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5☆s 講師ブログ

人の役に立つ

先日、何気なく聞いていたラジオで、うつ病を克服した人の話が紹介されていました。
なんとなくではありますが、日本の職場でメンタル不全が多発する原因のひとつが分かったような気がしました。

バリバリの企業戦士だったその人は、ある日突然「うつ」を発症してしまいます。

今でも原因が何だったのか、よくわかっていません。
「うつ」とはそういうものです。

特にショッキングな出来事がなくても、ある日ふとしたはずみで発症してしまうことがあるのです。

この企業戦士もとりあえず仕事を休み、治療に専念する事にしました。
ところが、いつまで経っても改善の兆しが見えないまま、ただ時間だけが過ぎていきました。

そんなある日、日曜大工が得意だった彼の腕を見込んで、テーブルを作ってくれないかと友人が持ち掛けます。

どうせ暇なので、ちょっとした気分転換にでもなればと軽い気持ちで引き受けたのですが、
これが予想もしない展開をもたらします。

出来上がったテーブルを見た友人が、大喜びしてくれたのです。

満面の笑みで「ありがとう」を連発するではありませんか。

「こんな俺でも、人の役に立つことができた」

そう実感したことがきっかけとなり、病状は回復の方向に向かい始めます。

人の役に立つことができたと実感したり、笑顔で「ありがとう」と言われること。
このことには、とても大きな意味があります。

というのは、メンタル不全が発生する職場の共通点は、人の役に立っていることがなかなか実感できないということです。

お客様から笑顔で、「ありがとう」と言われる場面が極端に少ないことです。

あなたの職場ではどうですか?

そもそも会社というのは、提供する商品やサービスを通じて、人の役に立つことを目的に存在していたはずです。

お客様から「ありがとう」と言われるために存在していたはずです。

そして、その対価として、お客様からお金をいただいていたはずです。

それがいつの間にか、お金をいただくこと、つまり売上を上げることだけが目的化してしまい、
人の役に立つことが忘れ去られていませんか?

今、多くの会社で、人の役に立つことと、売上を上げることの関係が逆転しているように思えるのです。

このことを端的に論じたのが、2015年7月の『ビジョンとミッション』というブログです。

私は、現代の職場が抱えている疲弊感の多くは、
「ビジョン」と「ミッション」が混同されていることに起因しているのではないかと考えています。

管理職にビジョンについて質問すると、多くの人が「今年度の売上目標を達成すること」を挙げます。

売上目標の達成も大切なことではありますが、残念ながらそれは「ビジョン」ではありません。

「ビジョン」とは、お客様の役に立っていることを明確に実感できることと不可分です。

あなたの会社にとって売上目標の達成は、お客様の役に立っていると実感できるものですか?

売上目標を達成する事により、お客様から「ありがとう」と言ってもらえますか?

もしかしたらその目標はお客様のためではなく、自分の会社のために達成するものではありませんか?

もし「ありがとう」と言ってくれる人がいるとしたら、それはお客様ではなくあなたの上司だったりしませんか。

いや、たとえ上司であろうと「ありがとう」と言ってくれる人がいるだけまだましな方で、
目標を達成するのは当たり前だということで、誰からも感謝されない職場だって山ほどあります。

それでも、目標が達成できるのはまだいい方です。

達成が難しくなると職場の雰囲気は一層険悪になり、人間関係もギスギスしたものとなります。
結果誰もが不機嫌になり、職場は極めてストレスフルな状況に追い込まれます。

売上目標を達成することは、「ビジョン」ではありません。
「ミッション」です。

「ビジョン」とは、それを実現できた状態をイメージするだけで、
なんとなくワクワクするようなものでなければなりません。

売上目標の達成をイメージすることでワクワクするのは、歩合給のセールスマンくらいです。

若手社員からは、
「今年度の売上目標を達成すると、来年度はもっと高い目標を与えられるので、ホントは達成しない方がよいのだが・・・」
などという本音も聞こえてくることがあります。
こんなことが「ビジョン」であるはずがありません。

『ビジョンとミッション』の回で紹介しましたが、イギリス海兵隊にとっての「ビジョン」は実に明確です。

「アフガニスタンの子供たちが、毎日笑顔で安心して学校に通えるようになること」

どうですか。

ワクワクしませんか。

この「ビジョン」が、アフガニスタンに派遣された海兵隊員全員の共通認識となっているからこそ、
どんなに困難な局面でも頑張れるのです。

そして「ミッション」は、
「いついつまでに、この地区のタリバンを制圧すること」

どうですか。
「ミッション」を達成することが、「ビジョン」の実現に繋がると誰でもすぐにイメージできますよね。

あなたの会社で「ミッション」に相当するのは売上目標の達成です。

ではその「ミッション」は、どんな「ビジョン」を実現してくれるのでしょうか。

もう一度問います。

あなたの会社の「ビジョン」は何ですか?

あなたの部下は、日々の仕事で「人の役に立っている」ことを実感できていますか。

もしできていないとするなら、あなたの職場はメンタル不全の懸念大いにありです。

メンタル不全対策はどこの企業も取り組んでいますが、
大変不思議な事に「ビジョン」について真面目に議論している会社は見たことがありません。

あなたの会社のHPにアップされている「経営理念」とは別に、現場レベルで「ビジョン」を考えてみませんか。

「経営理念」よりも、お客様の役に立ったという経験や、お客様から「ありがとう」と言われたことの方が、
はるかにモチベーションアップに繋がるはずです。

仕事を頑張ろうというパワーになるはずです。

忙しい日々ですが、一度立ち止まって考えてみませんか。

あなたの会社が人の役に立っていると感じるときは、一体どんな時ですか?

昨年一年間、あなたはお客様から何回「ありがとう」と言われましたか?

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