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5☆s 講師ブログ

ダニング=クルーガー効果

上司があまりに寒いダジャレを言うので耐えられない、という声を聞いたことがあります。
そのうち、職場でつまらないオヤジギャグを連発する人は、「ギャグハラ」として訴えられるかも。
私も気をつけなければ・・・。

かつて、30本のジョーク集を読ませて、それらに点数をつけさせるという心理学の実験がありました。

ただし、調べたのはジョークの面白度ではありません。

すべてのジョークの評価はすでに定まっていて、被験者がどれくらいユーモアのセンスがあるかどうかを調べたのです。

具体的に言うと、それぞれのジョークに「どれくらい面白いか点数をつける」という作業をした後で、
最後に「あなたのユーモア理解度は、同年代の中でどれくらいに位置していると思うか」という質問に答えます。

すると、ジョークの面白度を正しく評価できていないのに、
「自分のユーモア理解度は高い方だ」と勘違いしている人が結構いたのです。

結果を見てみましょう。

面白度の正解率の高い人上位25%の人たちの、ユーモア理解度の自己評価を集計すると
「自分は上位30%にいる」となりました。

ちょっとだけ過少評価ですけど、まあまあ当たってますよね。

一方、問題だったのは、正解率の低かった人たちの方です。

下位25%の人の自己評価が、なんと「自分は上位40%にいる」となったのです。
これは明らかな過大評価です。

自分では「面白いことを言ってる」という勝手な思い込みこそ、
あの忌まわしいオヤジギャグが職場からなくならない根本原因です。

これも一種の「メタ認知」の欠如と言えましょう。

ところで、1999年にディヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが、
コーネル大学で行ったこの実験で調べたかったのは、オヤジギャグのセンスではありません。

ユーモア理解度だけでなく、論理的思考力や一般学力テストについても同じ実験をしたのです。

すると驚くべきことに、それらでも全く同じ結果が出たのです。

つまり、その能力が不足している人ほど、なぜか自信満々だということです。
ダニングとクルーガーが導き出した結論はこうです。

「能力の低い人は、自分のレベルを正しく評価できない。

だから他人のスキルも正しく評価できない。
よって自分を過大評価する」

何となく思い当たる節はありませんか?

具体的な上司の名前を思い浮かべた人もいるかもしれません。

その後の研究で、テストで赤点を取る学生ほど結果を受け入れられなかったり、
高齢ドライバーほど自分の運転技術に自信を持っているということもわかりました。

まさに世の中の至る所で、ダニング=クルーガー効果が見られるのです。

上司のギャグが寒いことも、また上司が仕事ができないことも、
運命と思ってあきらめることは、決してできない相談ではありません。

しかし、見過ごせないのは「他人のスキルを正しく評価できない」という点です。

もしかしたらあなたは、人事考課で不当に低く評価されている可能性があるのです!
これは我慢できませんよね。

でも、ちょっ待ってください。

このダニング=クルーガー効果について、
脳科学者の池谷裕二が大変興味深いことを言っているので、しばし耳を傾けてみましょう。

池谷がこの効果の話をすると、多くの人が「たしかにそういう人はいる!」と同意するそうです。

これは別に興味深いことではありません。

興味深いのは、そういう人たちが誰一人、まさか自分がそれに該当するとは思っていないことです。

「メタ認知の欠如」は誰にでも起こりうるのです。
ヤバいのは、上司ではなくて自分自身だったのです。

では、一体どうすればよいのでしょう?

どうすれば、自分を客観的に正しく俯瞰することができるのでしょうか。
ダニングは、4つの対策を上げています。

①常に自分の中に、あえて反論するもう一人の自分を持つ

②自分が間違っているのではないかと自問してみる
③知らないことは素直に認める
④失敗は成功のモトと思う

勉強になりますね。

私も早速実践することにします。

これからは、頭に浮かんだオヤジギャグについて、
本当に面白いかどうかじっくり検討してから、リリースするか決めるようにします。

(ほらね、この「落ち」もやっぱりイマイチだったでしょ)

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