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5☆s 講師ブログ

粘菌

世の中には、実に不思議な生き物がいるものです。
今回紹介する「粘菌」は、その最たるものかもしれません。

学術上「粘菌」と名前のつけられている生物は二つあります。
南方熊楠が熊野の山奥で採集したのは、正式には「真正粘菌」と言います。
アミーバ状の集合体が、一晩でキノコ状に変わるという実に不思議な生態に、
熊楠はいっぺんに魅了されました。

しかし今回は、残念ながらもうひとつの粘菌である、「細胞性粘菌」の話です。
でも、こちらの方がもっと面白いのです。

細胞性粘菌は、土の中の細菌を食べて生きている原始的な生物です。
単細胞生物ですので、普段は細胞分裂によって増えます。
移動する時は、アミーバ運動といって細胞内の原形質に対流を起こして、進みたい方向に動きます。

たかが単細胞生物と侮るなかれ、なんと光を感知するどころか、味覚まで持っています。
苦いものはちゃんと避けて、糖やアミノ酸など美味しいものに寄っていくのです。

しかも、嗅覚も備わっている上に、重力や電流にも反応します。
全身に五感を持っていると言っても過言ではありません。

先ほど、単細胞生物なので、“普段”は細胞分裂により増えていると言いました。
では“普段”でない時はどうなのでしょうか。

エサが少なくなり、生存が脅かされるような環境になると、
バラバラで生きているそれぞれの粘菌に「集合せよ!」という号令が下されます。
専門的に言うと、サイクリックAMP(環状アデノシン一リン酸)という物質が分泌されます。
これが集合を意味する信号なのです。

ひとつひとつは単細胞生物ですが、号令一下集まったその数、驚くなかれおよそ10万。
これらがドームのような形に成長する頃には、すでに完全な多細胞生物と化しているのです。

更に、これからがクライマックスです。
なんとドームの屋根が上へ上へとだんだん高くなり、
今度はスカイツリーのようにタワー状になったではありませんか。
といっても、高さはせいぜい数ミリメートルですが。

そして何より異様なのは、タワーのてっぺんに丸いボールがあるのです。
このボールこそ、胞子の詰まった子実体です。

もう、おわかりですね。
ここからは、まるでキノコか植物のような振る舞いをするのです。

やがて子実体がはじけます。
すると、胞子があちこちに散らばります。
あるものは風に乗り、またあるものは昆虫などに付着して、より子孫を増やしやすい環境を目指すのです。

単細胞生物でありながら、多細胞生物にも、またキノコや植物のようにもなるという、
実に不思議な生き物です。

しかし、生物学者が驚愕した事実は他にあります。
運よく胞子になれた細胞は子孫を残すことができますが、
子実体を持ち上げていた柄の部分の細胞は死んでしまうということです。

つまり、単細胞生物が自己犠牲の精神を発揮し、利他的行動をとるのです。
普段は利己的に振る舞っている単細胞生物が、危機に直面したとたん一致団結して多細胞となり、
しまいには他の細胞のために犠牲になるものまで現れるというのは、生物学の常識をはるかに超えています。

ところで、このことは、私にはずい分と示唆的な現象に思えてなりません。
これを会社で考えてみましょう。

社員のポテンシャルというのは、その会社が危機に陥った時にわかります。
会社が危機の時、一丸になれないメンバーや、自己犠牲の精神を発揮できないメンバーがいるとしたら、
残念ながら会社はあえなく終末を迎えてしまう確率が高くなります。
反対に、逆境の時にとてつもない集団パワーを発揮して、危機を脱する会社もあります。

これは決してマネジメントの差ではありません。
経営者のビジョンの問題です。

会社の「価値」を、社員全員がしっかり認識できているかどうかが鍵となります。
ここで言う会社の「価値」とは、この会社が「この世に存在すべき理由」のことです。
その価値が見いだせない時に、ネズミは沈みゆく船から一斉に逃げ出すのです。

あなたの会社は、何のためにこの世に存在するのでしょう。
先月の売上に関しては、何時間もかけて会議をするくせに、
会社の存在理由などという青臭いテーマについて議論されることはほとんどありません。

嘘だと思うなら、あなたの会社の存在理由を、今から10秒以内に答えてみて下さい。
どうです?
結構困るでしょ。

あなたの会社は、どんなところで世のため人のためになっているのでしょうか。
そしてあなたは、どんなところでそれを支えているのでしょうか。

もし、あなたにとって会社というものが、ただ単に給料を支払ってくれるだけの存在でしかないならば、
他の会社でもいいことになります。
今より多くの給料をくれる会社から誘われたりしたら、転職したくもなるでしょう。
そんな時、もし船が沈みそうになれば、真っ先に逃げ出すのは当然の行為です。

単細胞生物でさえ、種が生き延びるために自己犠牲の精神を発揮するのです。
危機に直面しても、社員が自分の利益だけ考えて一致団結できないとしたら、
それはその会社に対して、生き延びる価値が見い出せないということです。

会社のビジョン、すなわち何のために会社が存在しているのかということを真面目に考えることは、
将来の危機の備えになるだけではありません。
実は、来月の売上を左右する、きわめて重要な要素でもあるのです。

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