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5☆s 講師ブログ

ポンコツ経済学者

2012年12月に第二次安倍内閣が発足し、低迷する日本経済の立て直し策の目玉として「アベノミクス」が発表されました。

その主眼は、大胆な金融政策と機動的な財政政策、さらには民間投資を喚起する成長戦略というものでした。
最後の成長戦略というのは、そもそも何が成長分野かわからないので無理がありますよね。
今のところ財政出動はほとんどされていませんが、思い切った量的緩和の方はすぐに実行されました。

これは、それまでの日銀の金融政策を真向から否定するものだったため、“日銀擁護派”の経済学者たちからは一斉に反対の声が上がりました。

この時、海外での評価はどうだったのでしょうか。

村上尚己の著書に、2013年1月24日の「ウォールストリートジャーナル」の日本版ウェブサイトに、アメリカを中心としたエコノミストに対して行った、世界の五大中央銀行に関する調査結果が掲載されたことが書かれています。

それによれば71%にあたる15人がアベノミクスに賛意を示し、5人が「あまり変化はない」と回答、「非常に悪い」と回答したのはわずか1人だけでした。

またほぼ同じ時期、アメリカのIMG(Initiative on Global Markets)というウェブサイトでは日本のデフレに関する調査を行い、約40名の著名なエコノミストに対して次のような質問をしています。

「1997年以降日本ではデフレーションがしぶとく続いているが、仮に日銀が実際とは異なる金融政策を採っていたとしたらデフレは避け得ただろう、という主張に同意しますか?」

なおこれに対する回答は、各専門家の自信度によってウェートづけされているため合計は120%となっています。
では、結果を見てみましょう。

①強く同意43%
②同意36%
③不同意5%
④なんとも言えない16%

他に「これと言って特に意見なし18%」、「未回答10%」がありますが、ほとんどの経済学者がそれまでの日銀の金融政策は誤りであり、アベノミクスは正しいと評価していることが分かります。

それから4年が経ち、どちらが正しかったのかは火を見るより明らかです。

たしかに、いまだデフレを脱していないので給料はなかなか上がってきませんが、失業率や大学生の就職率は劇的に改善しました。

そして何よりも、自殺者の数が大幅に減りました。
松尾匡が指摘した通り、1953年以降の失業率と男性自殺死亡率の推移をグラフにするとほぼ一致します。
しかも、50代男性に限ればもっと相関は高まるそうです。

デフレから脱却できないのは、2014年4月の消費税率アップが最大の原因とされています。

もちろん安倍首相もこの危険性には十分気づいていました。
その前年、慎重には慎重を期して経済学者などの識者を集めて消費税率アップの影響を検証し、結果次第では先送りすることも考えていました。

ところが、識者の多くが「消費税率アップは景気に影響を与えない」という楽観的な回答をしてしまいます。

結果的にこれは大間違いでした。

なぜ、日本の経済学者はいつも間違うのでしょう。

しかも、日本では誰も責任を取らないどころか、そもそも見通しが誤りだったことを認めなくてよいのです。

なぜなら、誰も覚えていないからです。
一般企業では、見通しを誤った場合は大なり小なり責任を問われますが、不思議なことに経済学者やエコノミストと呼ばれる人にはその心配は一切ありません。

ただし、アナリストという職業は別です。

時々、「日本国の借金が多過ぎるので、国債が暴落する」と声高に訴えるアナリストがいますが、彼らの多くは国債価格が下がったときに儲かるポジションに大きな金額を賭けています。

ですので、これは「ポジション・トーク」と呼ばれます。
もし、予想に反して国債価格が下落しなかった時は、当然のことながら多大な損失を被ります。

だから必死なのです。

現在、この手の人たちはほとんど淘汰されてしまい、マーケットでは「絶滅危惧種」に分類されています。
アナリストでもないのに日本国債が暴落すると訴える人は単に勉強不足なだけで、過去にはノストラダムスの大予言を信じていた人です。

安倍首相は、日本の経済学者たちの予想が大外れしたことで深刻な不信感を抱きます。

ですので最近は、スティグリッツやクルーグマンといったノーベル賞受賞者や、それに準ずるような大物の経済学者を招いて意見を聴いています。
そう言えば、化学や物理学、生理学・医学の分野では日本でも多くのノーベル賞受賞者がいますが、経済学では誰も受賞していません。
候補者を見ても、プリンストン大学の清滝信宏教授以外は皆無と言っていいでしょう。

ちなみに、厳密に言うと「ノーベル経済学賞」なる賞はこの世に存在しないのだそうです。

そもそもノーベルの遺言には経済学賞などなく、後に世界最古の中央銀行であるスウェーデン国立銀行が創設300周年を迎える際に「経済学賞」の設立を強く要望したため、スウェーデン科学アカデミーとノーベル財団が条件つきで渋々認めたものです。
他のノーベル賞受賞者と一緒にスウェーデン国王から賞状などを授与されますが、正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」といって、賞金もノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行が設立した基金から拠出されています。

さて、本題に戻りましょう。
なぜ、日本の経済学者はこれほどまでにポンコツ揃いなのでしょう。

かつてマルクス経済学が幅を利かせていたからとか、文系の学問として位置づけられていたので数学の能力が異常に低いからとかいろいろな理由が上げられます。
もちろん否定はしません。

しかし、私は日銀の責任が大きいのではないかと思うのです。

日本には、世界では常識となっている「量的緩和」や「インフレターゲット」という金融政策に対して、強いアレルギーを持つ経済学者が非常に多くいます。

これは「世界標準」から大きく外れる現象です。
これこそ、日銀の“洗脳”によるものです。

浜田宏一によれば、かつての日銀マンの行動は以下のようなものでした。

経済学者が、メディアなどで日銀に批判的な意見を述べると、間髪を入れず電話を架けます。

そして、「先生は、日銀の政策について十分ご理解いただいていないようですので、ぜひご説明にお伺いしたい」と申し出ます。

そしてその説明が終わり、帰り際に言う殺し文句がすごいのです。

「今後、当方の主催するシンポジウムなどにもご招待申し上げたく存じますので、ぜひよろしくお願いします」

経済学者にとって日銀から招待されることは、この上ない名誉です。

周囲の人に自慢できます。
絶対に貰えそうもないノーベル賞を目指すよりも、手っ取り早くプライドを満たすことができます。
かくして“日銀擁護派”経済学者の一丁上がりとなるわけです。

こうして、日銀が思い切った量的緩和を拒否している間にデフレはますます進行し、日本の失業率はどんどん高くなりました。
そしてその結果、経済的な理由で自殺する人が増加したのです。

私は、歴代の日銀総裁は裁判にかけられるべきだと思っています。

いや、個人を裁こうというのではありません。

どの政策が誤りで、どの政策が有効だったのかを客観的に明らかにして、キチンと記録しておくべきだと思うのです。

そうでないと、個人の責任が一切問われないこの国では、誤った判断が再び繰り返される危険性があります。

歴史という名の法廷の、被告人席に立つ勇気のない者は、日銀の金融政策に関わるべきではありません。
経済学者の目指すところは富や名声などではなく、失業による自殺者を一人でも減らすことのはずです。

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