をごまかしてしまう部下。

次に、派閥を作って自分の地位や名誉を守ろうとする部下と続きます。

最後に「亡国の臣」と呼ばれる最悪の部下が登場します。

仲間内でグルになって主人の目をごまかし、是々非々をあいまいにしてしまう奴らです。

何だか最近世間を賑わせている、品質検査の改竄や、文書の書き換えのことを予言しているような気がしてなりません。
同時に、あちこちで上司の悪口を言いふらし、組織の評判を落とそうと画策したりもするそうです。

こうして6つのタイプを並べてみると、あなたの会社にも思い当たる人物がいるのでは?

それにしても、組織のトップとその取り巻き連中との関係という構図が、この書が編纂された1300年前と現代でほとんど変わっていないことに驚かされます。

逆の言い方をすると、これら「六邪」を見抜くことができたからこそ、太宗という人物は今でも人々の尊敬を集めているのです。

でも、太宗はトップとして耳の痛い話を聞くことに抵抗はなかったのでしょうか。

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