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5☆s 講師ブログ

見えざる資産(1)

競合の多い企業にとって最大の課題は、どうやって他社より優位に立つかということです。

経営学では、二つの考え方があります。
ひとつはマーケットを重視する考え方で、「ポジショニング・ビュー(市場競争戦略論)」と呼ばれるものです。

ハーバード大学のマイケル・ポーターらが主張したもので、製品と市場の状況とか、企業の事業ユニットと市場の関係について、以下の5つの外部要因から分析します。

①新規参入の脅威

②同じ業界の敵対関係(競合企業)
③代替製品の脅威
④買い手の交渉力
⑤売り手の交渉力

簡単に言うと企業外部にある「見えるもの」を分析し、マーケットにおける最適なポジションをとることで優位性を保とうとする理論です。
これは多くの経営者が認識しているところです。

役員訓示の場面などでは、必ずと言っていいほど「変化する外部環境」のことが語られます。
まるで危険を知らせるサイレンのように、何度も何度も外部環境の変化に関する断片的な情報が提供されますが、具体的にどう対応すればいいのかはいつも謎に包まれたままで訓示は終わります。

では、変化する外部環境の分析を徹底的にやれば、生き残りの道筋が見えてくるのでしょうか。

外部環境を分析すればするほど、それは事業や経営戦略の見直しに繋がっていきます。

そしてほとんどの場合、その行き着く先は「リストラクチャリング(事業再構築)」です。

人をリストラすると、人に付随する様々なノウハウもリストラされてしまいます。
いや、ノウハウだけではありません。

職場によい影響を与えていた、その人の考え方や行動力、さらには仕事に対する取り組み姿勢といった、いわゆる「見えざる資産」までも失われてしまいます。

一方、「ポジショニング・ビュー」とは正反対に、マーケットではなく企業内部を重視する考え方もあります。

「リソースベースド・ビュー(内部経営資源に基づく戦略論)」と言われるものです。

これは製品やサービスといった「見えるもの」ではなく、それらを支える「見えないもの」、すなわち企業内部の潜在的資源の方にスポットライトを当てる考え方です。

プラハラードとハメルは「コアコンピタンス」という考え方を提唱しました。

コアコンピタンスとは、製品やサービスのことではなく、企業の内部に潜在している「人間の行動や能力の総体」と定義されています。
これを重視した経営を行えば、中長期的に優位に立てると彼らは主張します。

この立場をとるバーニーは、企業内資源の中で最も重要なものは「人材」であると断言します。

なぜなら、人材という資源は市場から容易に調達できるわけではありませんが、逆に外部が簡単に模倣できるものでもありません。

つまり人材こそが、他の資源では代替することのできない「見えざる資産」の代表選手というわけです。

「変化する外部環境」を声高に訴える経営者はたくさんいますが、不思議なことに「人材育成」を最優先に考える人はそれほど多くありません。

彼らはおそらく、「マーケットが変化しているぞ!」と警鐘を鳴らすことで、社員が自らの意識を変え、さらには行動までをも自動的に変えてくれることを期待しているのでしょう。

しかし残念ながら、その成功事例など見た試しがありません。

なぜ、うまくいかないのでしょうか。
それは意識が変わることと、行動が変わることの間にはとてつもなく深い溝が横たわっているからです。

ただし、研修によって意識を変え、その後のフォローによって行動を変えた事例ならありますのでご紹介しますね。

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