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5☆s 講師ブログ

文系学問は人の役に立つのか

今年のノーベル医学生理学賞を受賞した大村智北里大学特別栄誉教授が、
「人の役に立つことはないか、それだけを考えてやってきた」
と言った言葉が頭にこびりついています。

学問とは、混沌とした事象を分析研究することで、
何らかの法則性を見出すことだと思います。

そして大切なことは、その法則性を活用して人の役に立つものを開発することです。
あくまで、人の役に立つと言うのが最終目的のはずです。
しかし、実際に大学で教えられている学問は、はたして人の役に立っているのでしょうか。

理系の場合はまだ理解できます。
化学であれば新薬の開発を通じて人の命を救ったり、
様々な化学製品の開発を通じて私たちの生活を豊かにしてくれます。

物理であれば工業製品の開発を通じて、快適で安全で便利な暮らしを実現してくれます。

では、文系の学問はどうでしょう。
多くの文系学生が学ぶ経済学や法学、経営学は人の役に立っているのでしょうか。

経済学は一矢を報いました。
その立役者は岩田規久男です。
彼が日銀副総裁に就任してリフレ政策を実施したことは、歴史に残る偉業です。

“マトモな経済学者”が人の役に立ったのは、
高橋是清以来といっても過言ではありません。
それまでは、非常に長い期間にわたり、日銀や政府の経済政策は“似非経済学者”の手によって決定されてきました。

様々な学者が様々な理論を唱えることは、
言論の自由という観点から絶対に保証されなければなりませんが、
様々な学説があったとしても真実はひとつしかないはずです。
日本の経済学界では、長い間“マトモな理論”と“似非理論”の区別がついていませんでした。

しかし、岩田の登場により決着がつきました。
“マトモな理論”とは、現実の世界で人の役に立つ学問のことを言います。

そもそも「経済」の語源は、中国の古典『抱朴子』の「経世済民」、
すなわち「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」の意味です。
経済政策とは、国民を救うためにあるのです。
岩田のリフレ政策により日本はデフレから脱却し、その結果自殺者は大幅に減少しました。
国民は救われたのです。

デフレはあくまで純粋な金融経済現象です。
圧倒的なレベルのマネタリーベースの供給と、
政府と日銀が協力してインフレ期待を作り出すことにコミットすれば脱却できるのです。
決して、発展途上国からの安価な製品の輸入が原因で起こるものではありません。
ましてや、経済学の本を一冊も読んだことがないという人が提唱した、
少子高齢化による人口減少がその原因であるはずがありません。

ところが、あろうことか当時の日銀総裁がこの曲学阿世に便乗して、
日銀の政策でデフレを脱却することは困難であると明言したのです。

しかし、岩田理論の実証により、リフレ派を批判していた“似非経済学者”たち、
いわゆる「経済政策を売り歩く人々」は致命的な敗北を喫しました。
まさに正しい理論による正しい政策が、多くの人の命を救ったのです。

とは言え、それまでに失われてしまった命が二度と帰ってこないことを、
全ての経済学者は肝に銘じるべきです。
経済学は人の役に立つために、人々の暮らしを豊かにして希望を抱かせるためにあるのです。
学者の保身のためにあるのではありません。

さて、法学はどうでしょう。
日本は裁判員裁判制度を採用していますが、
裁判員に選ばれる人の中に、 法学を学んだ人はどれくらいいるのでしょうか。
実際には、法学を全く学んでいない人が、時には死刑の判断を下したりしています。

その学問の基礎知識さえ持ち合わせていない一般市民が、
その学問の最も重要な人の生き死にを決める場面に参加しているのです。
日常のご近所同士のトラブル事は法律の専門家である弁護士の出番ですが、
死刑か無期懲役かに関しては法律のど素人である一般市民の出番という構図は、
私にはどうしても納得できません。

さらには、司法試験の受験者に試験問題を漏らしていた法科大学院の教授もいました。
学問として法律を学ぶことと、現実の世界で法律を守ることとが乖離しているというのであれば、
もはやそれは学問と呼べる代物ではないのではないでしょうか。

経営学はどうでしょう。
経営学を教えている教授は会社を経営していません。
もちろん、そのことが問題だと言っているわけではありません。

でも、経営に関する真実を研究している人ですから、いつ「会社経営をやれ」と言われてもできるはずです。
マネジメントの研究者であれば、いつ「管理職をやれ」と言われてもマネジメントができるはずです。

ちなみに「専門知識がない」と言うのは言い訳にはなりません。
これは一度でも、ビジネスの世界を経験すればよくわかりますが、
経営者や管理職に求められるのは専門知識ではなくて、「人を動かす力」だからです。

私はこの「人を動かす力」という得体の知れない力を、ぜひ学問で解明してほしいのです。

現実のビジネス世界では、混沌とした事象、
すなわちおびただしい数の事例がゴロゴロ転がっているだけなのです。

だから私たちは、その中で自分が経験した、
たった2~3の事例を通じて、いかにもそれらしい教訓を導き出すしか手がないのです。
しかしその教訓も、ひとたび環境が変わると全く役に立たなかったりするのです。

混沌とした事象の森の中で、管理職は今日も迷える子羊です。
悩んでいるのです。
苦しんでいるのです。

だから、「人を動かす力」とはどういうものか、答えをはっきり提示してほしいのです。
わかりやすく解説して、私たちを導いてほしいのです。
しかし実際には、学術的な分野と、現実のビジネス分野との隔たりは果てしなく遠いと言わざるを得ません。

学術分野から見れば理論がすべてであり、下世話なコマゴマした事象などに興味はありません。
一方、現実のビジネス分野から見れば、抽象的で現実には使い物にならない机上の空論などに興味はありません。
結局、両者の狭間でつらい思いをしているのは学生です。

学術分野の人間は、もっと現実のビジネス社会の事例を研究すべきです。
一方、ビジネス分野の人間は、自身の経験論に固執することなく、
もっと真摯にマネジメントの法則性を研究すべきです。

経済学や心理学の一部は、脳科学と結びつくことによって大きく変貌を遂げました。
ビジネスに巨額の売り上げをもたらす可能性が出てきたのです。
人間の購買行動の決定に関する研究は、今やきわめてホットな産学協同事業に成長しつつあります。

苧阪直行が指摘しているように、社会脳研究が理系と文系の学問の橋渡しをする事によって、
「神経○○学」という新たな分野がその蕾を膨らませています。
神経経済学、神経認知心理学、神経倫理学、神経美学、神経哲学、神経言語学、神経文学、神経発達学、神経加齢学、神経注意学・・・

文系学問が「人の役に立つ」動きは既に始まっているのです。
経営学はいつ産学協同事業となるのでしょうか。

改めて問います。
経営学は人の役に立っているのでしょうか。

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