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5☆s 講師ブログ

給料を上げるには(2)

アマゾンは赤字でもないのに、なぜ日本国に1円も法人税を払っていないのでしょうか。

外資系企業は、設置した日本支店が利益を出せば法人税を払わなければいけませんが、アマゾン側は「日本にあるのは支店ではない。倉庫である」と主張しています。

「注文を受けたり決済しているのはあくまでアメリカ本社であり、たまたま日本にある倉庫から商品を発送しているだけである。だから日本国に法人税を払う謂われはない」
これが彼らの主張です。

ちょっと前までは、消費税さえも払っていませんでした。

私たちがアマゾンで買い物する度に、日本の富はどんどんアメリカに流出しているわけです。

グローバル展開する企業の納税回避策を侮ってはいけません。

法人税率の引き下げという政策が、本当に外資系企業が日本に進出する決め手になったのかどうかは、一度キチンと検証してみる必要がありそうです。

でも、私が最も問題だと思っているのは、外資系ではなく日本の国内企業の方です。

法人税率の引き下げにより、国内企業が支払う法人税も大幅に減りました。
実はこの法人税率の引き下げが、給料の上がらない原因なのです。

かつて、法人税率が高かったときの企業行動を思い出してみましょう。

ある年度に、結構な額の利益が出ることがわかったとします。
当時の経営者は、利益のかなりの部分が税金として持って行かれるのは嫌だと考えました。
そこで、なんとかして必要経費や損金を増やそうとします。

必要経費や損金が増えれば、その分利益が減りますので、結果として納めなければならない法人税も減るからです。

そこで当時の経営者は、まず最初に社員への給料やボーナスを増やすことを考えました。
これなら、頑張って利益を稼ぎ出してくれた社員も喜びますので一石二鳥です。

それでもまだ利益が残ってしまうときには、福利厚生のために社員を旅行に連れて行ったり、休憩室や食堂を建てたりした会社もありました。

また競争が激しい業界では、研究開発や設備投資にどんどんつぎ込みました。

ところが、法人税率が引き下げられると企業行動は一変します。

利益が出ても、納めなければならない法人税の額はたかがしれています。
ですので、必要経費や損金で落とすことはせずに、そのほとんどを社内に溜め込むようになったのです。
これを「内部留保」と言います。

先行き不安から来る貯蓄行動というのは人も企業も一緒ですが、その背景には「法人税率が低いから」という意識が働いていたことも事実です。

史上最高の利益が出た企業でさえ、社員の給料やボーナスはほとんどアップしませんでした。

その結果企業の内部留保の総額は、2016年度で406兆円にも達しています。

日本のGDPの総額が550兆円ほどですので、この金額がいかに巨額かわかりますよね。

もう一つ、比較のための数字をご紹介します。

日本の国家予算です。
一般会計でいうと、約100兆円です。

そのうち税収はたったの60兆円しかありません。

この差額が、国債発行による借金で賄われているから問題だと、財政再建論者は喚いているのです。

もし仮に企業の内部留保の半分、すなわち200兆円をペナルティーとして没収したとしたらどうでしょう。

これは国の税収の3年分にあたりますから、向こう3年間は企業からも個人からも一切国税を徴収せずに済むことになります。

国税だけ見れば、日本は正真正銘の「タックス・ヘイブン」になるのです。
もちろん、内部留保を没収するとなるとヒトラー並みの強権発動が必要となりますが・・・。

ただ、内部留保が今後も順調に増え続けるかどうかは定かではありません。

企業が生き残るためには、世界でも抜きん出た技術を持っていなければなりません。
しかし、多くの企業が利益を内部留保に充てて、研究開発費をケチっています。
これでは企業が競争力を失い、衰退していくのは明らかです。

いかがですか?
企業が成長することよりもとにかく少しでも蓄えを増やそうと、必死でお金の入った瓶を抱えている“守銭奴”の姿が見えてきませんか。
内部留保をどんどん増やしていくことは、一見企業の安全性を高めているように見えますが、客観的に見ると延命装置を充実させているにすぎません。

必要なのは、競争に勝てるだけの絶え間ない技術革新です。

それを生み出すだけの企業の活力です。
かつての日本は、世界最先端の技術を生み出す「技術立国」でした。

しかし、バブルが弾けデフレが進行し始める辺りから、その勢いは一気にしぼんでいきます。
そしてIT革命が始まると、日本の技術力は見る影もなくなります。

基本のOSはウィンドウズかマック、検索エンジンはグーグル、スマホはアイフォン、そのスマホで利用する買い物サイトはアマゾン。
SNSのフェイスブック、インスタグラム、ツィッター、ライン。
日本発のものなど何一つないではありませんか。

次回は、日本がもう一度「技術立国」として復活するための名案をお話ししましょう。

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