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5☆s 講師ブログ

サヴァン症候群

2016年12月のブログ『長所なんてないよ』で、潜在能力についての仮説を書きました。
それは、もともと人間の潜在能力は全員平等に与えられていて、

障がい者の場合はある能力の発達が妨げられるため、別の能力がずば抜けて発達するのではないかというものでした。

ダスティン・ホフマン主演の映画、『レインマン』で知られるようになった「サヴァン症候群」という病気があります。

自閉症スペクトラムの人に時々見られるのですが、
この映画の主人公は床に落ちて散らばった爪楊枝の数を瞬時に言い当てました。

しかも、「82」を3回繰り返して246本であることを告げるという奇妙なものです。

おそらく彼の目には、82本の爪楊枝が一塊の単位となって映ったのでしょう。
このモデルとなったキム・ピークという実在の人物は、何千冊もの本の内容を一字一句記憶していたそうです。

サヴァン症候群の人の中には、計算や描画の能力がずば抜けて高い人もいます。

山下清は、目にした風景を写真に撮るように一瞬で記憶することができましたが、
彼らに共通するのは他人とコミュニケーションをとるのが極端に苦手という事です。

1967年、イギリスに生まれたウクライナ移民の子供、ナディアもそうでした。

生後9カ月でいくつかの単語を話しましたが、その後言語能力を失い全く話せなくなってしまいます。

5才の時のIQは3才児並みと診断されますが、描画能力が飛び抜けて優れていました。

彼女が描いた馬の絵は筋肉の躍動感が生き生きと描かれ、
ピカソの子供の頃のスケッチにも劣らないという人さえいます。

しかも、普通は馬の全体像を大まかにデッサンしてから細部を描き上げるのですが、
彼女はいきなり脚や鬣(たてがみ)といったパーツからバラバラに描き始め、
最後にすべての線を繋げて完成となるのだそうです。

このようなサヴァン症候群の人の脳を調べたところ、
その能力を発揮しているときは、前部側頭葉の働きが極端に鈍っていることがわかりました。

また、事故などでこの部位に障がいを受けた後、急に描画能力が発達したという例も報告されています。

ではこの前部側頭葉という部位は、一体何を司っているところなのでしょうか?

実はここは、言語能力に関係する部位です。

と言うことは、言葉を覚えることが、超人的能力の発達を妨げている原因と言えるかもしれません。

確かにナディアも、その後の特殊な教育でいくつかの言葉が話せるようになると描画能力は消失してしまいました。

2004年、南オーストラリアのフリンダース大学のヤング博士が
この説を検証しようとして行った実験はなんとも荒っぽいものでした。

健常者の前部側頭葉を、強力な磁気刺激装置でマヒさせたのです。
もちろん、安全性については万全の配慮がされていたのでしょうが、私なら迷わず拒否します。

マヒしている間は当然言葉は話せませんが、なんと17人中5人が記憶力や描画力、計算力がアップしたというのです。

しかもこの能力は、言語マヒから回復したとたんウソのように消えてなくなり、また元の平凡レベルに戻ったそうです。

どうやら言葉が犯人のようです。

私たちの祖先は、生き延びるために集団生活を選択しました。
その時、他人との意思疎通を図るために言葉を使う能力を最優先で発達させました。

なぜなら、コミュニケーション力こそが、
厳しい環境下でみんなで力を合わせて生き延びるために最も重要な能力だったからです。

その際、言語能力以外の超人的能力が犠牲になったのかもしれません。

しかし、言語能力をテコにして文明を進化させていった結果、
他人とあまりコミュニケーションをとらなくても、なんとか生きていける時代が到来してしまったのは皮肉なことです。

ところで、この結論は私にとってあまりありがたいものではありません。

というのは、「口八丁」だけで商売している研修講師の場合、他の能力が著しく劣っているということになりはしませんかね?

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