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5☆s 講師ブログ

甘い砂糖の苦い黒歴史(1)

今ではダイエットの大敵とされる砂糖ですが、人類にとっては長い間、なかなか手に入らない憧れの品でした。

現代ほど簡単に砂糖を入手できる時代は、人類史上初めてのことなのです。

そんな甘い甘い砂糖には、想像を絶するような苦い苦い黒歴史があります。

実は、黒人に対する人種差別に関しても、砂糖は一役買っているのです。

ヨーロッパ人が最初に砂糖の味を知ったのは、紀元前4世紀にまで遡ります。

インド西部に遠征したアレクサンドロス大王は、サトウキビという奇妙な植物を目にします。
そして、それから抽出した結晶を口にしたとき、信じられないほどの甘さに腰を抜かしました。

当時の最先端医学であるイスラム医学では、砂糖は万能薬と考えられていました。

ブドウ糖が脳にとっても体にとっても、きわめて有効なエネルギー源であることはすでに経験上わかっていたわけです。

ヨーロッパ人は、早速このサトウキビを持ち帰り自国で栽培しようとしましたが、もともと熱帯の植物なのでそれは土台無理な相談というもの。

その上、困ったことに砂糖の生産や流通は、東南アジアやインドを勢力圏とするイスラム教徒が完璧に仕切っていました。
そのためアラビア人から買い取るしか手はなかったのですが、あまりに高価なため一部の上流階級にしか出回らなかったのです。

この構図を一変させたのが新大陸の発見でした。

ヨーロッパ人たちは、栽培に適した気候の、ジャマイカなどのカリブ海の島々でサトウキビの大規模栽培を試みます。
昔、世界史の授業で「プランテーション」という言葉を習った記憶はありませんか。
プランテーションでの長時間にわたる重労働の担い手となったのが、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人たちでした。

砂糖だけではありません。

コーヒーもそうです。

ナポレオンの最初の妻ジョゼフィーヌの実家は、西インド諸島に大規模なコーヒー・プランテーションを所有していました。

当時、コーヒーの別名は「ニグロの汗」。
プランテーションでの労働は過酷を極め、黒人奴隷のほとんどは半年くらいで過労死したと伝えられています。

でも、いくら死のうが何の問題もありませんでした。
なぜなら、アフリカに行きさえすれば、新しい労働力が無尽蔵に手に入ったからです。

西アフリカにあるセネガルの首都ダカール。
その沖合に浮かぶゴレー島には、世界遺産に認定された「ハウス・オブ・スレイヴ(奴隷売買の館)」があります。
アフリカ中から集められた奴隷たちは石造りの牢屋に閉じ込められ、やがて奴隷船が着くと海に通じる、通称「二度と戻れない門」をくぐって過酷な旅に出るのですが、狭い船倉では鎖に繋がれた上に、まるでオイルサーディンのようにびっしりと並べられました。

衛生状態は劣悪を極め、新大陸に着くまでに奴隷の8割が命を落としたそうです。
でも、そんなことは奴隷輸送会社にとっては想定の範囲内。
輸送される“荷物”にはちゃんと保険が掛けられていたので、死人だけでなく病人までも躊躇なく海に捨てられたのでした。

私たちが、お洒落なカフェで何気なくコーヒーに砂糖を落とすとき、ほんの一瞬でもいいから黒人奴隷の苦難の歴史に思いを馳せてみるのも、決して無意味なことではないと思うのですが・・・。

今でこそヨーロッパの人々は人権尊重を声高に叫んでいますが、当時の黒人に対する差別意識は本当に酷いものでした。

「足の先から頭まで真っ黒。
ぺっちゃんこの鼻。
英明なる神がこんな真っ黒な肉体のうちに善良な魂を宿らせたとは考えられぬ」

誰あろうモンテスキューが、『法の精神』に記した一節です。

三権分立を唱えて、アメリカ憲法やフランス革命に影響を与えた啓蒙思想家でさえ、黒人に関してはこの程度の認識しかなかったのです。

やがてカリブ海からアメリカ南部へと栽培の場所が変わり、サトウキビから綿花へと栽培する作物が変わっても、その過酷な労働環境だけは変わりませんでした。
粗末な食事にしかありつけなかった黒人奴隷にとって、高価な砂糖などは高嶺の花。
砂糖の代わりに食卓に甘味をもたらしてくれたのは、彼らが故郷から持ち込んだアフリカ原産の果実スイカでした。

白人にはスイカを食べるという食文化がなかったため、以来「スイカ」という単語は黒人を嘲る際の代名詞としても使われるようになりました。
なんと当時「スイカ」は、差別用語の一つだったのです。

しかし1962年、ジャズ界に転機が訪れます。

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