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5☆s 講師ブログ

危険なセリフ

ある保険会社の調査ですが、『社会人1・2年生のやる気を奪う危険なセリフ』というアンケート結果が発表されました。

一位は「この仕事、向いてないんじゃない?」です。
確かにこれは凹みますよね。

しかし、どんな仕事でも、最初から向いている人なんてそうそういるものじゃありません。
そう言ってる上司や先輩だって、長く続けているうちに仕事に慣れたのではありませんか?

二位が「ゆとり世代だなぁ」。
これは日本の教育制度の問題であり、新人クンに責任はありません。
いわば、○年生まれだからダメと言われているようなもので、ちょっとかわいそうな気がします。
以下、「やる気ある?」、「常識でしょ」、「私が若い頃は・・・」と続きます。

「ゆとり世代」を除いては、私たちだって新人の頃に言われた記憶があります。
そう考えると、職場マネジメントだとかOJTというのは、たいして進化していないのだなと思います。

ところで、私が強い違和感を覚えたのは、これとは反対の『やる気に火がつくセリフ』の方です。

一位は「(改善案を示しながら)次からはこうしようか」
なるほど、これならモチベーションが下がることはありませんね。

起きてしまったことを責めるよりも、今後二度と同じ過ちをしないよう、客観的な改善策まで示して指導する。
管理職たる者、こうありたいものですね。

しかし、二位以下になると、ちょっと首をひねりたくなります。
二位は「困ったことがあったらいつでも相談して」

“いつでも相談OK”というほど暇を持て余している職場はめったにないと思うのですが・・・。
私のサラリーマン経験を振り返ってみても、こんなことを言われたことは一度もありません。
もしそんな人に出会っていたら、おそらく神様に見えたことでしょう。

この言葉は、社交辞令的に使うと大変なことになる可能性があります。
新人クンは、「いつでも」の言葉を額面通り受け取って、
こちらが大忙しの状況でも平気で初歩的なことを質問してきます。

これには理由があります。
彼らは少子化を背景に、塾でもマン・ツー・マンで教わってきた世代です。
自分で調べるよりも、聞けば教えてくれる人がすぐそこにいる環境で育ってきたのです。

“懇切丁寧に手取り足取り”育てられてきたのに、
会社に入ったとたんにそれまで無縁だった「自主性」とか「効率性」という嵐に巻き込まれ、
戸惑いの日々が続いているのです。
これも、彼らの責任と言うよりは、育った環境の影響によるものではないでしょうか。

と、ここまではまだまだ大人の解釈をする余裕がありましたが、
三位を聞いてついに堪忍袋の緒がキレそうになりました。

「頑張ったんだね、ありがとう」

みなさん、どうですか?
この言葉が交わされる場面が想定できますか?

例えば、出来の悪い報告書を上げてきた新人クンに、この言葉をかけている先輩がいたとしたら、
そっちの方が問題でしょう。
もしも、“頑張ったか否か”で人事評価している会社があったら、まちがいなく潰れます。

会社の目的は成果を挙げることです。
頑張りは、成果を挙げるためにするのです。

「成果に繋がらなくても、自分なりに頑張ったのだから、お礼を言ってほしい・・・」
そんな勘違いをしている新人クンがいたら、絶対に見過ごしてはいけません。

これは非常事態です。
こんな考えのまま、この先40年も勤められたら大変です。
すぐにでも彼の考え方を正すべく、管理職としての知見を総動員して対応しなければなりません。

ただし、絶対にやってはならないのは、首根っこを抑えてのガミガミ説教です。
過去に自分がされたからといって若い人にそれをするのは、運動部のしごきと一緒です。

今の若い人は、“根性論”は持ち合わせていない代わりに、私たちと違って有り余るほどの“知性”を持っています。
その知性に訴えるのです。

まず、頑張りが目指すものは成果であることをキチンと伝えます。
いいですか、大事なのはここからです。

次に、どこがどう間違っていたか、本当はどうすべきだったかを本人に考えさせるのです。
絶対にあなたが正解を提示してはいけません。

あなたが正解を口にした瞬間に、この話し合いは悪意に満ちた説教に変貌します。
後は、新人クンに対して日ごろ感じている不満がとめどなく溢れ出た挙句、
最後は『やる気を奪うセリフ』第五位の登場となります。

曰く、「私が若い頃は・・・」

これが終了の合図です。
この言葉が出た時点で、それまで新人クンの心にわずかに残っていたあなたに対するリスペクトは、一気に崩壊します。
あとには果てしなく続く、不信という名の瓦礫の山が残されるのみ。

管理職に要求される能力というのは、30年前と現在とではかなり異なりますが、
最大の違いは“我慢”ではないかと思うのです。

新人が自分で気づくまで我慢できるか、また気づくように上手に導くことができるか、
それが育成の成否を決めるのです。

「大事なことによく気づいたね」

いつの日か、この言葉が『やる気に火がつくセリフ』の上位にランイクンすることを願ってやみません。

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